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月の夜、本を読む・末摘花の巻を読む

紫式部、恐るべし!

紫式部は、源氏物語において、きらびやかで美しい数々の姫君を登場させながら、時折びっくりするような面白い女性キャラを描き出す。

中でも末摘花という姫君は、不美人の代表的存在として描かれる、かなり痛い感じの姫君だ。
しかも、末摘花は口下手でセンスもなく、和歌もヘボい(この当時、ヘボい和歌しか作れないのは女性として致命的なマイナスポイントだった)。
ただし、血統はとても良い高貴なお姫様だ。
主人公、源氏は、末摘花と関係を持っても全く恋愛感情を持たず、しかしやがて関係を持った人間の義務感と落ちぶれ果てた末摘花への憐れみ、そして末摘花の高貴な出身を考慮して、末摘花を自分の邸(他にも何人もの自分の恋人が住む邸なんだけど)に引き受ける。

これは…
めでたしめでたし、なんだろうか?
いや、経済的には、落ちぶれていた末摘花にとってめでたい話なんだけど。
なんだか末摘花が幸せに見えないのは、あまりにも源氏の心が冷めているからで、この恋愛というには、あまりにも冷たい関係しか知らずに末摘花は、やがて老いて死んでいくのが見えて、末摘花、つまらなかったろーなー人生、とか思ってしまう。
んー。
でも、末摘花にとっては、これが最善の道だったんだろう。
しかし。
んー。

でも今だって経済の為に結婚するのか、相手が本当に好きだから結婚するのかって言えば、経済もあるよーという人が、むしろ多数派だよなー多分。

結婚は法律の管轄で、”好き“は心の管轄で、この二つを一緒にするのは、四角い入れ物に丸い物を詰め込もうとするみたいに、時に無理が出てきてしまうものなのかもしれないですね。

1000年も昔に、そのことを多分看破していた紫式部。
恐るべし!




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