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記憶喪失

自分の親の結婚式に出席するのもまた複雑だった。
親戚達、新郎、新婦の友達…
みんな嬉しそう。
楽しそう。
ただ1人を除けば…。
自分の居場所は無い様に思えた。
それを決定的にした瞬間があった。
式場で働いている若い女性が私を見て
「このお子様はどちらの…?」
と司会をしていた父の友人に尋ねた。
「新郎の娘ですよ」
するとその女性は
「は…?」
と固まってしまい、しばらくしてからようやく理解した様で
「あ…そうですか」
と…
どんな顔をしていいのか分からず帰りたくなった。
今でこそ珍しくは無いが、当時は子連れで盛大な披露宴など少なかったのかも知れない…
そしてその日のその後の記憶は無い。
そして、その頃は1人で地下鉄なども乗れる様になっていた為、内緒で母と会っていた。
母はデパートの地下の食品売場に勤めていたので、たまに会いに行った。
そんなある日、初めて母の住んでいる部屋に招待された。
すごくワクワクして嬉しくて
「おじゃましま~す」
2K位のアパートだった。
ぐるりと部屋を見渡すと…
??????
ベットがダブルベット。
しかも赤い枕と青い枕…
【はて…?】
とりあえず見て見ぬふり。
ジュースとお菓子を出されて学校の話かなんかしているとトイレに行きたくなった。
手を洗う…
【え?】
歯ブラシが2本。
やっぱり赤と青。
なんとなく見ちゃいけない物を見た様な気がして何も聞けなかった。
そしてその後、何を話してどうやって帰ったのか全く記憶がない…

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