『その着せ替え人形は恋をする』を見た。

 今季(2022冬)放送中のアニメ、『その着せ替え人形は恋をする』を2話まで視聴したので、この視聴直後の感動を忘れないうちに残そうと思います。基本的にネタバレなしはなしです。と言うよりも、私はストーリーラインを追っていくタイプの感想が書けないだけなのですが。

今季アニメについて

 感想に入る前に、私の今季の視聴(予定も含む)アニメを上げさせてもらうと、

・進撃の巨人
・その着せ替え人形は恋をする
・明日ちゃんのセーラー服
・からかい上手の高木さん

以上4作品だけです。もともと今季は進撃の巨人しか見るつもりはなかったのですが、ビスクドールと明日ちゃんの素晴らしい作画に釣られました(高木さんは3期がやるのを把握していなかった…)。YouTubeでビスクドールのオープニングを見て、近年稀に見るこだわりと原作愛を強く感じられるラブコメの出現に感動し、アマプラで思わず一気見…。ビスクドールの原作は一話だけ試し読みしたことがあったのですが、特にノーマークだったので、完全に嬉しい誤算です。こういう、今まで意識していなかった素晴らしいアニメを自分で発見した時の感動って、何物にも変え難い非常に尊いものですよね。今季は最初から最後までこの4作品を追い続ける予定です。

作画の素晴らしさ

 この作品の大きな魅力は、なんといってもその緻密で綺麗な作画でしょう。最初の雛人形の美しい描写によって、主人公の雛人形に対する想いに説得力を持たせられています。主人公の趣味というのはかなり特殊というか、様々な性癖が存在し、認められている現代でもやや受け入れられにくい物だと思うのですが、作画の圧倒的パワーによって見る人を否応なくまた、私は背景作画がかなり好きで、日本のよくある街の日常的な風景がその作品のテイストに落とし込まれた姿が大好きなのですが、このビスクドールもまた、素晴らしい日常背景描写がなされています。例えば、一話で主人公が学校に登校するシーン。踏切や駅の改札の細かい部分にまでこだわりをビンビンに感じられる作画で、私はもうこれだけで脳汁が半端なかったです。
 そして何より、キャラクターの表情が素晴らしい。特に海夢。どの瞬間、どの表情を切り取っても美しい。美麗な作画で、彼女の魅力が120%表現されています。また、安易にデフォルメを使わないのも個人的に評価が高いです。ラブコメというジャンルはどうしても会話劇が中心になりがちで、映像に動きをつけるために制作側はあれこれ考えられていると思うのですが、ビスクドールは海夢の感情表現を丁寧に描写することで、絵的にも飽きさせない工夫を感じる作品に仕上がっていました。
 最後に、2話の乳揺れです。本当に感動しました。ただ、これに関して熱く語ったものをネットに永劫残すのはやや憚られるので、興味のある方は是非自分の目で確かめて、私と同じ感動を味わってください。

生き生きとした登場人物達

 私がビスクドールを見ていて感動したのが、キャラクターの言動に血が通っているところです。私は、人間の性格や思想というものは、端的に形容できるものではないと考えています。そのため、二次元創作物における「属性」という考え方がとても苦手です。どうも無機質というか、ある作品単体で見れば確かに違和感はないんですけど、他の作品でも似たような言動ばかり見てしまうと、どうしても味気無さを感じてしまうんですよね。
 その点ビスクドールは、登場人物がとても生き生きと描かれています。生き生きとは何か。私は、お決まりの言動をしない、ということよりも、そのキャラのことをもっと知りたいと思えるように描かれているかだと思っています。特に海夢は素晴らしい。所謂「オタクに優しい/オタク趣味があるギャル」系に分類されるのだと思いますが、正直ステレオタイプなギャルって今時なかなか見かけませんし、そういう意味でも海夢というキャラクターは、現実味はないんだけど、リアルにいても違和感はない、そんな素敵なヒロインだと思いました。

自分の好きなものを好きと言える世界

 この作品の大きなテーマである、「世間に広く受け入れられていない自分の趣味に対して、どう向き合うか」という問題は、多くのアニメ好きの方ならかなり思うところがあるのではないでしょうか。今は昔に比べてアニメオタクに対する風当たりはだいぶ和らぎましたが、それでもリアルで堂々と語るのは若干抵抗感があると思います。私の場合、ある程度理解のある友人と話すのには抵抗感は全くないのですが、殆どアニメを見ない人、特に親に対してだとなかなか厳しいですね。
 このビスクドールの主人公、若菜くんもまた、我々に近しい悩みを抱えています。二話まで見た限り、回想シーンで出てきたトラウマっぽいのが原因だと思うのですが、原作を全く知らないのでなんとも言えませんね(アニメ見終わったら原作読もうかな)。
 そこで、クラスメイトの海夢の話を聞くわけです。なんかこう、他人の会話をまじまじと聞いてしまう若菜くんの陰キャ感がリアルで、思わず共感してしまいました。私もよくやります()。
 海夢の発言、「人の好きなものを馬鹿にするな。」当たり前のように聞こえますが、これが出来ない人がなんと多いことやら。私は意識的に絶対やらないように気をつけていますが、それでもたまに口が滑って揶揄うような発言をしてしまいます。人の「好き」を尊重するって、なかなか難しいことなんですよね。
 その後なんやかんやあって、若葉くんが海夢のコスプレ衣装を作ることになるんですが、私が思う海夢の一番の魅力とは、「愛を貫く覚悟」があることです。どんなに周りが冷たく当たろうと、自分の好きを貫ける人はそこそこいると思うのですが、海夢のように自分の信念をはっきりと口にできる人は絶対に少ないと思います。多くのオタク趣味を持つ視聴者が彼女に好感を抱いてしまうのは、彼女の愛を貫く姿に魅せられてしまうからではないでしょうか。まだ2話までしか見ていないので、彼女の過去に何があったのかは不明ですが、あそこまで確固たる哲学を持てているのには、それ相応の理由があるのではと勝手に妄想しています。
 私は人生のテーマに、「自分の好きなものを好きと言う」というものを据えています。今回このビスクドールという作品、および喜多川海夢というキャラクターを知って、このテーマに対する一つのゴールというか、目標にできる存在に出会うことが出来ました。本当はもう少しこのテーマについて語りたいのですが、感想という趣旨からは外れてしまう(既に外れている気もする)ので、ここら辺で一旦切りたいと思います。

おわりに

 なんだか長くなった上に色々脱線してかなりの駄文になってしまいました。初めてアニメの感想文を書いたのですが、自分の思いを的確に言語化する作業って、とても難しいのだと実感するとともに、色々勉強になって楽しいです。
 最後に、もしこの感想で『その着せ替え人形は恋をする』に興味を持った方がいたら、是非視聴してみてください。アマプラで全話無料ですし、ニコニコの方でも一話が無料公開されています。正直自分の拙い文でこの作品の魅力が伝えられているとは全く思えないので、是非、いや必ずアニメを見て欲しいです!

ではまた。

 




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