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私が複数人での旅行に向かない理由

はじめに

 私の趣味は国内旅行である。多分このnoteを見る人は私のことを知っている人が多数であると思うので既知の事実であろう。もともと”乗り鉄”の延長で生まれたこの趣味、資格(国内旅行業務取扱管理者)を取得するくらいには好きである。
 趣味とまではいかなくとも、旅行が好きだという人は沢山いるだろう。小さい頃に親に連れて行ってもらった旅行、クラスの仲良い子とも仲良くない子とも行った修学旅行、気の知れた友達と行った旅行、永遠の愛を誓った相手と行った新婚旅行・・・。しかし私はこういった複数人での旅行より、一人での旅行の方が好きだ。というか複数人での旅行に向いていない。ではなぜ向いていないのか。その理由を説明していく。

複数人での旅行に向いていない理由

何をするにも同行者への確認が必要なのが億劫

 複数人での旅行に向いていない理由の一つ目は、「何をするにも同行者への確認が必要なのが億劫」だからである。これはもう読んで字の如くであるが、何をするにも同行者への確認が必要なのが億劫だと思ってしまうのである。トイレ行くにも確認、写真を撮るにも確認、列車に乗るにも確認・・・。「そのくらいのコミュニケーションで挫折していたら社会生活が無理なのでは?」全くその通りである。しかし自分を楽しませるための旅行において、他人を気遣うのが本当に面倒くさいのだ。なるべくなら一言も発したくないのである。
 旅行ビギナーと一緒に行くときは特に億劫である。「この列車でいい?」なんて聞かせないでくれ。こっちは中学の頃から一人であちこち出かけているのである。少なくともビギナーの君らよりは移動手段についてはよく知っているので勝手に付いてきてくれ。
 その点、一人なら全く喋らなくてよい。勝手にトイレ行けばいいし、勝手に写真撮ればいいし、勝手に列車に乗ればいい。思いついたときに思いついたことをすればいい。この上なく気楽だ。

同行者との意見の折衝が面倒

 理由の二つ目は、「同行者との意見の折衝が面倒」だからである。「ご飯どうする~?」とか「この後どこ行く~?」とか、こういうのが面倒なのである。意見が全員一致であるならば特に問題ないのだが、同行者同士(あるいは同行者と私)で意見が合わなかったらもう悲惨である。意見をまとめるために時間を要するし、主張を折られた人が機嫌を悪くしてしまうこともある。意見の折衝の時間なんてたかが数分でしょと思う人もいるかもしれないが、旅行においては数分が命取りになることもある。この数分で列車が発車してしまうかもしれないし、この数分でお店が閉まってしまうかもしれない。また、折角の楽しい旅行なのに、不機嫌な同行者のせいでこっちまで気分を害されるのは甚だ迷惑である。
 その点、一人なら意見の衝突など生まれない。自分が食べたいと思ったご飯屋さんに入ればいいし、自分が行きたいところに行けばいい。意見の折衝のために費やす時間がないから、その分有効に時間を使える。意見をまとめるために使ったその5分で、新幹線なら25kmも移動できるのだ。

他人のペースにイライラ

 理由の三つ目は、私が「他人のペースにイライラ」するからである。この「ペース」とは、歩くペースや車のペースのことである。私は基本的にスタスタ歩くタイプなので、同行者がチンタラ歩いているとイライラしてしまう。”終わってるだろ”って?そう、終わっているのである。こんなことでイライラすることが”終わっている”のは重々承知しているし、500億%私が悪いのはわかっている。でも、スタスタ歩いた方が移動に費やす時間を抑えられて、その分ほかのことに時間を使えるだろう。車のペースだってそうだ。交通法規はさておき、見通しのよい直線道路を4~50km/hで走らないでほしい。私のほうがスムーズに運転できるのに・・・もっと早く目的地に着けるのに・・・と思ってしまうのだ。本当に終わっている。
 その点、一人なら他人のペースを気にせず自分のペースで歩けるし、自分のペースで運転できる。すべて自分のペースで行動できるからこそ、今後の予定も組みやすいし行動しやすいのだ。

同行者が使えない

 理由の四つ目は、「同行者が使えない」からである。これは同行者選びが悪いと言われればそれまでなのだが、よく一緒に旅行へ行く友達が使えないのだ。例えば私の運転での旅行中、「あそこへ行きたい」と同行者が自分の願望さえ言えど、そこまでの行き方や店の情報を調べない。私は運転しているのだから、行きたいならば私に頼らずに自分で調べてほしい。君が今手に持って操作している薄い板は何なのか、何のためにあるのか。

限界旅行

 理由の五つ目は、私が「限界旅行」者だからである。これは後に述べる理由の六つ目「安く済ませたい」にも繋がることだが、私は基本的に”限界”的な旅行を行う。列車でも車でも、まだ日も出てないような早朝から移動を開始し、特に休憩らしいも休憩も取らずに深夜まで移動することが多い。しかも乗る列車は基本的に普通列車(青春18きっぷなので)だし、車は軽自動車なので、本当に”限界”である。深夜に最終目的地に到着するので、当然宿ではほぼ寝るだけ。
 しかし同行者がいると限界旅行ができるとは限らない。というかほぼ無理だろう。一般の人間は青春18きっぷを使用して普通列車で遠方へ行こうと思わないし、新幹線や特急列車を使用する。普通列車で遠方へ行く人間は”逸般”なのだ。
 私はこの”逸般”的な限界旅行を楽しんでいるし、なんなら新幹線や特急列車を利用し、最終目的地に夕方になる前に到着するような余裕のある旅行よりも、限界旅行の方が好きかもしれない。いやこれはさすがに嘘だな。

安く済ませたい

 理由の六つ目は、「安く済ませたい」からである。前述の「限界旅行」とも繋がる話だが、なるべく安く済ませたいのだ。私は旅行にかかる費用を安く済ませるために青春18きっぷを使用したり、ネットカフェに宿泊したり、食事をコンビニのおにぎりや駅のホームにある蕎麦で済ませている。青春18きっぷの1日分は2370円で、ネットカフェ(快活CLUB)で泊まれば宿泊費は2~3000円で済む。
 しかし同行者がいると新幹線や特急列車を使用したり、しっかりとしたホテルや旅館を利用したりして、”普通”の旅行をしなければならない。理由の四つ目でも述べたが、限界旅行に付き合ってくれる人間はそう多くない。私からすれば、”普通”の旅行は費用が高くつく(当社比)のでできるならば避けたいが、一般人は限界旅行を知らないのでそれが高いとは思わないのだろう。

高校で出会った友達の話

 複数人での旅行に向いていない理由は以上となるが、終わる前にここでちょっとした余談を挟もうと思う。実はこんな私でも一緒に旅行していてストレスを感じない(相手がどう思っているのかは知らないが)相手がいる。彼と私は高校で出会った。彼もまた限界旅行を楽しむ”逸般人”で、私が知らないことも知っているし、私が思いつかないような移動方法を計画し、実行している。
 ではなぜ彼と一緒に旅行してもストレスを感じないのか。理由はいくつかある。まず彼は自分の主張をしないからだ。彼にどこに行こうか尋ねても、「どこでもいいよ」と言う。何を食べようか尋ねても、「なんでもいいよ」と言う。意見の衝突が起きないのでタイムロスが少なく、そして僕の行きたいところに行くことになるし、僕の食べたいものを食べることになる。逆にもっと主張してくれてもいいのにと思う気もするが、知らないふりをしておこう。
 次に、限界旅行に付き合ってくれるからだ。彼は、限界旅行に付き合ってくれる数少ない、というか一人だけの友達なのだ。以前中国一周や九州一周を一緒にした際は、朝から晩までドライブ(すべて私運転)に付き合ってくれた。正直、車での旅行は私からすれば、ハンドルを握っている運転手よりただ座っているだけの方が退屈でつまらないと思っている(皮肉ではない)ので、本当にすごいと思う。そして、ネットカフェやカプセルホテルに宿泊することも快諾してくれた。本当に助かる。
 最後に、優秀な助手だからだ。私が運転中にボソッと「ここら辺で昼食食べたいなぁ・・・」と呟くと、その辺りの飲食店を調べてくれたり、イオンモールの中のゲームセンターに用があった際、ボソッと「ゲーセンに近い店舗出入口はどこかな~」と呟くと、ゲーセンに近い出入口を探してくれたりした。また、目的地が不安になって「ここで合ってるのかなぁ・・・」と呟いたら、スマホのマップを見ながら「大丈夫、ここで合ってるっぽい」と教えてくれた。どれも調べてくれと頼んだつもりではなく、独り言のつもりで呟いた(独り言がデカいのはさておき)ので、すごく嬉しかったし頼りになった。彼は助手席に座る助手としてこれ以上ないほどの人間だ。今度は温泉にでも、また一緒に旅行行きましょう。
 ここから先は全くの蛇足だが、「~だ、~である」調だとなんか上から目線な感じがするのは私だけだろうか。私だけか。上から目線のつもりはないのであしからず。

おわりに

 私が複数人での旅行に向いていない理由をダラダラと書き連ねてきたが、これを読んでいる皆にはこうなってほしくない。というかこうなることは稀であると思う。多分。一般の人間は仲のいい友達と一緒に旅行して親睦を深めるものだ。ただ、どうしても複数人での旅行が苦痛と感じてしまうことがあるのなら、私に連絡してほしい。そのときは私が一人旅の楽しさを君に教えよう。

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