見出し画像

月の夜、本を読む・宮沢賢治を読む

宮沢賢治の詩

宮沢賢治の詩は、小学生の時の教科書に載っていた。童話も読んだ。
彼の詩も、童話も、あまり幼い私の関心を引かなかった。
彼の作品は、幼い私から見て、あまりにも邪気がなさすぎのような感じがして、物足りないような気がした。

高校生になって。
それなりに頑張って進学した高校は、女子高で進学校で、自分に合わないと感じ(自分で選んだのだが)、家に帰ると両親とはケンカばかりで居心地が悪く。なんだか世界のどこにも居場所がないな、とか思っていた頃、賢治の詩と再会する。
そして、死の直前の賢治の詩を読んで初めて私は、賢治を近くに感じた。

生きていることが苦しくてつらくて、なんだかいろんなことに頭にもきていて。そんな高校生の私に、賢治が「ボクもそうだったよ」って言ってくれているような気がして少し、気持ちが通じたような感じがして、ホッとした。

多分、高校生の頃の私は、“死”にとても近くて、“死”の存在を通して、賢治の世界に近付いていったのだろう。

私が、宮沢賢治という人の本当のすごさに気付くのは、もっとずっと後年になるのですけどね。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?