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プレステージ写真展『野々浦暖 涼森れむ×柳沢康太』

入場料は2種類。 500円の当日券(その日は出入り自由)と1000円のフリーパス(会期中出入り自由)。
最終日と言う事もあり、当日券で入場。
出入り自由なのは、特典会の込み具合で出直したり、在廊時間に合わせたりする想定顧客層の行動を想定してのものだと思われる。
写真展でありつつ、特典会を厚くした大人の文化祭的なもの。

明治通り側の大窓と、渋谷川側の小窓は塞いで遮光。
照明は黒の羅紗紙で作って照射範囲をより絞ったスポットと、時間の経過で色の変わるライトを併用。
構造壁やパーティション、すだれなどを使って迷路のように入り組ませた配置を活かして、副題となっている「秘宝館」の妖しさを演出。

展示ブースと物販机を行き来できるスタッフ用の狭い通路に「通り抜け禁止」の札。「ヌケラレマス」になっていないところが当世風。

遮光もスポット筒も、機能だけに徹した簡素なもの。
それすらも演出の一環とする西田幸樹とは対照的な割り切り振り。

グラフィティアートだらけの廃墟で撮影したものや、写真にグラフィティフォントで描き込んだものなど、「やんちゃな写真」多め。
柳沢康太のキャリアの振り出しがハマジムであった事も腑に落ちる。

野々浦暖と涼森れむの体格差が割とあるので驚く。
涼森れむが剛健と言う訳ではなく、野々浦暖が華奢な上にも華奢。
涼森れむは自尊を、野々浦暖は虚無を、それぞれ表情に乗せるのが巧く、棒組で撮られた写真にもそれが生かされていた。

(2023.01.30 記)

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