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初めての自由な世界は裏に地獄が待っていました。

あの時、視界に入らなかったら
別の人生を歩んでたんだろう。


彼の第一印象はお伝えした通り
「男でびっくり!」だ。

彼は女性連れだったので
てっきりご夫婦だと思い込んでいた。

何回も結婚を繰り返すわたしを
これを読んでる皆様に
どんだけ男好きと思われてるのか?
と想像するけど

わたしは意外と一途である。

結婚している間、浮気をしたことはない。
お付き合いしてる時もそう。←のちに例外が出てくるが。。


なので、この時も彼がわたし好みのイケメンだからと言って
アクションを起こす気などさらさら無かった。
そもそも夫婦で来てるし、仲良さげだったし。



イベントが終わりに近づいて
この後の飲み会の場所について
仲の良いマイミクさんたちと話していた。

すると、視界に入るあのご夫婦
誰かと話す訳でもなく、ポツンと二人きりで立っていた。


わたしの性質の中にお節介と言うものがある。
特に、仲間外れとかぼっちとか嫌いなので
声を掛けてみる。

「あの〜、この後予定あるんですか?」

そう聞くと彼は

「いや、ないです。帰るだけです。」

と言った。

「あ、そうなんだ、この後飲み会するんですけど
もし時間あれば一緒にどうですか?」

そう切り出すと奥様らしき人が彼に耳打ちする。
彼もボソボソと彼女に答え、そして

「新幹線、最終で帰ればいいのでお付き合いします。」

わたしは泊まる予定だったので
一旦ホテルにチェックインして合流することにした。

独身で年下でイケメンで。

ホテルにチェックインしたら
急激に疲労が襲ってきた。
夏の炎天下でのイベントは老体にムチを打つ。

お風呂に入ってさっぱりすると
途端に眠気が襲ってきた。

電話の音でハッとする。

「今どこですか〜?居酒屋の〇〇予約しましたよ〜」
マイミクのうさちゃんだ。

慌てて支度して居酒屋へ向かう。

ホテルから歩いて7〜8分のところにあったので
すぐに合流出来た。

女子限定マイミクなので彼以外は女の子ばかり。

わたしは彼の真ん前の席。
彼の左隣には奥様のゆっきーさん
右隣にはうさちゃんが座っていた。

「今日は帰るんですね〜、泊まれば良かったのに〜」
そう彼に言うと
「いや、僕は良かったんですけど
ゆっきーさんが仕事らしくて。」

「え?ゆっきーさんって奥さんじゃないんですか?」
ビックリして聞くと

「え〜、夫婦じゃないですよ、僕ら。
ゆっきーさんにはちゃんと旦那さんがいますよ〜」
と笑いながら否定された。

それを聞いてうさちゃんの目が光る。

「え!○○さんって独身ですか?
年はいくつなんですか?」

「僕は半年前に離婚したばかりの36才ですよ。」

うさちゃんは40才独身、実家暮らし。
実家を出る為に結婚したいと常々言っていた。

そもそもその当時Veganに男性はほぼ皆無。
いてもちょっと拗れたタイプばかりだった。
(思いきり私見。)

逆に当時のVegan女子は独女ばかり。
まともそうな男子はすぐにモテモテになってた。

結局、最終の新幹線で2人は帰って行った。

わたしはその後2泊し、
他のマイミクさんにその当時珍しかった
Veganカフェに連れて行って貰ったりと
めっちゃ充実した旅を味わっていた。

行きは良い良い、帰ったら地獄。


楽しい旅行はあっという間に終わり
たくさんのお土産を抱え、家に着く。

3日間楽しいことばかりだったので
笑顔が顔に張り付いている。

その顔のまま玄関を開けるとそこには
鬼の顔をした夫が仁王立ちしていた。

「お前〜、毎日電話もしないでどこ言ってたんだよ〜!!」

あまりの形相に笑顔が凍りつく。

「え、ど、、どこにって大阪、でしょ?」

「そんなに大阪がいいならそのまま出ていけ!」

そう言うと夫はわたしを突き飛ばし
玄関のドアを閉めた。

尻餅を突いたわたしの目の前で
チェーンをかけるガチャガチャという音が遠くに聞こえた。


ああ、そうだった。
わたしはここ(地獄)の住人だった。
ほんの3日の間に忘れていた。

喧嘩をする度に
何か気に入らないことがある度に
家から閉め出された。

当時はお金も夫が握っていたし←自営で働いててもわずかな給料しかくれなかった。
実家←この話は長くなるのそのうち。。
には居場所がないので帰れず
近くの大きな公園で一晩を過ごすしか道は無かった。


理不尽に屈する思いきりの屈辱感


朝方、家に戻り、コソコソと玄関を開けてみた。
チェーンは外れていた。

「あ、な〜んだ、夜帰れたかも。。」

玄関の音で帰宅がわかったのか
夫が寝室から出てきた。

「おい!帰っていいなんて言ってないぞ!
反省してんのか!」

何を反省するのか、そもそも閉め出される理由などないのに。

でも、こんな時、いや、こんな時だけじゃない、
彼に何を言っても無駄。
自分が100億%正しいと思ってるから
彼が黒と言ったら黒だし
わたしが悪い、と認定したら悪いしかない。

「ごめんなさい、本当に反省しています。」
そう言って土下座する。

自分が悪いと思えないのに謝ることって
つくづく自分が奴隷のように感じる。

きっと、今回の事もず〜っと尾を引いて
彼の怒りのすべてがわたしに注がれるんだろうな。

あの楽しい3日間は桜のようだった。
あっという間にハラハラと落ちて
夫の靴で踏みにじられ、汚れて腐っていく。


元の日常に戻る。
毎日、怒鳴り声で起きてご飯を作り
仕事に行って、慌てて帰ってお昼を作り
また戻って仕事をして買い物してご飯を作り。
何かあると怒鳴られて蹴られて殴られる。

そんな変わらない毎日の楽しみが
ほんの少しの時間だけ出来るmixiでの会話だった。



「先日の大阪行ったマイミク東京組で
こっちでご飯食べようって言ってるんですが
行きませんか?」

そう○○さんからメッセージが来たのは
ひとり旅から2週間過ぎた頃だった。


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