「ウソのつづきかた」のセットリストに元動画と怪文書をつけた記事
まとめ:ありがとう
はじめに
「ウソのつづきかた」、とても楽しかったです!!!!!!
そもそも当初、豪華な出演陣に混ざってすてきなアートワークに自分の名前を載せていただけた時点で、嬉しく気が引き締まる一方で、「ほんとに出演していいのだろうか……」という感覚が常にすこしだけつきまとっていました。
そして当日、大きくてきれいで立地も音もいい会場を目の当たりにし、とどめに当日発表のB2Bメンバーでイベント自体の期待値が急上昇したところで、「なるようにしかならないな」と突然正気を取り戻し、一般参加者として皆さんの流す楽曲に普通に上がり、自分の出演でも楽しさに上がり、手番終了後はまた楽曲に上がる、という正のループを発生させ、ニッコリ笑顔で帰宅できました。
ギター片手のイベントによく参加する関係で、純粋なDJイベントへの出演は今回が3回目、うち1回(#ぼかれびゅ課外活動)は出張先から音源を送付する形のリモート出演(?!)だったので、現場に立つのは2回目です。
セットリストの構築は個人的には半年に1回くらいのレアケースなので、毎度毎度、想い入れ補正が爆発してエピソード記事を書いたり、1曲1曲にレビューを書いたりしています。たぶん、そういう習性の小動物なんだと思います。
過去イベントの記事およびレビューへのリンクは以下です。気になる方はappendixとしてどうぞ。
つまりこれから始まるのは、「ウソのつづきかた」版のセットリストに関する""それ""です。以下目次から個別楽曲にも飛べるし、時間があるぜ!という方は上から眺めていただいても構いません。対戦よろしくお願いします。
当日のセットリスト
出演者一覧を確認し、(見識量や経験値の観点から、ぼく自身はボカロリスナーやボカクラを代表しないと前置きしつつ、)DJ然としたDJの方が多そうな気配を感じたので、自分の手番はボカロリスナー文脈を纏ったセットリストがいいのかな、と思い、以下のセトリとしました。
01. 銘々_等 / 無期懲役
オープニングナンバーは、夏の終わりを感じるテト曲です。
作者の無期懲役さんは、いわゆる「もっと評価されるべき」方であると思っています。
紡ぐ言葉の機微と、聴き応えのあるサウンドが持ち味で、その楽曲を纏ったUTAUテトの力強い歌声は、いつも以上にパワフルで、琴線をちゃんと揺らす凄みがあります。
本楽曲は電子音ベースのポエトリーですが、ロックやオルタナが好きなら、『やさしい風』や『モラトリアム 耐久』などをぜひ聴いていただきたいです!
また、ボカロ文脈とは別に、トキワの森というロックバンドとしても活動されているので、こちらもぜひ。
02. 透き通るように / 世界電力
「ウソのつきかた」より、自身の発表作品です。
『透き通るように』という楽曲は、褪せた記憶の一頁が遠ざかるような質感を意識して制作したので、そういった文脈を引き継いでの登板です。
映像をつけて公開したいなと思いつつ、全く進んでいません。
自分が映像を依頼する際は、いつもワンコーラスほど完成したタイミングでご依頼先を思い浮かべて、制作の内定が出てからフルコーラスに持っていくことが多いのですが、これって半分当て書きに近い進め方で、ゆえにコンピレーションアルバムに先行収録した楽曲にどのような映像がフィットするかを考えるのが本当に悩ましく、ウムムムムムとなっています。
といいつつ、個人的に想い入れのある楽曲なので、いつかしれっと公開していると思います。
03. ヤババイナ / さたぱんP
1〜2曲目の落ち着いた立ち上がりから、確定演出のようなカットインで入ります。
繋がりがないのが繋がり(?)と見せかけて、じつはテーマ的なつながりはあります。が、具体的な部分はひみつです。
今年の超会議あけの時期にふしぎな食事会に参加する機会があり、個性の尖ったクリエイター陣に質問できるのは今だけ!という気持ちで、創作フローや作品ごとの気になるポイントをどんどん質問していったのですが、さたぱんPさんのお話が、音楽的にも強く、そして同時にものすごくインターネットに適合していたのが印象的でした。(すごいという意味です)
04. 極彩色 / サツキ
変な言い方なんですが、極彩色つながりです。
(もちろん完全に追えていたわけではないのですが、)『極彩色』以前のサツキさんに対しては、『後遺症、備忘録、時限爆弾。』や『特異点Q』のような、ボーカロイド文脈に真っ直ぐのダークなトーンと、攻撃力特化のカオスさ、に関する印象をとても強く持っていました。
だからこそ、この『極彩色』には、上記の暗さと熱さを内包しながら文字通りの彩色性をより高めたようなアートワークの印象もあって、破壊的な突破力を感じたことを覚えています。大きなスピーカーで流したいと思っていたので、夢が叶いました。
05. メズマライザー / サツキ
サツキさん繋がり。みんな知っているからこそ、無茶苦茶な突っ込みでも気付いてくれるしドワーとなるすごい曲。
ボカロという括りを超えて世界的なヒットを継続中の作品なので、何か語るのも野暮なのですが、「ウソのつづきかた」のイベント中に、最後のB2Bを含めてメインフロアだけで(たしか)4回ほど流れていることからも、今年を象徴する外せない楽曲だな、と改めて感じました。
はやく日清のCMに採用されて、カップラーメンにFOCUS!してください。待っています。
06. 本来のサル / 原口沙輔
セトリ検討時、破壊的な楽曲群の文脈を引き継いだまま静と動の観点で落としていくようなイメージで次曲を考えていたとき、記憶の彼方から流れはじめたのが『本来のサル』でした。
「ウソのつづきかた」にご来場されるであろう皆様のうち、いわゆるテトファンの方と、ボカクラ文脈などを踏襲したボカロリスナーの方とは、そもそものベン図の重なりが決して大きくないのではないか……?という想定もなくはなかったのですが、当日Twitter(X)でハッシュタグを追ってみると、上記の属性を横断する形で、皆さん当たり前のようにあらゆる楽曲を感知しており、すべては杞憂でした。せっかく音響が素敵な会場だったので、強気で後半のクソ重パートまで流すべきでした。
あとシンプルに「全部、俺」コンピ自体のファンが結構いらっしゃった印象です。ぼくもそうです。必要なのは握手です。
07. 蛾・Bootleg的見解 / ikomai
コンピレーションアルバム限定楽曲つながりで、『本来のサル』の持つ大人なアプローチをうけて、さらに大人っぽい感じに着地していくイメージです。(この"大人"という形容自体にもさまざまニュアンスがあるんですが、ここでは割愛します)
あとは個人的な好みで、こういう楽曲こそ大きなスピーカーで余白込みでドカーンと流れてほしいですよね。低音が大きく震えたあと、空気中の振動エネルギーが休符に消えていく瞬間のちょっとしたクリアな残響って、やっぱり会場型のイベントならではの感覚だと思うので。
冒頭の無期懲役さん同様、ikomaiさんも「もっと評価されるべき」タグをベタ付けしたい方で、まずはこちらの2023まとめ動画を観ていただければよいかと思います。おっ!と感じた楽曲があれば、ぜひ本編にアクセスしてみてください。
08. ねこふんじゃった。 / A4。
『本来のサル』の退廃的なシニカルさ、『蛾・Bootleg的見解』の持つ首や肩でノる雰囲気を引き継ぎつつ、蛾Bootの「A」か「B」要素に対して、後段の楽曲を含めて「悲劇」か「喜劇」か、みたいな定性的なつながり。
構造上しかたないことではありますが、ボカロシーンにて開催されるイベント自体の大規模化に伴って、「大型投稿祭に合わせてキャッチーな作品を投稿し、数値的な成果を出す」ことが目的化するケースが、タイムライン等を通じて目に入るようになりました。(個人や企業の目標設定の話なので、もちろん悪いことではありません)
だからこそ、投稿祭とは無関係の時期に、いわゆる通常投稿として公開される作品には全力でサムズアップしたいですし、その点で『ねこふんじゃった。』はものすごく衝撃的でした。
hookをデカい音で聴きたかったので、デカい音で聴けてよかったです。
09. 喜劇 / 星野源
『ねこふんじゃった。』に続いて『喜劇』が流れるのは、コンテクストに依存しすぎている気もしますし、しょっぴかれても文句は言えないと思いますが、しょっぴかれようと思って臨んでいます。
そもそも星野源(ボカロPの方は広域隣人なので敬称つきでしたが、界隈外のミュージシャンは距離も遠く、そもそも公に活動するアーティストなので、以下敬称略です)自体を好んで聴いていたのですが、ボカロP活動を始めてからは、一部楽曲にて編曲を担当しているmabanua(同じく敬称略)のビートメイク動画などにもぐっと興味が湧くようになり、なんだかんだずっと刺激や影響を受けています。
この『喜劇』もmabanua参加楽曲だったかと思います。この方がまとめあげるBassが活き活きしたバンドサウンドには常に憧れがあり、それが表面化したのが過去作『baby in the car』で、続いてドラムのドッシリ感に向き合った結果、現在まで続く「世界電力っぽいドラムの音」が作られていたりします。
10. イガク / 原口沙輔
『ヤババイナ』同様、カットインで入って雰囲気を変える形で、繋がりがないのが繋がり(?)パターンです。
聴感上の音が信じられないくらい大きく、そもそも物理的な強度を感じる楽曲なのですが、カフェで弾き語りをしても映えるくらいコードワークとメロディがおしゃれで、キャッチーなワードに加えて、アイコニックな映像やサウンドロゴなど………つまり全ての強度が高いです。
上述のトピックをうけて、星野源理論が有効なら原口沙輔さんは「原口沙輔」表記だろうという話もあるのですが、基本的には敬称をつけたいタイプなのでつけます。大谷翔平は遠い。大谷翔平はすごい。原口沙輔さんはすごくて、強度が高いです。「全員殺すぞ」←言ってないです。
11. ずんだパーリナイ / なみぐる
ズドドドド!というキメつながり。かつ、当日出演者つながりです。BPM170と150を行き来する楽曲なのですが、まとめ方が自然ですごい。
先日、Twitter(X)のトレンドにて「スーパーカップずんだ」表記を見かけ、絶対にラーメンのCMにずんだもんの主題歌が採用されていると思ってすぐ確認しに行ったのですが、ラーメンではなくアイスのほうで、主題歌ではなく「ずんだ味」でした。2億%なみぐるさんが関わっていると思ったし、コンセプトや食事動作的に「ずんだシェイキングなのか…?」と予想を立ててからの確認だったので、すこし残念でした。
表現として正しくはないんですが、こういうときに先ず思い浮かぶくらいに「ずんだもんの人」というドメインが取れているのがすごいですね。ボカロ曲文脈において、初音ミクの人や重音テトの人はIPのスタンスやクリエイター人口的になかなか存在できないのに、「ずんだもんの人」はほぼ確定でひとりなのも、絶妙なバランス感覚すぎてすごい。当日も、唯一の半公式アンバサダーとして責務を全うしていました。
12. ビーチブレイバー / 放課後クライマックスガールズ (とりぷる留年cover)
ズドドドド!の亜種で、パーティー感も引き継いでいます。あとは、担当カラーのある5人組つながりとか。
せっかくのテトクラなので、channelさん発祥の「とりぷる留年」カバー版で参戦しました。留年というイベントはひとつのクライマックスですが、その先にも楽しい夏はあります。
ふだんナクモくんやめろうさんと楽曲制作をしているからか、VOCALOIDやUTAUでの制作の際は、逆にあまりヒトヒトしくないというか、いわゆる合成音声感をしっかり残したい気持ちがあり、自然な譜割りを意識しつつも、調声自体はあまり装飾をしない形に落とすことが多いです。
なので、無色透名祭なんかでたまに見る「◯◯さんのミクの声」みたいなものに少し憧れもあるのですが、うちのミクさんやUTテトさんは超ネイティブな歌声です。ちなみに、亞北ネル調声方針はこちらの記事に準拠しています。
シャニマスはSHHisのデビュー後までかなりアクティブだったのですが、よく考えてみると、SHHisの実装が2021年の春で、自分のボカロPデビューが同年11月なので、可処分時間の推移としては、そのままシャニPからボカロPになったような感じですね。
シャニマスくんは絵がうまいし楽曲も最高なのですが、主に放課後クライマックスガールズ全般の作詞を担当する古屋真(敬称略)をとてもrespectしており、ぼくもこんな歌詞が書きたい!!と思っています。(シャニマスを知らない方でも、ゾンビランドサガの作詞をしていると言えば伝わるかもしれませんね)
13. 歩行訓練 / 世界電力
放課後つながりです。世界電力の楽曲において、この曲だけ重いキックをレイヤーしており、出音の感じを確認したい意図もあったのですが、リハで日和ってしまい未確認です。
「歩行訓練だけ好き(意訳)」という方も一定数見かけるくらい異質な存在感を放つ楽曲で、それはきっと残響室さんのMVがヤバすぎたからだと思います。この作品の制作方式は、(『メズマライザー』もそうだと公言されていた気がするのですが、)「二手に分かれて終点で合流する」スタイルだったので、簡単なやりとりと小さな裏設定(ニコニコ動画のいいね欄に記載のもの)の共有を行ってワクワク待っていると、ゴール地点にすごいのがやってきた、という感じです。本当に頭が上がりません。
トラックとしてはわりとバンドサウンドに寄っている楽曲なので、バンドスコア第二弾を発行するなら掲載したい楽曲です。ゴリゴリしたベースを生で聞きたい……
14. 好きな惣菜発表ドラゴン / ンバヂ
「だれ?」→ドラゴンです。
2023年は重音テトの年で、『散り散り』に始まり、『ライアーダンサー』『人マニア』『混沌ブギ』『オーバーライド』と覇権楽曲が立て続けに発表されていたのですが、この『好きな惣菜発表ドラゴン』もボカロカルチャー内で存在感を放つ楽曲として愛されており、それが翌年、「ボカコレ2024冬」に端を発する二次創作ドリブンによって、ボカロ界を飛び越えて一大ミーム化したような印象です。こんなに大きくなって……
ちなみにブブゼラさんのアレは、Hylen_JPさんの『好きなダブステップ発表ドラゴン』です。基本的に、好きな◯◯発表系のRemixはだいたい面白く、それもオリジナル版の持つ強い吸引力と絶妙な余白感の賜物だと思います。
15. 好きな惣菜発表ドラゴン × 新興宗教 / ンバヂ、是
インターネット・ショートコントつながりです。Remixよりはmashupに近いのですが、mashupほどmashupしていないのと、後述する理由もあって、単純にmeets表記です。
『新興宗教』は、2023年ボカロ曲10選としてニコニコ公式生放送で発表するくらい喰らった楽曲で、作者の是さん(or 昰さん)についても、前述の古屋真と同様「こんな歌詞が書きたい!」と感じるクリエイターの筆頭であると感じています。
別の観点で、今回のmees edit. については、そういう意図がないとしても、新興宗教というワード自体が好きな〇〇とmeetするのは若干センシティブなので、ニコニコライクな攻撃性を意図的に排し、たのしい勢いだけが伝わるような譜割りを意識したのですが、ちゃんとそうなっていたでしょうか。
16. 贅沢病 / 是
是さん&お惣菜つながりですが、お惣菜の文脈は本楽曲の収録されたアルバム『水商売』のジャケットに由来します。
「こういう歌詞を書きたい!」話は先ほど紹介したのですが、「こういう世界観を構築したい!」という憧れもあります。音楽・映像を問わず、ツールが安価となり、手法も広く共有され、模倣のハードルがぐっと下がった現代だからこそ、代替不能な作家性というものに強く憧れており、是さんはそれに該当します。
……というコメントを書いていて、少し怖くなってきました。こういった考えもひとつの贅沢病なのかもしれないですね。いつも聴いてくださって、そしてあまつさえこんな記事にまで目を通してくれている全ての皆さま、ありがとうございます!ぼくも精進しますが、是さんがめっちゃいいぞという結論は変わりません。
17. ずれる / 馬車馬カエデ
二拍三連つながり。かつ、大枠で"ずれ"の文脈です。
先の文脈を踏襲する形で続けますが、馬車馬カエデさんも代替不能な作家性を強く感じる方のひとりです。わかりやすいパッケージとしてのアートワークのみならず、ジャンルを選ばないトラックに乗っかるワードセンスと譜割りが天才的で、脱力感を保ったまま技ありの一手を繰り出す、という一種の達人のような作家性を感じます。
その前置きのうえで、この『ずれる』は、「全部、俺」コンピ発売時点からクリエイターの間で称賛の口コミが多数回ってきていて、けっこう高い期待値のうえで聴いたのに、とても良かったです。敗北の味。
18. つもゆきパーク逍遥 / 稲むり
電子的な楽しい音、かつ低音Boomな感じなのと、好きな惣菜発表おふとんドラゴン以降は制作体制として「全部、俺」なクリエイターが続いており、そういった諸々のつながりです。
稲むりさんは、直近だと『うらみ交信』の印象が強いかもしれませんが、自由度の高いトラックメイクと、魅力的なアートワークは、過去作品からずっと一貫しています。本楽曲ももちろんですが、『エンドリン・はと』という作品も特におすすめなので、ぜひ視聴してみてください。
19. セカイ / DECO*27 (世界電力cover)
銀世界から空へ、セカイつながりです。なぜ空なのかというと、ame。さんの『セカイ』UTAUカバーに影響をうけて制作したものだからです。
今回、昨年7月に出演した「ミクストリーム vol.1」にて公開したカバー(上記Soundcloudのもの)を土台に、ちょっとだけミックスを調整しています。
ボカロPとしての活動ではなまじ全トラックを触れてしまうぶん(個別のフェーダーとエフェクトの問題にできてしまうからこそ、EQや空間のコントロールスキルに関して)、いわゆる歌い手さんやMIX師の方が行うような「仕上がったトラックの2mixにボーカルを馴染ませていく」技術が自分にはあまり身についておらず、苦手意識を感じていたのですが、それでも1年前のミックスを聴くとやり直したい部分が出てくるのは、なんだかんだ成長しているということなのかもしれませんね。
20. 創造 / RED
さらに世界つながりです。空から宇宙へ!天地創造!!!……というわけではないのですが、大きな音で流れていると嬉しい楽曲なので、ここだ!というタイミングで登壇していただきました。
REDさんの音は、クリアな透明感とパワフルな圧が両立しており、なんかもうどうなっているんだってくらい抜けがよく、そのうえ歌詞もメロディも抜群に良いうえに、ご自身で手掛けるアートワークにも個性があり、こうなりたい!の筆頭です。
とは別に、個人的な趣向として、でっかい地平を感じる歌詞やサウンドが好きなので、verseからhookに至るまでの展開が「顧客が本当に求めていたもの」すぎて唸っています。hookのclapもいいんですよね。会場の皆さん、教えてくれてありがとうございました。
21. In Your Eyes / RED
「君の瞳には僕がいてさ」から引き継ぐ形で、大きな音で流れていると嬉しい楽曲その2です。
知声というシンガーは、今でこそ漫画連載やコンピレーションCDなどの多角的な展開が目立ちますが、上記の1周年当時はそのような動きはなく、1周年&英語版解禁という、IPにとって初めての大きな節目にあたるタイミングで、満を持して公式デモソングとして発表されたのがこの楽曲です。
知声のニュースとしても、REDさんのニュースとしても、まさに寝耳に水の吉報で、ボカロリスナー多めのタイムラインが爆発的に盛り上がったことを覚えています。プレミア公開も楽しかったですね。
22. 悪魔の行進 / RED
3曲目?!??!??! で、地上に戻ってきます。
当時、ボカコレ2022春にて発表した『雷・々・来』の衝撃がとても大きく、皆が次の作品を心待ちにしていたタイミングで投稿されたのがこの楽曲です。
トラックも歌詞もアートワークも素晴らしく、決して明示的ではないのに、どこかさびれた町や土埃を纏う風を感じるような、standaloneで、しかし孤独ではない、しなやかな強さを感じて痺れました。だだっ広い地平には、かならずきれいな星空が隣り合わせであることもポイントですね。
23. 太陽の王国 / 世界電力
太陽つながり。そして、『太陽の王国』は『悪魔の行進』に影響を受けて制作した楽曲なので、そもそもの制作思想自体に直接的なつながりがあります。
制作時、楽曲にどこか風のふく感覚が欲しく、『悪魔の行進』に感じた土埃を巻き上げる風の質感について考え、「バンドサウンドなら、アコースティックギターと低い太鼓なのでは?」と思い立ち、複数ドラムズンドコ型の編曲に至りました。
『太陽の王国』の編曲レシピは、こちらの投稿にて公開しています。どんな楽器がどのように入っているかがわかります。自分の場合はロックに寄せたかったのでエレキギターの音量をものすごく上げていますが、ギターを抑えてエスニック色を強くする選択肢もあります。
24. フランスパンのうた / D.W.ニコルズ (重音テトと重音テトcover)
世界電力の発表曲つながりで、長い時間つながりで、MVの色味がちょっと似ているつながりです。
もともとD.W.ニコルズさんの原曲がとても好きだったのですが、重音テトSVの情報が公開された瞬間から、2対が1セットになった歌詞や、フランスパンというコンセプトそのもののシンデレラフィット具合にはっとして、「絶対にカバー動画を公開したい」と意気込み、馬車馬カエデさんの力をお借りして鼻息荒く投稿しました。
そして先月ごろ、公開から1年以上経ったタイミングで、今や覇権的なドメインパワーを持った「重音テト」さんに引っ張られる形で、この楽曲が突然YouTubeのおすすめに連続して載るようになり、自分にとっては驚くほどの勢いで、いまも多くの方にご視聴いただけています。
なので、ありがとうの気持ちと、ほっこりできたらいいなの気持ちで、最後のほうに持ってきました。大団円っぽい感じですが、ここからさらに、もう1曲あります。
25. おとなになったら / あたたかい水族館
今年の8/24〜25に韓国で開催された韓国版ボーマス的なイベント「VOCASTAR」に参加したときのことです。
超会議の超ボカニコと同じく同一会場内にDJエリアが存在するイベントで、当日、DJ会場入口の正面ロビーで別件の待ち時間を潰していた際、ちょうどあたたかい水族館さんのDJ手番がはじまりました。
会場の扉は比較的音が漏れるタイプの造りで、目線の高さに場内が見えるようガラスがセットされていたのですが、MVのカットを背景に、ご自身のロゴをオーバーレイさせてデカスクリーンに投影させつつ流していた『おとなになったら』がすごく良くて、音の強度も高いし集まった数百人も爆湧きしていたのをガラス越しに眺めて静かに喰らってしまい、絶対に大きな音で流すぞという決意を持って臨みました。
世界電力は、基本的に「大人になること/なったこと/ならないこと/なれないこと」に準じることをよく歌うし、そういう概念が好きです。『就活東京』という楽曲で飲みかけのコーラを捨てるところなんか、わかりやすいですね。
また、これは個人の偏見ですが、空を背にした給水塔には、構造物としての侘び寂びはもちろん、それ自体にポストロック・オルタナティブの面影や映像的情緒を感じるので、とても好きです。
つまり、この楽曲は好きになるべくしてなった楽曲で、流すべくして流した感じがあります。『銘々_等』で始まり、『おとなになったら』で締まるのは、なんというか、いいと思います。
おわりに
「ウソのつきかた」コンピの発足、「ウソのつづきかた」の開催、そして「ウソのつきかた2」の発表と、すさまじい強度のニュースが続いていますが、自分がその渦中にちゃっかり存在しているのが未だに不思議なくらい、ワクワクするアルバムで、イベントだなと感じます。
これもひとえに、主催の長谷川迷子さんのおかげなので、皆で心のなかで感謝をしたり、感謝を伝えられる機会に伝えたりしましょう。インディーでおもしろいことをするときにキッカケとなる、透明感のある突破力と、なにかを前に進める胆力と、モジモジしている人を引っ張り出してくれる愛嬌を備えたオーガナイザーだと思います。
改めて、音楽を聴いてくれたり、イベントに足を運んでくれたすべての皆さん、CDやイベントでご一緒した/する関係者の皆さん、長谷川迷子さん、そして最後に、延べ1万字を超えるオタクの怪文書に目を通してくれたあなたにも、本当にありがとうございました!
またどこかで会いましょうね。