蘭の小さな球根のうた
そのわらべ まめまめなる蘭の精
そのもてるをもてこの世 咲かせむとて
勇み殻に入り 雨垂れとともに落ちたり
その熟すさま境苔の如し。
そを急がしむること此れ人類が損失也
殻の厚くして核を頑なに守護し
その内なる滋養 割かれむこと如何程にてか、
その花の熟せるも殻破れず
花弁の窮屈に縮こまること幾度か。
わらわこの花弁厚くあつくして
殻の牢を破らむ。
咲かずして還りし同胞の涙々(るいるい)と
豊かな土と水と風を子子孫孫に遺さむためにこそ
天から受くる弁財を捧げむ。
知未
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