チームの共通理解を深めるユーザーストーリーマッピング
こんにちは。株式会社シャペロンでプロダクトマネージャーをしている井上です。
シャペロンでは機能開発をするにあたり、解像度を高めるため、周辺知識も合わせて理解することで、新規プロダクトの検討・進行をチームが主導します。進め方は 1つ ではないのですが、先日ユーザーストーリーマッピングを使用して、周辺知識の掘り下げや MVP 、概算の見積もりを検討した際の工夫について書いてみたいと思います。
※「ユーザーストーリーマッピング」についてはオライリーから出ている ユーザーストーリーマッピング がおすすめです。
時間もリソースも足りない
限られたリソースをどの開発にどの順番で割り当てるべきか。については、全体における各プロダクトの状況や実施すべきタイミングにより常に変化をしていきます。どんなプロダクトでも時間とリソース以上に作るべきものが存在するため、実施する開発については
開発するプロダクトのアウトプットは最小限に抑える
将来的に得られる成果をいかに最大化することができるか
を、意識して取り組むようにしています。
成果を最大化する
成果を最大化するため、どういう課題があり、どうすれば解消されるのか(価値に繋がるのか)の認識をチームだけではなくステークホルダーも含めて揃える必要があります。そのための手段の一つとして今回の開発ではユーザーストーリーマッピングをプロセスに取り入れてみました。
ユーザーストーリーマッピングの目的
ユーザーストーリーマッピングは、ユーザーがプロダクトをどのように利用するかを視覚的に整理する手法です。
ユーザー中心の開発 … ユーザーの行動やニーズを明確にする
共通理解の促進 … チーム全体で共通理解を持つ
優先順位の設定 … 開発の優先順位を適切に設定し、効率的なプロダクト開発を促進する
製薬企業に向けたプロダクトを開発しているため、実際に利用される MR の方(事業ドメイン)に関する知識の理解・キャッチアップが難しく、その点をクリアにするため解像度をいかに向上できるかを目的に実施しました。
MVP 決定までのプロセス
以下のプロセスで実施しました。
ユーザーのアクティビティのリストアップ
ユーザーが製品を使う際の主要なアクティビティを洗い出す
ex … 企画の承認、情報の登録、メールの送信
ユーザーストーリーの作成
各アクティビティに関連する具体的なユーザーストーリーを作成する
ex … 担当者を指定し、指定された担当者がメールの送信先を指定する
プロダクトバックログ
ユーザーストーリーをもとに、開発すべき機能やタスクをリスト化し、優先順位を設定する。
ex … 承認機能、情報管理機能、メールの送信機能
2 までを対応し、そこから開発すべき機能やタスクのリスト化を行う 3 のステップへ進めました。
2 の段階でユーザーが実施するアクティビティの詳細を記載することで、 3 で作成する PBI でも、検討すべきポイントや設定するゴールが分かりやすくなり、そのまま PBI として使用できます。
今回は、ユーザーからのフィードバックを収集しやすくするため、初回リリースを素早く実施できるよう、MVP の開発フェーズを分けての開発・リリースを計画しています。
各フェーズで、
サービス提供に必須な機能
対応すべきだが MUST ではない機能
体験・利便性がより向上する機能
といった点を考慮し、開発計画の見直しが発生したとしても影響を最小限に収めることができる事を念頭にいれ、参加者で整理を進め、MVPと各フェーズの実施内容を計画しました。
実施した際の反省点としては、代表者が付箋を書いていくシーンが多くなってしまったため、参加者全員で手を動かしていくことで、より共通理解を築くことができたなと思います。
最後に
ユーザーストーリーマッピングは、ユーザーの体験を中心にプロダクト開発を進めるための強力なツールです。もちろん、すべての開発に合うわけではなく、ストーリーが短すぎる場合や、ユーザーが関わることのない機能実装には不向きです。
今回実施したことで、参加者同士の認識が異なる箇所の整理や、事前調査で不足していた点も改めて整理することができました。
上記のような不足箇所の追加確認や、関連する他機能の影響を受けた際には、作成したユーザーストーリーマッピングを活用・更新していくことで、チーム全体での共通理解を継続的に深め、優先順位の見直しや明確化に役立てることができると思います。
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