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重たいアルコール依存症患者(無料記事)

十二指腸潰瘍で手術をした父は術後、沢山の管に繋がれていたが一つ一つ管が外され少しずつ口から栄養が取れる様になると食べる事の喜びに目覚めた。

私は毎日夜に父から頼まれた飲み物や食べ物を病院に届けていた。
継母は父の事には一切関わらなかったが祖母の晩御飯は作りに行っていた。
そして遂に父退院…
家族が出て行った家に連れて帰るのは私の役目。
継母から渡されたお金で会計を済ませ、父を寂しい家へと連れて帰った。
もうすぐクリスマスがやって来る。
そんな季節だった。
あんなに仲良くて羨ましかった家庭…
入りたくても入れなかった家族…
アルコール依存症という病気がそれを全部壊してしまった。
再婚を反対して泣いた私に
「パパには女の人が居ないとダメなんだ…」
と言った父…
娘を泣かせてまで作った家族はみんな父の元から去って行ってしまった。
そうなると唯一側に残った私に父はますます依存した。
毎晩夜中まで電話で話す日々が再び始まった。
寂しい気持ちをいやってほど毎日聞いた。
休みの日はヒカリを連れて会いにも行った。
それでも父は酒はやめられない。
酔っぱらって電話をして来た時だけは私も無理で怒って電話を切る。
だんだん私も疲れて来た。
一人で背負うには余りにも重たすぎた…

酔っぱらった父が無理なのは私も同じだ。
疲れてしまった私は継母に相談した。
酔っぱらった父が重たい…
と自分の気持ちを話した。
涙が出て来た。
そんな私に継母は簡単に言った。
「アンタもお父さんから離れな。このままじゃアンタもダメになるよ…」
離れろって…みんながした様に!?
一人ぼっちになった父を見捨てるなんて出来るわけが無い。
だいたい
「お姉ちゃんお父さんの事お願いね」
って言ったじゃないか!
私は父と向き合っているんだ!
ただ時にはつらくなる時だってある…
そんな時だったから少し弱音を吐いたんだ。
なのに継母は妹の部屋を指差し、こうも言った。
「あの子、可哀想なんだ…最近ちゃんとに勉強出来て無いみたいで…きっと原因はお父さんだ」
と…
妹は高校卒業後、外国語の専門学校に行き、そこを卒業してから大学に行き始めた。
名門の私立大学だった。
通訳を目指している。
頭が良くて自慢の妹だ。
しかし父の事で今そんな風に言われると正直ムッときた。
父から愛情を受け親らしい事をしてもらって来てるのは私では無い!
妹と弟だ!!
でも逃げ出した…
でも可哀想と…
二人を私立大学に入れる為に父は土地を売った。
そして祖母と二人で貸家住まいだ。
この日の継母の発言により私の気持ちは変化し始めた…

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