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佐田茉莉子×マキエマキ写真展「短夜の夢」

プレステージ写真展の下の階での開催。
みっちり遮光したあちらとは対照的に、外光を取り入れた明るい展示。

 2022年8月〜9月に行われたクラウドファンディング「写真家・マキエマキが撮る佐田茉莉子写真集&個展開催プロジェクト」による写真展です。目標金額の7000%達成という、驚愕の結果で終了したプロジェクトが、幕を開けます。
 
 多くの男性ファンを魅了して止まないトップ熟女AV女優佐田茉莉子を、昭和のエロをこよなく愛する写真家マキエマキが撮影。70年代のロマンポルノへのオマージュや、旧赤線エリアでのロケ、貞淑な人妻の奔放な夢など、ストーリーを感じられる構成となっています。
タイトルの「短夜の夢」は壬生忠岑が詠んだ
「夢よりも はかなきものは 夏の夜の 暁かたの別れなりけり」
に由来します。
エロ(ス)というものは日常的なもののようで、真実がどこにあるか掴めない。掴めたと思ったら指の隙間からこぼれてしまう、儚い真夏の夜の夢のようなものだと感じたところからこのタイトルを付けました。
ひとときの短い夢のような時間をこの展示でお楽しみいただけたらと思います。 

ステートメントより

薬局の店頭で見た強壮剤のポスターから抜け出たような、額に水中眼鏡、海女装束に赤フン。
「Aライン」より「アッパッパ」と呼びたくなる夏のワンピース。
親世代が着ていたようなワンピース水着。
「例の」貝殻水着etc...

衣装もロケーションも「解っている人」であるマキエマキが撮っているので、写真の中にある昭和的な物に「取って付けた」ようなものにならない。
ドアノブやガラスなど、調度に現代が入ってしまうこともあるが、大枠がしっかりしているので些末な部分はノイズにもならない。

湿り気はありつつ、からりと明るくもある。
何かの行為を想起させるポーズも、仄めかしに留まる。
やらされてる感皆無、自己決定権の行使としてのエロス(とタナトス)。
生々しくはあるが、適度に軽い。 私好みの匙加減。

クラウドファウンディングとしては大成功に終わりつつも、木戸銭は設定する。
この500円を取っても取らなくても写真展として成立するかもしれないが、それを敢えて頂く事で不幸な出会いを防ぐことは出来るし、お金を払う人の存在が可視化される事が、次の企画の切っ掛けにも支えにもなる。

来場者が散財したくなるような物販コーナーの充実ぶりも含めて、良く出来ていた。

(2023.01.30 記)

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