でんぱ組.incとの邂逅に関する体系的整理および研究レビュー

1.序論

昨今、アイドル・エンタテインメントは、SNS等の情報伝達サービスの拡大およびそれに付随した「推し活」の普及により、かつてない隆盛を見せている。
その火付け役の一旦ともいえる存在であるのが『でんぱ組.inc』であるのは自明である。(Fig. 1)

Fig. 1 女神達の図

本稿は、筆者と当該グループとの邂逅、応援するまでの過程、原因に対する実験的考察、および今後の展望について体系的に整理することを目的とする。また、本稿では、一般に主観的に議論されることが主であったファン心理について、データに基づく科学的アプローチを試みたことに、新規性と独自性を伴う。

なお、感情的・文学的に優れた報告書は、現時点の筆者の文章力では表現困難のため(今後の課題としたい)、より洗練された先行文献(Kumato et al.)[1-4]などをご一読されたい。

1-2.背景

筆者は、過去において、『でんぱ組.inc』に対してむしろ嫌悪感を抱いていた。これは2013年頃、朝の情報番組にて彼女らのパフォーマンスを見た瞬間に(その当時の)筆者が抱いた感想に基づくものであるが、主な理由を以下にまとめる:
1)聴いてもよくわからない歌詞(いわゆる電波ソング)
2)奇抜すぎる衣装・パフォーマンス
3)筆者自身による「王道こそ正義」という偏見

転機が訪れたのは、2016年秋である。Yマザキパン社の日雇い職場(上流から無感情におしよせてくるケーキドーナツを、白→黒→白→黒の順に並べて詰める素敵な作業であったが、本稿では割愛する)にて、BGMとして有線ヒットチャートが掛かっていたのだが、そのうちのやけに耳に残る1曲 ー後に『最ψ最高潮』なるタイトルであることを知るー がでんぱ組.incの楽曲であることだけはすぐに分かった。

「やけに耳に残る」これが当時感じた全てであったが、結果としてこれのMV視聴が、筆者がでんぱ組.incの「沼」に足を踏み入れる第一歩となった。

1-3.目的と手法

これを機に、私は2024年までに掛けて、実験的研究を行い、上記(1)〜(3)に対する再検証を試みた。
具体的には以下、3つの実験を行った。

1-3-1.楽曲研究

『理由(1)聞いてもよくわからない歌詞』について再検討すべく、2024.5迄時点に発表された概ね全楽曲の聞き込みを行った。 

1-3-2. 外観調査

『理由(2)奇抜すぎる衣装・パフォーマンス』について再検討すべく、全アーティスト写真(アー写)、ミュージックビデオ(MV)を観察し、その際のオキシトシン(幸福ホルモン)の分泌量を計測した。
※但し、測定値は筆者の推測に依る。

1-3-3. 実地調査(フィールドワーク)

「理由(3)「王道こそ正義」という偏見」を再検討すべく、イベント会場にて実地調査を行った。
実際にライブ、リリースイベントなどに足を運び、現地の空気を観測したものである。

1-4.実験と考察

1-4-1. 楽曲研究

実験の結果、以下の事象を確認することができた。
a)全ての曲がそうではない(ex.明日地球がこなごなになっても、イロドリセカイ 等)
b)早口(BPMが高い)なだけで、非常に緻密に計算された歌詞が多数ちりばめられている。
また高BPMであること自体が聴く側の感情を高める効果がある。
c)反面、たしかに聴き取りづらい部分もあるが、結果として「空耳でんぱ」などファン内文化が生まれ、それ自体がある種のエンターテイメント・アイデンティティの様相を呈している。

以上の結果より、理由(1)は棄却され、2016年以前の筆者の耳は機能不全であった可能性が生じた(今後の調査対象とする)。

1-4-2. 外観調査

Fig. 2に、朝食時における品目別の摂取後オキシトシン血中濃度の変化量を示す。実験の結果、新衣装を摂取した際のオキシトシン濃度変化量は20000pg/ml(推定値)であり、一般に朝食摂取後のそれが5-15pg/ml※である[5]のに対し、著しく高い傾向であることが分かった。

Fig. 2 品目別の摂取後オキシトシン濃度変化量

 (※pg=ピコグラム:ピコは10の-9乗を指す)

これは、幸福度という観点のみで言えば、新衣装を摂取することは一般的な朝食10年以上分に相当することを意味している。
以上の結果より、理由(2)は棄却され、2016年以前の筆者の眼球が節穴同様であったことが強く示唆された。

1-4-3. 実地調査

でんぱ組.incのパフォーマンスでは、以下が特徴として挙げられた。
ステージと客の一体化による圧倒的熱量
・目まぐるしいポジション変化、ダンスによる視覚的に飽きさせないパフォーマンス
・ビジュが神
・回を追うごとに洗練されていく表現力
・ツアーごとに明確なメッセージ性、テーマ性、「ライブ」を通じた演者とファンのコミュニケーション

これらは王道アイドル ーここでは非"ヲタク"層にも広く人気・知名度があり日常的に多数メディア露出がある(あった)グループと定義するー と比較しても遜色ないものである。

また、参考までに、筆者のイベント参戦実地調査回数をFig. 3に示す。

Fig. 3 年度別の調査回数

(コロナ禍でイベント回数が激減した2020-2021を除き)イベント参加回数が大幅に増加していることが分かる。

このことから、理由(3)は棄却され、単に筆者の「食わず嫌い」であったことが確かめられた。

注)なお、本節では「王道アイドル」を貶す意図は全くないことを明言したい。
どちらかが良い、ではなく、どちらも良い、のである。ラーメンが美味であることはカレーが美味であることを否定し得ないことに等しい。
(なお、筆者は今でもKARAや乃木坂46を愛している)

1-4-4.総括

2016年までのワイなにしてたんやほんま

2.本論

ちょいちょい呟いてますが、僕は発達障害(ADHD)の診断持ちです。それ自体は全然気にせず楽しく生きてるんですけども。
ADHDってタイプが色々あって、僕は「不注意欠陥」「多動」が強いんですが、結果、ものすごく多趣味です。【積極的に見たり調べたりするのを厭わず、半日程度なら平気で費やせる】あたりをいったん趣味と定義すれば、パっと10個くらいは出てくるくらい。

ただ逆に、何か一つに集中して極めることはめっぽう苦手でした。
何かにどっぷり浸かる、これは凄く羨ましくて遠いものでした。

出会い自体は、ドラマチックでもファニーでもなく、すげー耳に残った、ってだけの話ですが、
結果として、かれこれ8年近くほぼでんぱ一筋で応援できているのは、振り返れば、僕にとって本当に本当に素敵なことでした。
あと僕は自分のことを「ファン以上ヲタク未満」くらいに思ってますが、そういう中途半端な存在を温かく受け止めてくれるでヲタの皆さんも大好きです。
本当に顔に出してる10倍くらい好きです。

それもこれも、物理的なステージの高さは違っても、ファンと同じ目線の高さでい続けてくれて、いつも色んな形で寄り添ってくれるでんぱ組.incの懐の深さが作り出したものなんでしょう。
音楽性が好きだし、メンバーが好きだし、可愛いし、オキシトシンもいっぱい出ますが、
本質的にはその姿勢とあり方が大好きで、眩しくて、これがでんぱ組.incの魅力に尽きると思っております。

3.まとめ

でんぱ組.incすきだ!!!!!!!!!!

4.今後の展望、課題

・でんぱ組.incのエンディング後の「推し活」の進退、および精神的支柱をどこに置くべきかについて議論の余地がある。
・また、10/8のエンディングツアー(仮)については、業務遂行への支障が懸念であるが、些末なことであるため、最大限の有休消化を関係者とともに協議していきたい。
・エンディング後は、卒業論文を整理し、本研究を締め括ることを目標とする。 

5.謝辞

本稿の執筆にあたり、楽曲を通じ、終始多大なご声援を賜りましたでんぱ組.incの皆様に深謝致します。
また、執筆を決意する機会を提供頂いた、Kまと氏はじめnote民の皆様に感謝いたします。
あわせて、日頃多大なご助言いただいております、りあ推し含む全でヲタ界隈の皆様にも改めて感謝の意を表します。

最後に、上記の皆様とここまでお読みいただいた全ての皆様で、でんぱ組.incです。有難う御座いました。

■参考文献
[1]『私のでんぱ組.incはここから』, くまと, 2024
https://note.com/kumato90010/n/nf23ad0a9ac8b
[2]『FDレポ 〜文章あちこち拡張(オーギュメント)〜』, はるぽよ, 2024
https://ameblo.jp/harupoyo-p/entry-12850447944.html
[3]『でんぱ組.incとの出会いについて』,やゆくん, 2024
https://note.com/yayu_dmp/n/n283d965404f8
[4]『あなたのでんぱ組.incはどこから』,だっちょ, 2024
https://note.com/daccho_pi/n/n42f6bd5719fb?sub_rt=share_pb
[5]『<最新研究報告> 身体心理学者・山口 創先生との共同研究により フルーツグラノーラで幸せホルモン分泌上昇が判明』, カルビーオーツ麦PR事務局プレスリリース, 2022
https://www.atpress.ne.jp/news/327995

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