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icon CONTEMPORARY PHOTOGRAPHY 2023

恵比寿から自転車転がして六本木へ。

入場料は、前売り 1,200円 / 当日 1,500円。
当日で入場。 パンフレット付チケットを勧められたが、出展作の大半に興味がないのでご辞退申し上げた。

開催概要

コンテンポラリーフォトに焦点を充てた総勢50名の作家によるグループ展「 icon CONTEMPORARY PHOTOGRAPHY 2023 」が、今年も AXIS GALLERY にて開催されます。コンテンポラリーアートにおける新しい写真表現を担う写真家たちの作品を、ぜひ会場でご覧ください。リアル展示に加えてメタバース会場でもお楽しみいただけます。

ステートメント

現在、欧米のPACE GalleryやGAGOSIANなどの現代アートに特化した商業ギャラリーでは、数十名規模のフォトグラファーがアーティストとして在籍しています。同様に、中国や韓国などのアジア諸国でも、数名のスーパーフォトグラファーが誕生しています。ところが日本国内では、作品としての写真の価値が低く評価され、総じてフォトグラファーの地位も低い状況にあります。これはアーティスト側の課題だけではなく、オーディエンス側も含めたマーケット全体に課題があると捉えています。
アーティストは、美術的な価値がある作品を創り、その価値に見合った適切な価格を付ける責任があり、併せてオーディエンスが安心して作品を購入できる方法を模索する必要があります。そして正当な対価を受け取り、次の作品制作に専念できる環境を整えることも不可欠です。同様にオーディエンスも、単に作品を鑑賞して楽しむだけにとどまらず、その作品を所有することも選択肢の一つとして考え、作品の価値を深く理解する必要があります。アートフォト市場に積極的に関わり支援することで、市場の活性化と成長を促し、アーティストとその作品の認知を促進する極めて重要な役割を担っています。
アーティストとオーディエンスが相互に刺激し合い、日本のアートフォト市場を活性化し世界レベルにまで押し上げることが、私たち icon の目標です。私たちiconは昨年に引き続き、今年も” icon CONTEMPORARY PHOTO EXHIBITION “ を開催し、日本のアートフォトの価値向上を目指して果敢に挑戦していきます。

出展者

池谷友秀 / 磯部昭子 / 上野王香 / 内倉真一郎 / うつゆみこ / 大橋英児 / 大和田良 / 岡野慶 / 尾黒久美 / 金澤正人 / 菅実花 / 菊地良太 / 桑迫伽奈 / 小倉京樹 / 小瀬村真美 / 五味彬 / 渋谷美鈴 / 須崎祐次 / 鈴木萌子 / 高野勇ニ / 武居功一郎 / 丹野徹 / 地蔵ゆかり / 釣崎清隆 / 中村智道 / 七菜乃 / 西村祐馬 / 枦木功 / 平澤賢治 / 藤倉翼 / 本間理恵子 / 舞山秀一 / 美島菊名 / 水谷イズル / 宮原夢画 / 武藤裕也 / 藪崎次郎 / 山内悠 / 山元彩香 / 横山隆平 / ARISAK / Hajime Kinoko / HASEO / Kentaro Takahashi / Masumi Shiohara / Michael Hitoshi / PHOTOGRAPHER HAL / RASIKI / SOLENE BALLESTA / Zohre Miha

そもそも「コンテンポラリーフォト」なるものの定義が曖昧で、何を以て「コンテンポラリー」とするのかはっきりしない。
会場には

・写真を使った現代美術・・・の、ようなもの。
・それを是とする層に訴求し得る種類の写真。

が展示されており、写真展と言うより見本市と言うか、商談会と言うか、作品と向き合う以外の要素が大きい。

広い会場ではあるが、畳にして何畳分という大作から小品まで50人分。
作家と言うのは作品の良し悪しで評価されるので、人間性とか常識とかを母の胎内に置き忘れてきたような人も多い。
「どうやって展示しろと言うのか?」と首を傾げざるを得ない物もちらほら。
それを何とか見られるような配置にした主催者の苦労が偲ばれる。

特に説明を要しない、作品そのもので語り切れるものは、矢張り強い。
ただ展示してあるだけでも目を惹く。

閉口したのは、作品そのものには中身が無く、コンセプトそのものが作品になっている類のもの。
こうしたものは出展者が自作(と両隣、向かい側)の観覧スペースを占拠して、来場者に長広舌を振るう。
夜店の香具師みたようなもので、幻術で購買意欲を創り出す。

まぁ、見る側にとっては邪魔以外の何物でもない。
私が見たいのは大和田良の小品なのだけれど、それに背を向けて立っている香具師の客が一向にどかない。

漫画「ラーメン発見伝」に登場人物の芹沢達也が
「ヤツらはラーメンを食ってるんじゃない。情報を食ってるんだ!」
と無定見な客を揶揄する場面があるが、現代美術も似たようなものである。
虚像で作り出した「アートフォトの価値」なんざ、絵に描いた餅以下だと、私は思う。

一見しただけで、目が精査する事を拒むような物(良し悪しではなく、好悪にかかる問題)を流し見して、見たいと思えるものだけ見る。

HASEO
何時もの泰西名画的な大作と、DNPの表現工房と組んで作った立体モノ。
写真という仕組みや技術の上に、自らの美意識を積み上げで成り立っているが、インチキ的なものが並ぶ中で見ると、作品としての強さがある。
私の好みとは対極にあるが、質として申し分無い。

大和田良「UNDER WATWE」
小品一点のみ。
現代美術に寄せた感じではあるが、モノクロプリントとして美しい。

音実花「THE Future Mother 10」
大相撲の優勝額くらいありそうな巨大なもの。
少し離れて見ると、スポットライトの映り込みを拾わずに見られる角度がある。
会場の大きさや天井の高さ(自分の作品がどう展示されてどう見えるか)を考えずに出展したものでも、設営する側の営為でどうにかなることもある例。

舞山秀一「A MOMENT」
旅のさなかに撮影した風景とスナップの連作。
暗く沈んたモノクロームで4点選んである。
アートフォトとしての価値が、実体として存在していた。

そもそも、写真である必要を感じないのも多く、「コンテンポラリーフォト」と言うくくり自体の無意味さを感じた、写真展とは似て異なる、写真展的ななにか。

昨年も、まぁ似たようなものではあった。



(2023.09.17 記)

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