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グループ「写真を紡ぐ会」第1回写真展 温故知新

目黒駅から権之助坂を下り、目黒川を渡った向こう岸にある目黒区美術館区民ギャラリースペースへ。

目当てで見に行った黒木麻恵の作品は良かった。
「鶏卵紙」「ルーメン」「サイアノ」
特殊な技法が「技法の為の技法」になっておらず、自分の作品をそれとして成り立たせる為に使役できている。
鶏卵紙プリントは、適度に情報が刈り込まれており、私好みの色合いだった。

他に気になった出展者は、久保麻理子。


開催する事に意義を見出す人々による、野放図に広く募られたグループ展だった。
写真展としてはお粗末の極み。
会場そのものは広いが、人の動きを全く考えていない配置に呆れる。
壁の角のギリギリまで展示に使用しているので、そこに在廊者と来訪者の滞留が生じる。
自分の写真の前に立ち塞がって世間話をしている出展者の写真なんざ待って見るのも時間の無駄なので、目当てのものだけ見て早々に退散。

主催者の側で場を制御する気が無い、そもそもそうする必要が生じている事に無自覚でもある。
自分の出展作品が見やすいように、在廊していない出展者の作品の前を塞いで話し込む出展者と来場者。
二、三歩引いて中央寄りに立てば邪魔になりにくいのに、その少しばかりの気遣いも出来ない。

来場者を押しのけて、其処此処で記念撮影。

これは主催者が目配りして注意喚起すべき事柄なのだけれど、主催者は主催者で受付卓で談笑。
裏方が一人も存在しない。 そこに居る全ての人が参加者として楽しむ気でいる。

広く見て貰うのではなく、知己に見て貰う為の、内向きの写真展。

こう言う懇親会としての写真展もあって良いと思う。
但し、その手のものはそうであることを分かりやすく提示して欲しい。
今後この主催者の写真展を見に行くことがあるとしたら、それはどんな写真が見られるかではなく、どんな地獄が其処に拡がっていてるかを観察する為。
基本的には避けて通りたい。

(2023.05.30 記)

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