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♮リアスクライブ 2nd ONEMAN LIVE -リアライズ-【Realize】

「何故、このタイミングで?」と疑問を抱きつつ、その理由は語るなり記すなりされるだろうと一旦横に置いて、現象だけを見る為に横浜へ。

会場の横浜MMブロンテは、みなとみらい21地区の奥の方にあり、

みなとみらい線 「新高島駅」 4臨港パーク口 :5分
みなとみらい線 「みなとみらい駅」 2いちょう通り口 :6分

となっているが、これは不動産ポエム的フィクションの「飛んでも8分、歩いて15分」の文脈に於けるものであり、実際はもう少し掛かるし、炎天下に歩く再開発地区特有の殺風景な街路は、体感的には永遠であるようにすら感じる。
模式図を真に受けて新高島駅4番出口から高島中央公園を突っ切るルートを選択した私は、公園へ渡る手前の、左右に逃げ道も無い袋小路の工事現場柵に行く手を阻まれ、とちのき通りへの大迂回を余儀なくされた。
現況の不確かな再開発地区。 夏場でなくとも横浜駅からタクシーを使うのが最適解であるように感じた。
開場時間前でも会場内への入場は可能であり、冷房も効いているので、ゆとりを持って出向くのが吉。

都心からでも50分は掛かる場所にある箱を敢えて使う理由としては、費用対効果だと思われる。
設備も新しく、天井は高く、背面は大型スクリーンになっていて、フロアも広く、音の響きも良い。
配信スタジオとしても使える施設なので、ライブの記録をより質の高いものにも出来る。

チケットは5種
Sチケット:(30枚限定)最前エリア、撮影可能PASS/特典会ファストパス付
Aチケット(撮影PASS付き):通常Aチケットより先に入場
Aチケット(ネット予約)
Aチケット(現場手売り)
当日券

上から順につつがなく入場。

ステージに近い所にSチケットの優先エリア、その後ろにその他のチケットの人々が混在する一般エリア、一段高くなったPA横に女性限定エリア。
階段の上に関係者席。

ほぼ定時に開演。

姫宮るながのっけから泣いているように見えなくもなかったが、そこは堪えて大崩れはせず。

夏場だが、正装のケープ付きで出て来たのは、今日でグループを去る事になる愛芽ばくに「遣り切らせる」為なのかもしれない。
流石に暑いらしく、ケープは一曲目の終わりで外してMC。

セットリスト

日向みゆツイートから拝借

次に歌う曲に籠めた思いを、それぞれのメンバー持ち回り、それぞれの言葉で。
綴る言葉も、語る言葉も、どちらも大切にするこのグループらしい演出。

但し、グループの特質であり美点である「言葉を大切にする」ところが、届くべきところに届いていないというか、客の側に蔑ろにされている事が可視化されてしまったところでもあった。

全てのMCや曲紹介に於いて、「聞いていない」「ガヤを被せる」「聞こえよがしに雑談をしている」醜悪な光景が見られ、聞かれたのは残念だった。

以前はメンバーの口からも発せられていた「それぞれの楽しみ方で」が聞かれなくなって久しい。
病禍が収束の兆しを見せ始めて以来、抑制されてきた客の振舞いにも自由度が増しつつあるが、その自由が同調圧力となって「それぞれの楽しみ方」を排除しつつあるように、私は感じている。
ただ立って見ていられる現場では、なくなってしまった。

「絶対絶対」での、会場全体での横移動。
やっている側が楽しいのは理解できるが、そう出来ない人、それを好まない人、それが行われることに恐怖を感じる人の存在が閑却され過ぎて居ることを、私は危惧する。

私は巻き込まれるのを避ける為に端で見る事にしているが、それでも横から突っ込んで来られる事への恐怖はあるし、足元に置いた荷物を踏まれそうになった事もある。
壁際に立っていてすらそうなので、喧騒を避けてライブを見ようとすると、もはや最後列以外の選択肢が無い。

群集心理による無作法が顕在化したのが、前述した「聞いていない」「ガヤを被せる」「聞こえよがしに雑談をしている」なのだけれど、送り手にもメンバーにも危機感が見られないし、寧ろそれを楽しんでいるようにも見える。
自分たちの世界観を共有して楽しんでくれる人を増やしたいと言う思いに嘘は無いと思うが、目的を叶える為の手段について、深くは考えられていないもどかしさがある。

メンバーがチラシを配って会場に連れ来た新規のお客さんが定着してくれた方が私は嬉しいのだけれど、現状では、そうはなっていない。

パンドラの匣が開いてしまった観はあるが、それでも箱の底に「希望」は残っており、「煌めく流星群」から「夜空の物語り」へ繋ぐ流れには、感極まってファインダーを覗けなくなるくらいの悲痛なる感激があった。
天乃さやが、何時にも増して素晴らしく、素晴らしすぎて逆に不安になるが、これがある以上、多少の不愉快は覚悟の上で、リアスクライブのライブには足を運ぶだろう。

消えないでください

今年に入ってからの二度の別離で、アイドルとしての天乃さやが、何時か、予想していなかったところでこの世から消えてしまうのではないかと(そういう事が、過去に一度あった)、漠然とした不安を抱えていたので、天乃が手紙を読み始め、一旦言葉を切った時には思わず息を呑んだが、お知らせはグループの所属事務所からの独立であった。

グループのコンセプトが尖っているので、それを貫くにはより自由な環境が必要だったのかもしれない。
現在進行形の「ナラティブ」の担い手としてメンバーが言葉を綴り、「ストーリー」として残して行く、立ち上げ当初の煌めきを再び見られるようになりますように。

姫宮るな

ふんわりと愛らしく、唯一無二。 歌声は伸びやかで優しい。

夢咲あむ

夢咲あむ

抜けているところもあるが、姉御肌で頼もしい。

愛芽ばく

愛芽ばく

「なりたい自分」になる事が、周りも幸せにする事を教えてくれた。

涼風つばさ

涼風つばさ

利他的である事に(若干の胡散臭さはありつつ)厭味が無い。

日向みゆ

日向みゆ

抑圧された高校生活を終え、蛹が蝶になった。

天乃さや

天乃さや

韜晦の小島の磯で蟹と戯れつつ、ステージの上での振る舞いには嘘が無い。

何があっても、見終えた時の収支はプラス。
今日も重馬場に強いリアスクライブであった。

(2023.08.20 記)

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