見出し画像

いくじをみせろ

今回は、スペインかぜと育児しない男の関連性から。

スペインかぜは20世紀最悪のパンデミックと呼ばれています。1918年から1920年にかけて大流行し、世界中で5億人が感染、1,500万から5,000万人が死亡しました。日本では当時の人口5,500万人に対して罹患者2,300万人、死者38万人におよんだとされています。(Wikipediaの情報より)

スペインかぜが流行した1920年から、今年はちょうど100年になります。スペインかぜは終息しましたが、日本でいまなお終息していないものがあります。それは、育児しない男=育児なし。

1(い)9(く)2(じ)0(なし)

「1920年」と「育児なし(いくじなし)」をかけてみました。
・・ごめんなさい。ちょっと強引にもっていきすぎました。

育児に主体的な男性を表す「イクメン」が流行語になったのは2010年。今年はイクメン10周年のアニバーサリーイヤーでもありました。

ぼくが子育てを始めたのは長女が生まれた12年前で、積極的に育児している父親は珍しい存在でした。当時は外出先で男性がおむつを替える場所がなく、トイレの便座フタの上に赤ちゃんを乗せておむつ替えをしたものです。

イクメンのブームから10年が経ち、父親の育児は世に広まりました。街なかでベビーカーを押している父親や、公園で遊んでいる父子の姿は普通にみかける光景になり、男性の育休がニュースのトピックとなっています。

父親たちがどのように育児しているのかをアンケート調査したことがあります。育児に熱心な父親を対象に192人から回答を得た結果は次でした。(複数回答)

・子どもと遊ぶ:96%
・お風呂に入れる:88%
・おむつ替え:68%
・日々のしつけ:59%
・寝かしつけ:56%
・病気のときの看病:47%
・保育所・幼稚園の送り迎え:46%
*ファザーリング・ジャパン著『新しいパパの教科書』,学研,2013,168頁より

子どもと遊んだりお風呂に入れるといったスキンシップ系の育児は行っている父親がほとんどだった一方で、看病や園送迎をしている父親は半数以下。育児熱心な父親であっても、育児の世話役割を引き受けていないケースが多かったのです。

父親の育児は「いいとこ取り」になりがち。・・ぼくも人のこと言えません。

7割の父親は育児を全くしていない、というデータがあります。平成28年度社会生活基本調査によれば、6歳未満の子どもをもつ夫の育児行動者率(1日15分以上育児した人の割合)は30.4%でした。

同調査で、夫の育児時間は一日平均49分でした。妻の育児時間は225分。家事を含めると夫の育児・家事関連時間は83分、妻は454分となり、5倍以上の差がついています。育児と家事の負担は、妻の方が圧倒的に大きいです。

父親の育児参加を阻害する要因については様々な先行研究があり、時間余裕説が有力とされています。つまり、長時間労働をしている父親は残業で家に帰るのが遅く、帰宅した時間には子どもが寝静まっているため、育児をしたいと願っても子どもといる時間がなくて出来ないという理由です。

そして昨今、不幸中の幸いといってよいのか分かりませんが、新型ウィルス感染拡大防止に伴う外出自粛の要請により、子どもが起きている時間帯にパパたちは家にいることができるようになりました。育児参加阻害要因の時間余裕説が真であれば、父親の育児時間は大幅に増えることになります。

せっかく訪れたステイホームの機会。パパは子どもたちといっぱい関わって、育児時間の最高記録を更新しようではありませんか。

逆に、家にいても子育てに無関心を装ったり、仕事のPCやスマホを見てばかりで過ごしていると、妻から「あなたって ’いくじなし’ ね」と非難されてしまいます。

コロナ離婚の危機ですよ!

辞書で「意気地なし」を調べると、「困難・苦しみに耐える元気・気力のないこと。また、そういう人」という意味でした。このたびのパンデミックでは、まさに意気地のある姿勢が問われています。

困難や苦しみでいえば、育児も同じ。子育ては楽しいことばかりではなく、苦しい場面にも遭遇します。子育てもコロナ対策も、困難や苦しみを自ら引き受けてこそ、パートナーから信頼を得られるというものです。

パパたちは「いくじ(育児・意気地)」をみせる出番です!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?