Go for it, me‼︎

人生で初めて、西野カナになりたいと思った。

巷で西野カナが人気だった中学時代。ONE PIECEのゾロに絶賛片想い中だった私にとってもちろん彼女はアウトオブ眼中。

「会いたくて会いたくて震える」こともなければ、「もしも運命の人がいるのなら」なんて、可愛げのあることを思ったことは1度もない。西野カナの音楽ははいわゆる「女の子」が聴くような曲で、わたしには別世界だ、と勝手に線引きをしてしまっていた。

だけど、今は心から思う。

西野カナ、私の「トリセツ」を書いてくれ。

急に不機嫌になることがあります わけを聞いても 答えないくせにほっとくと怒ります いつもごめんね でも そんな時は懲りずに とことん付き合ってあげましょう(西野カナ『トリセツ』)

天才だと思った。

自分はこんな人間で、こうすると喜ぶ、こうすると怒る。なんて、私には分からない。

加えてすごいのが、この曲、多くの女子から共感を集めたということ。つまり西野カナは自己分析しつつ、かつ「これって他人にも当てはまるよな」と、世間一般の感覚と自身のそれとを客観的視点からすり合わせているのである。

そんな客観的視点も持ちつつ、サビの終わりには『永久保証の私だから』とメッセージを残す。事実として、人の心は「永久保証」なわけない。だけど彼女は、それを口に出すことによって「私は絶対に移ろわないわ」と自分の強い意志を表明しているのだ。

西野カナの『トリセツ』は自己分析の鏡だ。

「自分はこうだ!って思いこんだ方がいいよ。」

友人が私にこう言ってくれた。

確かにそうだと思った。

何年か前の新聞に載ってたジャンプの広告のキャッチコピーは『夢は口に出す方が強い』だったし(印象に強く残ったからいまだに覚えている)、星野源だって『夢の外へ』で、『いつか遠い人や国の空 想い届けばいいな』と歌った7年後くらいに、ワールドツアーを行った。言霊の存在を私のヒーローたちが証明してくれている。

だけど、言霊に頼りすぎるのは自分に対して盲目になりかねない。

盲目にならないように、「私はこういう人間だ」というのを、客観的事実(体験とか?)から分析、そこから言霊を叶えるための計画と努力を……と、頭ではわかっているがそれが容易にはできないから人間難しいんだ。

だから、西野カナの『トリセツ』は、すごい。

「君がこうしてくれれば私の心は永久保証ですよ」と、自身の夢と意志を提示、それを叶えるプロセスを自己分析の末に、第三者にも伝わるように言語化する、という私がここ数ヶ月もだもだして一向に進まない部分を、いとも簡単にやってのけた。挙句、キャッチーなメロディラインにのせて、ばっちり世間の乙女の心をつかみ大ヒットナンバーに。

……て、ちょっとまてい!このトリセツさん、他力本願じゃ!なにが、「とことん付き合ってあげましょう」だ。ちっとはお前が我慢せい!こんなん、島じゃ村八分ど。
(失礼しました私の心のノブが出てきてしまいました。加えてノブは島育ちではありません。お詫びして訂正いたします。)

やっぱり私は、西野カナにはなりたくない。
自分の力で何かをしたい。
「懲りずにとことん付き合ってあげましょう」ってお願いするより、「妄想その手で創」※る人間になりたい。

ってあれ、これちょっと自己分析になってるかも。
ありがとう、西野カナ。


※星野源『夢の外へ』より引用



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