山中夏歩 個展『 OMIYAGE 1/2 』
午后から銀座へ。
自転車で動くには危険な陽気、諦めて地下鉄で。
CO-CO PHOTO SALON の入っているルート銀座ビルは都営浅草線東銀座駅A7出口至近。
昭和48年の竣工で、建蔽率を突き詰めない、凝ったデザインの鉛筆ビル。
上の方の階には銀一が入っている。
石油ショック直前の、高度成長期のゆとり。
停まると「チーン」と音のするエレベーターで4階へ。
10年の間、ロケの合間に撮り溜めたスナップを大キャビくらいに伸ばして、余白を大きく取った額に展示。
つぶさに見ようとすると、視野には写真と余白しかなくなり、没入しやすい。
覗き穴の写真。
最初の壁は身長 165cm の私で一寸見下ろしになるくらいの高さで揃えられている。
角を曲がって奥の壁は、見上げ構図のものは上に、正対したものは真ん中に、見下ろし構図のものは下に展示。
最後の壁に9枚を3×3で展示したものは些か高すぎるところにあり、照明の反射を拾ってしまっていたが、見辛いと言う程でもなく、全体的には見やすく、見終えて納得の行く展示。
人、動物、物、風景。
「決定的瞬間」的な緊張感は無いが、逃げていく機会を逃さない抜け目のなさはある写真。
光と翳、もののかたちや色。
視野に入って心を動かした物の正体を掴むのが早く、それを活かす準備が出来ているのだと思う。
ぱっと見て分かりやすく、掘り下げて面白い。
冬の猪苗代湖畔で撮ったと言う一枚に唸る。
雪の積もった白い湖畔には暗褐色の鴨が、濃紺の湖面には白鳥が、それぞれ群れを成している。
縦位置長方形の画面の中央付近に、色で分かれて斜めに線が入る。
巧い。
額の余白部分に、恐らく混みあった時間帯に来場者の荷物によってつけられたであろうこすれた跡が付いており、気が付いた主催者が消しゴムで消していた。
(幸い、綺麗にはなったようだった。)
額に保護板が付けられていないので、写真と直接向き合えるのは有難いが、こうした事故の危険もある。
気を付けたい。
早大通りの北側にギャラリーを開くとのこと。
私は遮蔽して光をコントロールしたギャラリーより、窓を大きく取って光を取り入れるギャラリーの方が好きだ。
オープン記念の企画展にも足を運ぼうと思う。
(2024.09.07 記)
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