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ツートンのギター奏者紹介

こんにちは。ツートンです。今回は視点を変えて日本のクラシックギター作曲家

武満徹をお話しさせていただこうと思います。

                        

クラシックギターの魅力 ~消えゆく音の美しさ~
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テレビ朝日系列「題名のない音楽会」の2011年1月30日の放送では、武満徹の特集が放送されていました。タイトルは、「日本の巨匠 武満徹~音が沈黙と測りあうとき」でした。これは、武満氏の著書「音、沈黙と測りあえるほどに」から取られていたようです。

武満徹さんは日本を代表する作曲家で(1996年に逝去されています)、クラシックギタリストにとっても大変重要な楽曲を作・編曲もなさっています。

武満徹さんの音楽を評して、指揮者の佐渡裕さんは「耳を澄ましたくなる。音が消えていくまで耳を傾けていたくなる」と語っておられました。また、作曲家でかつては武満徹さんのアシスタントをされていたという池辺晋一郎さんは、「音が消えた後にもテンションがある。書道の世界では、文字の黒い部分が大切なだけでなく、文字がない余白の部分も大切。それと似た感覚」と述べられていました。
これは、クラシックギターを語る際にもかなり重要な感覚です。と言うのも、クラシックギターの特徴として、発した音がその瞬間から減衰を始めることが上げられるからです。クラシックギターでは、一度出してしまった音を持続させることは一切できません。それに対してバイオリンのような擦弦楽器や息で演奏する管楽器は、一度出した音を伸ばすことだけでなく、強めていくことさえできます。ピアノは本体の中の弦をハンマーで叩いて音を出しますが、音を持続するための長音ペダルを使用することである程度音の長さをコントロールできます。このように他の楽器と比較すると、クラシックギターの音を持続させられない特性は、欠点のように思われます。

しかし、この点はクラシックギターの短所であると同時に、最大の魅力なのです。

人気の若手クラシックギタリスト大萩康司さんは、昔テレビのインタビューでそのものずばり「弾いた音が消えていくところがギターの最大の魅力だ」と語っていました。世界最高のギタリストの一人ジュリアン・ブリームさんは、「クラシックギターの一番美しいところは消えていく音の後ろ姿だ」と表現したそうです(残念ながら、また聞きです)。また、松下隆二先生は、「他の楽器では練習しないと得られない美しい減衰が、クラシックギターでは最初から誰でも出すことができる」と言う言い方でクラシックギターの音の魅力を語っておられました。第一線で活躍されるギタリストの方は、自身の扱う楽器の特性を明確に理解した上で、それを長所と捉えて演奏されているんですね。

また、このような観点から考えると、武満徹さんの楽曲がクラシックギターにとって重要なレパートリーとなるのも納得がいきます。消えゆく音の美しさを表現した曲を、消えゆく音をもっとも美しく響かせる楽器で演奏する。素晴らしい組み合わせですね。


ともすれば、派手な曲や分かりやすい演出が受けやすい世の中ですが、、

「消えゆく音に耳を澄ませ、沈黙と測りあう」

そんな気持ちを忘れず、奥の深い演奏を心がけたいものです。

では見てください。

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