無駄な気遣い

久しぶりに母に会い、レストランで食事をした。
父が再婚した事をなぜか知っていて
「パパ結婚したんだね。おねぇさんと仲良かったもんね…」
と…
「うん」
としか言えなかった。
なんだか母が可哀想に思えて。
【ママは私と離れてきっと淋しいに違いない】
そう思っていた。
自分が淋しいんだから、母も淋しいはずだと…
そして母に聞かれた。
「パパ達、赤ちゃんはまだ?」
「……」
妹はとっくに生まれている。
しかし私は
「まだだよ」
ウソをついた。
娘と離れ淋しい母に本当の事は言えなかった。
しかし、そんな私に母はびっくりするような事を言い出した。
「ママね、仕事辞めるんだ。赤ちゃんが出来たの」
【は?】
「そうなんだ…」
とだけ言った。
他に言葉が見つからない。
母の口からちゃんとに好きな人がいるとか聞いていたわけでも無いのに、いきなり妊娠したとか言われても…
そして記憶の奥の方にしまっておいたものが出て来た。
母の部屋で見た青い枕と歯ブラシ…
そしてその日もその後、何を話したのか、どうやって帰ったのか全く記憶が無い…

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