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最悪が来た…【無料記事】

部屋を追い出されるかも知れない事と両親が別居中で父親がアルコール依存症だという事以外は平和だった。

家族内で大きな争い事も無い。
健康に子供が育ち沢山の可愛いペット達に囲まれ…そして真面目に働き贅沢するでもなく暮らしている。
しかし何故か家は追い出されるかも知れないし父親はアルコール依存症だ。
そしてそんな父親は出て行った家族から放置されてからもうすぐ1年になる。
足の骨を痛めてから仕事もしなくなってしまった。
励まして応援して来た私だったが自分にその余裕が無くなってしまった。
父も昔だったら勢いが人一倍あったから今回の件でもトクさんにだけ頼るのでは無く自分もアレコレ業者相手にガタガタやったであろう。
しかし今は力無く私を励ます…
父にも私を励ます余裕など無いのについイライラして八つ当たりしてしまったり…
そんな事のバチが当たったのかも知れない…
11月の半ばの日曜日…
恐れていた事が起こった。
しかもそれは思っていたよりも恐ろしい形でやって来た…

部屋のチャイムが鳴った。
いつもの様にキクがワンワン吠えて玄関に走る。
キクを抑えながら何とかドアを開けると見知らぬ男性が居た。
「あぁ…こんな大きな犬が居るんだぁ…」
って大きなお世話である。
そして次の瞬間、恐れていた一言を言い放った。
「私、競売でこの部屋を落札した者です」
あーーー!!遂に来てしまった!!
名刺を見るとやはり不動産業者だった。
平静をよそおったつもりだったが多分無理だったと思う。
そして次の言葉に気を失いそうになった。
「この物件は1月1日からうちの物件になりますので1月いっぱいで出て下さい」
【なんだと?!】
今はもぅ11月!!
どんな罰ゲーム!?
「1月って随分急ですよね!?」
と焦る私に
「え??まだ11月ですよ(笑)おたくで入居時に支払った敷金はうちの方で支払いますから。部屋の修繕費は一切頂かずにね。20万と聞いてますが間違い無いですか?」
とペラペラと一方的に喋る。
敷金がいくらだったかなんて頭から抜けてしまったが勢いにのまれて
「はい…」
と返事をした。
するとその男性はさっさと帰って行った。
私はただ立ち尽くした…

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