ふわふわの小さな綿菓子
長雨で、ひきこもりの日々を
過ごしていたある日、
今日も雨か・・・と
窓を開けると、
網戸に、まったく動かないクモを発見した。
普通、クモは、逃げる。
動かないのは、おかしい。
・・・持ち場を守らなければ、
ならない「何か」があるのだろう。
すぐにピンときた。
クモのいる網戸の付近を探す。
やはり、あった。
網戸のアルミ枠の厚さ1センチほどの縁のへこみに、
クモの卵が見つかった。
卵嚢は、小さな綿菓子のように白くふわふわ。
ぱっと見には、
まだ卵嚢の中に、いるような気配がする。
いまは手が出せない。
つついて、クモの子を散らしても困る。
親クモが完全に姿を消す時を待った。
静かな夜に、
もぬけの殻を
箸でつまみ取り除いた。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?