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みなとシティバレエ団写真展「BALLET AUTHENTIC」

新宿マルイ本館8Fイベントスペースへ。
フードコートに軽食を摂りに行ったつもりが、出て来たのはフルコース。
困惑しつつも堪能して帰宅。
会期はまだまだあるので、二度三度見に行きたい。

エレベーターを降りると、カフェが2軒シェアオフィスと保険会社の受付窓口の先にイベントスペースはある。
エスカレーターだと、登り切った目の前。

広く、明るく、開放的な空間を贅沢に使い、パーティションなどで区切らず、壁面と柱を中心に、衣装や小道具も交えてモノクロとカラーをセットで展示。
プリントのサイズが大きいので、遠目からもどんな写真なのかは分かり、まず目に飛び込んでくるのが煌びやかな衣装であることもあって、エスカレーターを降りた女性グループが嬌声を上げながらやってくる光景も見られた。

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「見て貰う」「見て貰う為に近付いて貰う」「近付いて貰う為にアイキャッチを置く」。
目当てで来る人以外の、通りすがりの人々を、静かで明るい祝祭空間が惹き付ける。

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同じポーズを一連の流れの動きを繰り返してもらって別々に撮ったものだろうと思ていたがそうではなく、カラーで撮影する後藤奈津子とモノクロームで撮影する福島裕二が「二人羽織」のような状態になり、高さは少し異なるものの同じ位置から同時に撮影したものであった。
カメラは福島がライカM10モノクローム、後藤がライカM-10R、レンズも揃えて。

バレエに精通した後藤奈津子が、どう言った流れの中の何処にその「型」の精髄があるのか福島に説明し、実際に見て貰ってから前述の「二人羽織」の状態で撮影。
「型」のきっちり決まった芸能は、それの意味や見せ場見せ方を分かった人が撮るとより伝わりやすくなる。

同じ動きだが別のテイクを使っているので、動きはピタリと合いつつ表情に差異が出るのだろうと考えていたが、そうではなかった。
同じタイミングでシャッターを切っているようでいて、数瞬ずれている。
後藤は全体の調和を撮り、福島は表情にも重きを置く、その違いが同じテイクに於いてそれぞれのシャッターチャンスとして現れる。

高速連続撮影では、齣と齣の間で撮り逃してしまう類の「チャンスの前髪」。
それぞれが、それぞれにしっかりと掴んでいる。

カラーで撮ったものから色を抜いても「色抜きカラー」が出来上がるだけでモノクロームにはならない、モノクロームに色を足しても然り。
別々に、然し条件を揃えて同時に撮る事に意味がある。
カラーは衣装やメイクの華やかさを含めた表現、モノクロームはそれらを削ぎ落して光の陰翳だけで見せるもの。
骨格や肉や筋の付き方は、モノクロームの方が視認しやすい。

見えにくい色のある人だと、却ってモノクロームの方が見えやすい事もあるらしい。モノクロームで全体を把握してからカラーを見る事で、より分かり易くなるとの事そんな副次的効果もある。


照明は、一寸強いかなとも思えた。
引いて見ようとすると、反射が強い。
しかし、寄って行くと、丁度左右のカラーとモノクロを見比べられる位置まで来たところで、見やすい状態になる。
その写真を見やすい位置が、二枚の写真を見比べるのにも最適な位置になっていた。
照明の反射は、大きく引いて見ると気にならない。
少し引いた位置から、様々なポーズを見比べるのも楽しい。

空間として繋がっているオープンスペースなので、カフェの喧騒、食べ物や飲み物の匂いが気になるのではないかと言う危惧もあったが、杞憂だった。
写真そのものが強いので、まったく気にならない。
カフェの喧騒は、劇場の開演前の賑わいのようにも感じられて、心地良くすらあった。

濃厚な写真に圧倒されても、其処此処にある椅子に腰掛けて休める。
休みながら考えを整理し、答え合わせをする為に、また見て回る。
団員が、誰かしら在廊しておられるようなので、質問することも出来るし、あちらから話しかけてくれることもある。
団員と、撮影者である後藤奈津子から話を聞くことが出来たが、疑問だった部分は氷解し、より深く知ることが出来た。

帰路、4階で行われている関連展示「Ballet Futures展」を見る。
こちらはカラーとモノクロが対になった写真が小さめのプリントで。
そしてバレエ団の日々の活動を撮った後藤の写真と、衣装や小道具が展示されていた。
併せてご覧になる事をお勧めする。

8階は撮影禁止、4階は一部撮影可。
小道具などの写真は、4階で撮影したものです。

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(2022.06.11 記)

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