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生と死とはざまの快楽

渋滞抜けて裏道に。
アクセル開ける。
渋滞のフラストレーションが加速に換わる。
リアタイヤが背中を蹴飛ばしフロントタイヤが軽くなる。
右コーナーが迫る。
ギリギリまで右手首は戻さない。更に迫る。
死を感じる刹那右手のグリップを一気に離しブレーキを握る。
フロントが沈む。
リアタイヤが浮きABSが軽い振動でフロントブレーキのリリースを知らせる。
シートの右側の縁に背骨の軸をずらす。
上半身を右斜め前方に倒す。視線は右出口を睨んだまま。
左に引き寄せる遠心力を感じたら右ハンドルをゆっくり押す。
合わせるように車体が僅かに右に倒れ左のチカラが弱まり進むべき筋が見えたら先に向かってアクセルを開ける。
腹の下でガソリンを吸い込むグァボォォォォォと言う怒るような叫び声をあげリアタイヤがまた背中を蹴飛ばす。
永遠を夢見る。生と死の間を往来する快楽に酔いしれる。