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写真展「サンキュールデコ」

色々やらかした大規模公募展があったらしく、利用要項が厳格になったギャラリー・ルデコ。
古いビルを建て替え、安定して賃料を払えるテナントを確保して、渋谷駅から徒歩圏内にビルのほぼ一棟がギャラリーと言う有難い箱を存続してくれている運営主体への感謝からの企画らしい。

主宰は様々なグループ展をここで開催して来たケンタソーヤング。
写真種々雑多と言うか、百花斉放と言うか、百家争鳴と言うか、硬軟巧拙取り混ぜてわいわいと。
ルデコの特性、他にはない長所を理解している人の仕切り。
出展者も「わかっている」人が多い。
わいわいやる為の写真展なので、私も硬い事は言わない。
見辛いっちゃ見辛いが、絶望的な状況にはならない配置にしていたのも、訳知りならでは。

エレベーターホールとエレベーター内部の告知で6階に誘導して、階下で開催されている2つの写真展に下ろして行く「シャワー効果」を狙った施策。
横のつながりがあるから出来る事ではあるが、これもかつてのルデコでは良くあった事。
写真展は見て貰わなければ意味が無いが、対象が誰でも良い訳ではない。
写真を見たくて足を運んだ人が来てくれると言うのは、それによる美術展粘着おじさんの出現などの負の面はありつつも、有難い。
このあたりも、仕掛けに慣れた悪い人の仕事。

Nobby
Waiwan

と言ったところは安定して見応えがある。

床の間のように凹になった部分に、福島裕二がいのうえのぞみを撮ったB0カラー。
これはまぁ、作品の質としても、大きさとしても、置き場としてもズルい。
予期せぬところに埋まった巨大な地雷。

ルデコは

・渋谷駅から徒歩圏
・広くも使えるし狭くも使える
・明るくも出来るし暗くも出来る
・他の写真展の「ついで」に見て行ってくれる
・展示できる作品の自由度が高い

等の利点があり、特に「展示できる作品の自由度が高い」については、ルデコ以外に会場を移した公募展で制限が設けられるようになった事から考えて、有難い上にも有難い。
直近で見た写真展でも低劣なものはあったが、それもなされる表現にハコの側で干渉しないことの表れでもある。

担保された自由に甘え過ぎた放埓な主催者によって、仕様要項が厳しいものにはなってしまったが、存続してくれるだけでも有難い。

(2023.04.30 記)

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