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Symdolick ワンマンライブ ~キボウノヒカリ~

結論から先に書いてしまうと、未来への曙光を感じさせる、素晴らしいライブだった。
MCの中で神咲くるみは「どん底まで落ちた」と語っており、実際そうであったと思うが、そこからの数か月できっちり巻き返してきた。
新生 Symdolick 、プラスからのスタート。


年が明けてからメンバーの脱退、周年ワンマンの中止、新メンバーの募集とグループとしてのライブ活動の停止、新メンバー発表、グループ名改称etc...
目まぐるしく様々なことが起こり、正直なところ「?」な事もあったのだけれど、お披露目ライブの開催が発表されて以降、散らばっていたパーツがカチカチと組み合い始め、送り手の打って来る手の一つ一つに必然性を感じられるようになり、燻っていた疑念と危惧が全て期待に変わったところでお披露目当日を迎えることが出来た。

会場の品川ザ・グランドホール は椅子席にした場合の最大収容人数500名。
これを200まで絞り、椅子の間隔も空け、様々な対策を講じての開催。

1列目から3列目までの座席を保証された上に様々なオマケの付く1万円のSS席は財政的に難しく、私は4列目から6列目までの座席を保証された3000円のS席を購入。
6列目以降になる1000円のA席のチケットも含め、全て早々に売り切れてしまい、色々あったにしてもグループへの期待値は下がっていない事は感じられた。

午前中から午後にかけて事務所主催の対バンライブを組むなど、ホールを終日借り切ることで、リハーサルなどの時間も捻出。
送り手の側に地力もあり、知恵も経験もあることが伺える。

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ほぼ定時に開場・入場。
舞台上には在籍オリジナルメンバー4人の旧衣装が飾られ、メンバーカラーのライトに照らし出されている。
開演までのこの時間で、正式に一と区切りと言う事なのだろう。

入場後、客席で始まった半年遅れの賀詞交歓会的なものが落ち着いた頃合いに開演。

模様替えしたオーバーチュアからの一曲目は、この場で初公開の新曲「キボウノヒカリ。
初めて見る(聴く)曲に驚きつつ歓喜する(※雰囲気として)客席。
週末に Symdolick として初の新曲の発表とMVの公開があったが、さらなる隠し玉に驚く。

以下、セットリスト

00.Overture
01.キボウノヒカリ(※初公開)
MC
02.innocence
03.トビキリナミダ
04.星空ディスティネーション
-SE-
05.これまでここから
-SE-
06.体温(※新曲)
MC
07.GAME
08.Psychology
-SE-
09.Regret
10.HANDS
MC
11.ありがとう(※初公開)
12.Onion Link
MC
13.キボウノヒカリ


オリジナルメンバー4人。
歌声も振り付けも、全体として底上げはしつつ、スキルに逃げ込んでいないのはよかった。
歌い方に変な癖もなく、「ほーらウマいだろう」と言うような驕りもない。
振り付けも独自解釈が進み過ぎず、刈り込み過ぎず、程が良い。
きっちり踊れていて動きは激しいが、全力教にも毒され過ぎておらず、凶相になりにくい。
出来たゆとりを冗長性に振っていた。


杏斉ゆか

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凛とした表情から愛くるしい笑顔まで、振り幅広くありつつ、どこで切り取っても絵になる。
歌声は高いレベルで安定しつつ、驕りや衒いが無く、すーっと鼓膜に沁み込んで行く。

神咲くるみ

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リーダーとしての矜持と自信。
可愛くあろうと意識を高く持ちつつ、そもそも意識しなくてもその状態にはある。
歌が言葉として伝わる。 技巧ではどうにもならない部分での説得力。

文瀬朱

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「なりたい自分になる」の先にある、「そうありたい自分である」に達していた。
改名には、そのあたりの自己プロデュースとしての側面もあったのだと思う。
笑顔と凛々しさが前に出ることで、隠し味として生きてくる憂いと湿り気。

石川野乃花

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アイドルとしてのキャリアの仕上げに掛かって来た印象。
力みが取れて見やすい・聴きやすい。
一歩引いて全体のバランスを取る役回り。志村喬。
この七人で勝負できると踏んでいるのだと思う。

新メンバーも三人三様。
ある程度出来ている氷ノ黎、すぐ伸びそうな葉山遥華、じっくり育てたい能見雛子。同期がいるからこそ育てられるバラつきだと思う。
フリーエージェント制的な補強ではなく、出雲信用組合軟式野球部とか、門司鉄道管理局とか、都市対抗にすら出ていないノンプロからの補強であり、準備期間に鍛え上げて舞台に上げている。
そしてその3人を加えることで、チームとしてもより高次の物になっていた。

氷ノ黎

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歌えて踊れている。
それがまだ自己肯定には繋がっておらず、出来る事と出来ている事を舞台の上に立つことで確認しながら、自信を身に付けて行くのだと思う。

葉山遥華

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舞台に立つと化けるタイプ。
まだ安定はしていないが、裏に逃げる歌声には光るものがある。
このグループのアンセムとも言える「星空ディスティネーション」の歌いだしを任されたのにも納得。

能見雛子

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「アイドル」と言うものの不思議な魅力を体現。
今出来ていること以上の「何か」を感じさせる鳳雛。
かたじけなさに涙こぼるる。

今回のライブから、基本的に静止画は撮影可能(※外部ライブなどでは、イベントとして撮禁の場合もある)になったが、撮ってみて得心が行った。
絵にならない瞬間が少ない。

ライブ中の撮影を禁ずる理由の一つとして、写真の質を送り手の側でコントロールしにくい事が考えられる。
特にライブ中に声を張って歌ったり、難易度の高い振り付けをこなしたりする際、余力が無いと凶相になりがちなのだけれど、それが全くとは行かないものの、ほぼ無い。
どう切り取っても絵になる。
そこに、メンバーも送り手も自信を持てているのだと思う。


きっちり準備期間を取ってお披露目に備えて来た事が伺える舞台上での象徴的な振る舞いとしては、反応を強いる煽りを入れなかった事。

現状で客の出来る反応としては光る棒を振るか手を叩くかの2択になり、光る棒を持っていれば当然手は叩けない。
なので煽られても無力感に苛まれるだけで、客としては差し当たって何もできない。そして、内心の高揚と外面に現れる振る舞いはイコールでは無く、静かに見ていても感極まっている事もある。
以前から脅迫・強要に類する煽りは無く、もっと楽しもうと促すような明るく楽しいやり方であったので不快に思ったことは無いのだけれど、そうしたものも含め、煽りめいたものは無かった。

制約も多い中で如何に客を納得させて帰すか。
一旦立ち止まって、今出来る事、今すべきことを考え、練り上げられたライブであったように思う。

白の客はちらほら、紫(旧)の客は激減。
辞め方の違いはあろうし、白の客は前身の前身から来ていたと言うのもあるとは思う。
しかし、どちらの客が今見ても、成仏できると思う。
過去を否定せず、今ある新しいもので見事に再構築されており、痕跡がないので未練も残らない。
決別してしまった人も、一度見に来て欲しい。

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(2021.06.30 記)

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