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ボカコレ2023夏のはなし - 順位のこと、作品のこと、これからのこと


謝辞、そしてイベント概況

ランキング入りと、重み付けの話

 ボカコレ2023夏ルーキー部門に投稿した『警報のあった日』が、部門ベスト3の末席にすべりこみました。
 ……と、現実感がなさすぎて、未だにそのような表現をしてしまうのですが、偶然すべりこんだ訳ではなく、期間内に出会って頂いて、感想を表明し、たくさん応援してくださった皆さまのおかげです。改めて、本当にありがとうございました。


 ボカコレのランキング指標は、独自の重み付けに基づいて算出されます。
 算出式は非公開のため憶測の域を出ませんが、例えば非ユーザーよりも一般会員の、一般会員よりもプレミアム会員のインプレッションを重視する(≒botや無料アカウントを量産した工作への対策)だとか、広告掲載時の再生数よりも実際に動画ページで再生された再生数を重視する(以下ツイート参照)など、様々な重み付けによって、見かけ上の数値と実際の順位付けが異なることが多いです。


 そのため、純粋な客観指標が重視されるBillboardのチャートでは、今回のルーキー部門第1位から第7位までの作品のうち、自作を除いた6作品がすべてチャートインしていたりします。

 誤解のないよう補足しますが、これは他の方が数値を水増ししているというわけではなく、たとえばYoutubeやTiktokなど、ニコニコ文化圏の外でも多くのファンを獲得されているという話で、もっと言うと、ボカコレ計算式においては、相対的にいまの自分が実力以上のresultを獲得してしまっているということでもあるわけです。

 今回だけでなく、過去のボカコレ作品『太陽の王国』や『彼方のひかり』も同様で、数値情報でみると、だいたい+5位ほど高い順位がついています。ここで冒頭の話に戻りますが、このmagicは皆さんの応援のおかげに他ならず、だからこそ感謝の一言で、そして次作以降でちゃんと、頂いた露出に見合うような強度の作品を作っていかなきゃな、と感じます。


統計部の集計

 毎度恒例の市況感についてですが、今回のボカコレについても、例によって統計値を算出されている方がいらっしゃいます。

 ルーキー部門に関して言えば、期間中に200再生を超えれば上位50%に入り、4桁再生を超えれば上位10%圏内という勾配になっています。さまざま思うところもあるかと思いますが、個人の体験から見ても、何らかの形で一度発見されれば簡単に埋まる差に見えているので、ルーキー部門に関しては引き続き、とても可能性に満ちた場であると感じています。
 TOP100は、resultを見る限り魔境に感じています。強すぎる。

 

『警報のあった日』を振り返る

制作までのモチベーション

 『警報のあった日』は、『どこかのかれら』『夜行戦線』『水上都市』といった、2021年11月〜翌年2月までの間で発表した初期作品群を意識し、ポストロックやオルタナの要素を強めた前のめりな楽曲です。

 実際『ポストずんだロックなのだ』以降はやさしさやあたたかさを内包した楽曲に多く向き合っていたので、初期のオルタナ的な作品をご存知ない方も多いかと思います。

 いわゆる「伸びた」作品と比べて、知る人ぞ知る的な立ち位置の楽曲群ですが、それでも「どこかのかれらが刺さった」や「夜行戦線が好き」など定期的に嬉しいコメントを頂いていました。

 そのことがどこかで頭に引っかかっていて、いざルーキー最後のボカコレに臨むとなった時「――そういえば、こういうロックでボカコレに出ていないな」と思い立ち、今回の楽曲を制作するに至りました。本当に、きっかけを下さってありがとうございます。

 踏み込んだ言及は避けますが、『どこかのかれら』『夜行戦線』『水上都市』から、編曲アプローチ手法だったり楽曲テンションの持っていき方など、さまざまなセルフオマージュを散りばめています。編曲でいうなら、ちょっとした総決算に近いアレンジになりました。

 曲名にはもう一つ、『警報前夜』という候補がありました。
 ぼくは特に自制をかけない場合、漢字4文字の言葉を採用してしまう癖があり、世界電力という名称そのものや、過去作品の4文字タイトルもそれの産物だったりします。

 『警報前夜』と『警報のあった日』では、その前日と当日で時間軸の意味合いが異なるため、最終的にはその文字の持つ余白性と、MVのストーリーラインとのフィット感でみて『警報のあった日』としました。

 とはいえこの決定に至るまでに、過去のボカコレ参加作品を並べてみたとき曲名の文字数が1文字づつ増えているほうが着実なステップアップ感があっていいな、とか、ジブリのヒット作品に平仮名の「の」が入っている割合が高い話を思い出したとか、多くの雑念も混じっています。

2022春『就活東京』
2022秋『太陽の王国』
2023春『彼方のひかり』
2023夏『警報のあった日』

ステップアップする題名たち。ちゃんと過去作にも「の」がついている


影響をうけた楽曲たち

 ちゃんと分析すると、ライブハウス型インディーロックの集合体なのですが、あとから振り返って、特に強い影響を感じる作品を以下にご紹介します。

クリアで伸びやかで、ドカーンとくる感じ
- PIKA / SuiseiNoboAz
- イルシオン / FERN PLANET
- 又三郎 / ヨルシカ

ヒステリックな感じ、リズム隊の質感や変なキメ
- 殺されたトロル / the cold tommy
- こわれる / THE NOVEMBERS
- Futuristic Imagination / school food punishment

ペダル奏法的な指弾きのフレーズ
- ベレー帽は飛ばされて / Climb the Mind
- atreyu / Covet

 あとは、ちょこちょこ言及頂く""世界電力っぽいメロディ""については、モーモールルギャバンからの影響が強いと感じています。合唱曲のようなはずみと、やさしい憂いをのせたメロディがとても大好きで、常にそうなりたいと思っています。最終的になりたいのはthe pillowsです。


すてきなMVについて

 いつもそうなのですが、デモがワンコーラスほど仕上がって、楽曲の雰囲気が見えてから、その雰囲気にハマりそうな方にお声掛けすることにしています。

 今回は、途中までラストルーキーという場を重く考えすぎていて、楽曲の仕上がりがとても遅く、ワンコーラスが仕上がって阿修さんにお声掛けしたのは投稿日まで1ヶ月を切ってしまったタイミングでした。通常であれば時期的にお断りとなってもおかしくない中、ポジティブなご返答を頂き、独自の質感をもった引き込まれるMVを仕上げて頂いたことには、あらためて感謝のひとことです。

 今回のMVにピンと来た方は、ぜひ阿修さんの過去作もチェックしてみてください。直近のオリジナル作品である『運命は青い糸』は、キラハピ2023にて青春系ソング賞を受賞しています。しずかに風景を切り取る写実的なアートワークと、物語的な筋の通った歌詞が特徴です。書いていて気づきましたが、世界電力と親和性が高いかも。


 そして期間内に、なんとサプライズでRemixをご投稿頂きました。8月7日のお昼ごろ、公式番組出演のため訪れていたニコニコ本社前の歩道でRemix版の投稿に気づき、前日までの嵐が嘘のようにカラッと晴れた東京の路上で【晴天Remix】を聴くというドラマのような経験をしました。

 ぼくのボカコレ初参加作品は、2022春に投稿した『就活東京』で、当時は期間内に400再生、当然ランキング圏外でしたが、終了後まで含めた多くのフックアップにより、後々たくさんの方に聴いて頂ける作品になりました。

 その晴天の東京に、上位入賞の掛かったラストルーキー最終日のタイミングで戻されたことが、脚本のように美しく、ひとりでジーンときてしまいました。改めて、本当にありがとうございました。


メディア出演

 ぼかれびゅ部員として、以下放送02:23:12〜の『ぼかれびゅ♡ラブレター』というコーナーに、同じくぼかれびゅ部員であるジヲさんと2人で出演してきました。


 皆さんの投稿してくださったレビューに対して、生放送で「ここ……いいですよね……!!」とトークする番組だったのですが、熱が入ってめちゃくちゃ話してしまいました。

 番組内でご紹介した楽曲およびレビューについては、以下の特設ページに掲載しています。レビューの下にあるひとことコメントは、こちらからテキストを送って載せてもらったものではなく、生放送時に衝動的に喋った内容の要点をスタッフの方がまとめてくださったものになります。


 前述した2022春の『就活東京』もそうですが、多くのフックアップがあったからこそ今に至るわけで、だからこそ、公式のぼかれびゅもそうですが、それ以上に、リスナーやクリエイターを問わずたくさんの方々が「喰らった」作品をタイムラインに熱量高く放流しているいまの環境がspecialでrespectで最高です。

 分散的であればあるほど、ある一集団が権威化することは避けられます。タイムラインの皆さんのレコメンドは大好きですし、本当に喰らってしまうので、ぼくも負けじといい作品を「これ!!!!」と持ちよりますね。純度の高いレコメンドカルチャーに幸あれ。


おわりに

 個人的なことですが、今年の頭に設定した目標が、すこしづつ達成できています。すくなくとも、R&B/Hiphopの楽曲は投稿できたし、EPも1枚発表できたし、音も前より良くなった……と思う。

 のですが、今回のボカコレでヤバい作品に数多く出会ってめちゃめちゃに喰らってしまったので、ちょっと本腰を入れて自身の研鑽に取り組みたく、9月まではちょっとたくさんインプットしていこうかと思います。

 と言いつつ、制作済みで未発表の楽曲がいくつかあるので、9月〜10月にかけて、上半期の自分がつくった楽曲は公開されます。おたのしみに。

 なので、ボカコレの影響をうけた完全新作は、無色透名祭Ⅱ以降での発表となりそうです。いろいろ試しつつ、より強度の高い作品ができるよう、引き続き精進していきますね。


 最後に、そのうち『ボカコレ2023夏10選』を公開するのですが、ルーキー部門でぶっ刺さって""敗北""した作品を2作、以下にご紹介します。まだ未視聴の方は、ぜひ視聴してみてください。本当に参りました。

 ボカコレ外だと『ちっちゃな私』がそうなんですが、自分が歌詞の言葉選びにこだわりがあるからこそ、平易な言葉で心を撃ち抜いてくる作品がめっちゃ好きなんだろうな……



 ここまで読んでくれてありがとうございました。また次の作品でお会いできたら嬉しいです!

 そして忘れていました。『警報のあった日』が各配信サイトで配信開始されたんでした。ぜひ「世界電力」で検索してみてください!

やっぱりアートワークが最高ですね。

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