谷晃生選手の「らしさ」をみた

五輪サッカー男子準々決勝。日本はニュージーランドに辛くも勝利を収めることができた。

その中で、谷選手の活躍を誰よりも願っていたのは、湘南サポーターでもあるこの僕です。


【谷晃生とは】

谷選手は昨年からG大阪よりレンタル。出場機会の少ないG大阪から、縁もゆかりもない湘南へやってきた。もちろんそれは、五輪を見据えた移籍だろう。

一年目から活躍し、レギュラーのポジションを取ると、湘南のザルディフェンスから来るシュートの嵐を、好セーブ連発。彼にとっては成長するいい移籍だった(はず)。

2021年は背番号1を背負い、延期になった五輪に向けて、さらなる飛躍の年になった。ただ、五輪が延期になっていなければ、レンタルは一年だけだったかもしれない。

【ニュージーランド戦で見せた谷らしさ】

日本は準々決勝に進み、ニュージーランドと対戦した。

前後半スコアレスで迎えた延長戦。

その延長後半に、こんなシーンがあった。

ニュージーランドの選手が放ったシュートが、枠を逸れた。

映像で見る限り、日本の選手に当たってゴールを逸れたので、ニュージーランドにコーナーキックが与えられるはず。

しかし主審の判定はゴールキック。つまり誤審だ。

そのゴールキック。彼はタッチを割るボールを蹴った。

キックの正確な彼が、タッチを割るようなボールを蹴ったのを見た事がない。

彼は誤審を分かっていて、ニュージーランドボールにしたのだ。

勝つか負けるかのせめぎ合いの中で、冷静で公平な判断が出来る、なんて素晴らしい心の持ち主なのか。

【PK戦でのスーパーセーブ】

谷選手は一本、PKを止めた。

しかし止めた直後、彼はガッツポーズをしなかった。ニヤリともしなかった。喜びを表に出さない選手ではない。

それも彼のスポーツマンシップなのだ。

相手が居て成立するスポーツは相手をリスペクトしなければならない。

全世界でこの映像が流れたかと思うと、全世界で子供からお爺ちゃんまで見たかと思うと、本当に心から誇れる選手だ(ただしレンタル)。

そして吉田麻也選手がPKを決め、日本が勝利した時も、彼は吉田選手に駆け寄って喜びを爆発させるでもなく、ただただ立っていた。

そして他の選手が駆け寄ってきて、初めて喜びを露わにした。

1番に、1番喜んで良いはずの立場なのに。

【最後に】

谷選手はあくまで湘南が借りているプレーヤー。湘南には、今年彼に背番号1を譲った冨居もいる。

ただ、谷くん。このまま出場機会を求めるなら、海外移籍をするなら、一旦うちの選手としてやって欲しい。ただただそう願うばかり。

大きなクラブで育ってきた選手に、貧乏クラブで働いてもらうのは気が引けるが、まだまだ成長出来るはず。

ひとまず中断明けの平塚で、いい笑顔を待ってます。


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