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鷲尾めい×福島裕二写真展「。」(再訪)

仕切り直して会期延長となると、何かしら変わっているかもしれない・・・と思いつつも後回しにしていたが、会期終了間際にもう一度。

その写真についてのこぼれ話や、当時の心境などを付箋に記したものが数多く張られているのに気付く。

写真の入れ替えはあったようであり、増えていたかもしれない。
増えた写真の内容であるとか、付箋に書かれたあれこれなどは、その場に来て目にした者の心の裡に秘めておくべき種類のものであると、私は感じた。

扇情的な写真がある訳ではないが、500円の木戸銭以上の価値はある。

いつもの「水の使えるスタジオ」で撮られた一連のカット。
中高年男性を想定読者層にした雑誌のグラビアなどで見られる扇情的に見せる為に身に着けさせるものとは似て異なる、モデルの躰に寄り添うようなあれこれ。
彩りを付与するトッピングではなく、素材を引き立たせるために加える隠し味と言うか、写真を五月蠅くしない程の良いもの。

どれか一枚となると、浅草寺境内と思われる、夕涼みの雑踏での一枚。
一寸上気した頬の艶。 浴衣。 夏を感じる一枚。

ON とOFF のあるオフショットではなく、そもそもスイッチを入り切りしない状況で撮られたもの。
メディア向けのグラビアではブリッジでも使われないような、何気ない一と齣なのだけれど、何とも味わい深い写真。

浴衣のカットは、どれも良い。
大川端、日本橋、浅草。 太陽の高さなどから時系列で並べ直しつつ見る。
他に浴衣のカットは無いか、ぐるぐると徘徊。
何周もして初めて目にとまる写真もある。

まだ何か見落としたものが有るような気もしつつ、その前に脳が飽和して会場を出た。
会場にこもる、鷲尾めいの情念のようなものに酩酊。

(2023.01.19 記)

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