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犬のために引越し先を探す旅

犬だって鍼治療。

3回目のポカン発言の時、
わたしは珍しくめちゃくちゃ怒った。
ポカン発言はこちら
そして、安楽死なんか絶対イヤなので
れもんを治す方向を必死に探す。


犬のヘルニアは手術をしても完治するのは40%くらいだそうだ。
人間なら手術の後「動かないで安静にしてくださいね」と言っても
治すためにちゃんと安静にするだろう。

でも、犬はそうはいかない。
安静に、なんて通じないし続かない。

だから、術後に動いてしまって治らない、なんてことが多いと言う。



ネットで探してやっと見つけた、犬も鍼治療が効くということ!!!

そして、驚いたことに安楽死を勧めた病院(主治医)で
鍼治療を始めたという。

早速連れて行って何回か受けたのだが
全然変わらない。
先生は「う〜ん、なかなかヘルニアは難しいんですよ」と言うだけで
れもんはやっぱりダメなのかと
犬の車椅子もオーダーしていたのだった。

なんてたって神の手

このまま治らないともしかしたら安楽死させられてしまうので
さらに必死に探す。



すると、あるブログに東京の動物病院に
神の手を持つ先生がいると言う。


その先生は動物病院には珍しく東洋医学に秀でていて
ほとんどの病気を鍼治療と漢方薬で治すと言うのだ。


その病院は、学芸大にあるオーシャン動物病院

ただ、その時はほとんどの生活を九十九里に置いており
学芸大まで通うには夫に助けてもらうしかなかった。


なぜなら当時は免許を持っておらず
車移動は夫に任せきりだった。

しかも、通うにしても治療費と合わせて
結構なお金がかかる。

おまけにポカリ発言をした夫なので
「そんな金出せない!」と言いかねない。



夫の機嫌の良さそうな時を狙い一生のお願いをする。



「一回でいいから、これで何の反応もなければ諦めるから
ここ(病院のプリントアウトを見せて)に
行かせてください!」



すると、夫はあっけなくOKした。



それまでも、れもんが半身麻痺になってから
温泉が効くと言われれば連れて行って
温泉水を持ち帰り毎晩マッサージしてくれていた夫。


時折見せる優しさが好きで一緒になったのに
なぜ、この人は暴力を振るうのだろう。
夫は何かのきっかけでスイッチが入る。

一度スイッチを押してしまうと
もう止まらない。

たぶん、自分でも止めたいと思ってたんだろうなぁと
今ならわかるような気がするけれど。。



話が逸れたが、とにかく彼なりに
れもんのことを愛してるんだなぁとホッとした。


神の手の威力はいかに?

そして、診察日が来てれもんを診せた。
先生はれもんの足をチョンチョンとして言った。

「もっと早く連れてきて欲しかったし
ステロイドしないで欲しかったけど


この子、治るよ。」



絶対治らない、と言われていたわたしは
先生が神に見えた。

「飼い主さんはどう思うの?」
と、聞かれ、
「わたしはこの子を治す気で来ました!!!」

すると、先生は笑って
「うん、そういう飼い主じゃないと僕断るから。」


先生はめっちゃ変わってるので
飼い主が犬のために何でもする、
という気がない人には治療を断る。

評判もめちゃくちゃいい!と
なんだ、このふざけた医師は!
に分かれている。笑



そして、治療に入り、
れもんの足に何本か鍼を打ち
ステロイドの排出の為の漢方を処方してもらって
その日は家に帰った。


家に着いて、れもんをクレートから出すと

なんと!

だらりとして紐がぶら下がってたような尻尾が
水平くらいに上がってるのではないか!!!!

やっぱり神の手だ!!!!


この奇跡を見た夫のOKもあって
1年ほどせっせと通った。

と、言っても最初の2ヶ月は毎週くらいだったけど
そのうち1ヶ月に1度になり、
2ヶ月に1度のペースだったので
苦にはならなかった。



何より、毎回行く毎に良くなっていき
それと同様に明るくなっていくれもんに
手術を選ばなくて良かったなぁと
心から感謝した。



ちなみに、1年通って治療代は12万くらい、
その後、彼が亡くなるまで再発は無く
半身麻痺してたなんて信じられないくらい元に戻っていた。

彼が亡くなる(16~7才)まで、
自分の足で歩けたのは本当に先生のおかげである。

と、言うわけで、れもんの余生は田舎で!


話を戻すけれど、れもんはこの治療生活で
めちゃくちゃ甘えさせられたのがきっかけで
わたしたちに心を赦すようになった。

抱っこされるのも大好きになり
今まではおやつを貰う犬たちを
遠巻きに眺めているような子だったのに
積極的に前に出る子に変身した。笑

ひなたぼっこが好きで
庭に出すといつまでもうたた寝をしてるような子だった。


わたしの離婚もあって九十九里の家から
世田谷のマンションに行き
ひなたぼっこは限られた時間内になってしまった。

どうしても、この子に再びひなたぼっこさせてあげたい。


そんなこともあって、田舎に行くのであれば
日当たりの良い平屋で庭付きが絶対条件だった。


よそ者が田舎で暮らすという決心。

目黒での移住相談会へ行った。

ほぼ内定状態だったので
後はわたしがOKするのと、
一応役場の面接があると言う。

役場の方に、犬を連れていくので
家の中で暮らせるところをお願いします。と話した。
「わかりました!」と軽く言われたので
すぐに見つかるものだと思っていた。

でも、時間が過ぎて何度か電話するも
「まだ見つからないですが大丈夫ですよ〜」
と言われ、こちらも引越し業者の手配などあるので
少し困っていた。

「面接に来てください」


と、しばらくして連絡がきた。
面接に行く交通費も宿泊代もこちら持ちである。

「家の問題がありますが」
と言うと
「はい、家は見つからないので!
職員住宅に特別に入れることになりました!」


聞くと、職員住宅はペット可ではなく
わたしだけ特別にいいと言う。

しかも、職員住宅は団地みたいな感じだそうで
いろいろ考えた挙句、結局は次の2点の理由でお断りした。



1.元々ペット可では無いとすると
犬嫌いで迷惑だと思う人もいるだろう。
しかも、同じ職場って後々拗れたら辛いことになりそう。

2.せっかく田舎に越すのにまた集合住宅に住むくらいなら
田舎に行かないことを選択する。


これは、その後も課題として出てきたのだけど
全く、縁もゆかりもない土地に
一人で住もうとする者に対する思いやりみたいなものが
やっぱり欠けていたんじゃないかな、と思う。


もちろん、役場の人も他の業務もあって
忙しいんだとは思うけれど
少なくとも、移住者を迎えようとするのなら
相手の立場に立って見る視点が必要ではないかなと思うのだ。


アウェイの中、立ち向かっていくみたいなものなんだから、移住って。


まあ、そんなこともあって
わたしの田舎暮らしは白紙に戻ってしまっていた。


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