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勇気は内側から出るものじゃなく人から授かるものなんだ。

前回までのお話しです↓

目覚めたら、足の下には地雷がありました。


元旦はとても穏やかな日だったと記憶してる。
朝から晴れていて、暖かな日差しの中
酔いも相まって気持ち良く眠っていた。


「何、寝てんだよ!」

最初はなんのことだかわからなかった。
寝ぼけ眼で、怒鳴りまくる影を見上げる。

ハッと気づいて時計を見ると
もう5時になっていた。

「あ、ごめんなさい、寝ちゃってた!」
そう言って、立ち上がろうとすると彼は

「なんで酒の支度が出来てないんだよ?」
と物凄い形相でわたしを睨んだ。

「ついつい寝ちゃって、、、今すぐ用意するね。」

ここからはいつものやり取りが続く。

夫「なんで支度が出来てないんだよ?」
わたし「ごめん、寝ちゃってた。」
夫「なんで支度出来なかったのか聞いてるんだよ」
わたし「え、寝ちゃったから。」
夫「ちゃんと答えろよ」
わたし「え、、、、。」
夫「わざと寝たふりしたんだろ?
俺に用意したくなくてそうしたんだろ?
憎くてそうしてるんだろ?」



いつもそうだった。
夫には夫なりのわたしの行動の理由があって
その答えを言うまで許してくれなかった。

でも、その行動の理由
いつも悪意に満ちたものだったから
わたしはそれを認められなかった。

もっと理不尽なのは
万一それを認めたとしても
どちらにしろ地雷は爆発するのだった。

わたしにも我慢の限界ってあったんだ。

それは、ひさしぶりだった。

たぶん、ほとんどの家庭で
ニコニコして過ごしているだろう元旦の夕方に
わたしはひさしぶりに殴られていた。

彼曰く、ほんのちょっと小突いただけらしいけど
わたしには、とても惨めな出来事だった。

たかが、こんなことで
何故、こんなにも怒られなければならないのだろう。


今までの私だったらいつものことだと
やり過ごしていたのかもしれない。

でも、新しい仲間との出会いは
私を変えたんだろう。

気がつくと、彼に向かって怒鳴り返していた。


「も〜〜〜う、我慢出来ない!!!!
あなたとは一緒にいられない!
別居してください!」

彼の目を真っ直ぐと見据えながら言う。

元旦の夜の定番のすき焼き鍋を指差して

「あなたなんか、食べなくていいから。」

そう言って彼を睨みつけた。


不安と恐怖とドキドキの夜。


わたしのとんでもない剣幕に
彼はまだブツブツと文句を言いながら
自分の部屋に戻って行った。

思わず口走った別居だけど
本当にするのだろうか。

どうしよう、もっと殴られるのかな。。

そんなことを考える。



やがて2時間ほど経って
いつになくしょぼくれた顔をした
彼が降りてきた。


その様子を見て、わたしは
なんだか悪いことした気になり

「すき焼き食べる?温めるけど」

と言うと彼は素直に

「うん、食べるよ」と椅子に座った。

鍋を温めて、箸を出し器を並べる。

彼の目の前に鍋を置くと、
何も言わずに自分の部屋に籠った。

夜中に部屋に入ってこないか
また嵐がやってこないか
不安と恐怖でドキドキする。

ろくすっぽ眠れずに朝が来た。

夫は大人しく自分の部屋で寝たようだった。

何か言いたげにしていたが
わたしは一切口を聞くことはなかった。


仕事が始まり、今年も同じ毎日が過ぎた。

でも、わたしに中に芽生えた小さな勇気は
少しずつ少しずつ、わたしを変えていった。

まさかの新年会

待ちに待った仲良しメンバーとの
新年会の日がやってきた。

新年会なので、少しゴージャスなレストランを予約してた。

美味しい御馳走を堪能した後に
バーのソファーに座りながら
それぞれ、どんなお正月だったかを話した。

わたしの番が来て、
どうしようか、どこから話すか悩んだけど
思い切って打ち明けてみる。



「実は、、、、。

夫からずっとDVを受けていて
お正月に久しぶりに殴られたの。
それで、別居しようと思ってて。。。

でも、どうしようか悩んでる。
やっぱり我慢するべきなのかなぁ」


佐藤さんも〇〇さんもアイちゃんも
時間が止まったように固まる。

3人とも、言葉が出ないような
困った顔になったのを見て慌てて言った。

「ごめんね〜、こんな楽しい時間が台無しだったね〜
あ、これは忘れてね〜、アハハ。」


そう言うと佐藤さんは怒ったように言った。


「僕はnaccoさんを応援します。
絶対負けないでください。」

〇〇さんも佐藤さんの後に続き

「僕も応援するから!なんでも言って!
そんなの、酷すぎるよ。」
と言って涙ぐんだ。

アイちゃんはびっくりした顔で泣き出す。

「まさか、あの旦那さんが、、、
わたし、全然知らないで、
優しい旦那さんでいいですね、なんて
能天気なこと言ってた。
ごめんなさい、何も知らなくてごめんなさい。。」


アイちゃんは家にも遊びに来たり
お店にも来てたので
夫に何度も会っていた。

そう、わたしたち夫婦は周りから
おしどり夫婦だと思われていたのだ。

思いっきり仮面を被り
幸せな夫婦を演じていたから
周りの人は誰も知らない、または
知らないふりをしていたのかもしれないけれど。


「とにかく、これから作戦を立てましょう。
naccoさんが離婚出来るように
みんなで出来るだけのことをしましょう!」


佐藤さんはそう勇気づけてくれたのだった。

ああ、わたしは自由になってもいいんだ。
これは正しいことなんだ。
わたしが悪い訳じゃないかも。

本当の意味での自由とか
わたしが悪いから殴られるとか
もろもろの洗脳が解けるのは

もっと後になるのだけど

わたしはこの夜、小さな勇気が
グングンと大きくなっていくのを感じた。




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