ピンク色が好きですか?
「何色が好きですか?」
最近ではあまりこの質問をされなくなった。
小さい頃はよく「○○さんは何色が好き?」親にも「何色がいい?」と聞かれていた。
今はピンクの物ばかり持っている。
だから、「ピンクが好きなの?」と聞かれるようになった。
ピンクは私の好きな色ではなく『私の色』なのだ。
女の子の色って?
私は4人家族で父、母、姉、私で暮らしていた。だからこそ、歯ブラシやコップ、ハンカチなどの小物にはそれぞれ家族カラーなるものが存在していた(父→緑、母→オレンジ・黄、姉→水色、私→ピンクだった)。
幼いころ、水色が一番好きだった私は何かと姉に反発し、水色争奪戦を繰り広げていたが年の差が大きく、当然勝てるはずもなかった。「ピンクはかわいいからいいじゃない」などと何度も諭された。
ある日、離れて暮らしている祖父から電話がかかってきた。ランドセルの色は何色がいいか、という話だった。母に「好きな色でいいよ」と言われたので「水色!」と勢いよく答え、自分のランドセルが届くのを心待ちにしていた。
ランドセルが届いた。色は赤。とてもショックだった。何のために好きな色を聞いたのか、とても拗ねた。今思えば、「女の子のランドセルは赤」という祖父の考えにより、私の意見など特に必要なかったのだろう。しかし、その時に『色』に対する諦めを覚えた。『女の子の色』が嫌いになった。
赤じゃなきゃ私じゃない
それから「何色がいい?」と聞かれても、何色が好きかわからなくなった。だから「何色でもいい」「無難な色」を選ぶようになった。
私物はを選ぶ時も黒や白、グレーなどばかり。姉が好んできていた服も黒ばかりだったので、私服は無彩色のものしかなかった。親や友達に「色のある服を着ればいいのに」と言われても『女の子の色』だから『かわいい』『似合っている』と思われるのが嫌だった。
小学5年生のとき、女の先生がとてもかっこいい車に乗っていた。「かっこいい車なのに赤なんだな、女の子の色だからかな」と思っていた。けれど
「赤はかっこいい色だから。赤じゃなきゃ私じゃない」
今でもその言葉が忘れられない。家に帰って母親に言った。
「赤は女の子の色だと思った。みんなランドセルは赤色でしょ?でも先生は赤はかっこいい色で、赤じゃなきゃ先生じゃないんだって。どうして私の色はピンクなの?」
ピンクはわたしのいろ
幼いころからピンクは私の色だった。
でも、家族が決めた色だから別に好きじゃなかった。女の子の色だからピンクが嫌いだった。ピンクだからかわいくなきゃいけないと思っていた。
生まれたとき、桜がとてもきれいに咲いていたから。
だから私の色はピンクだった。
その話を聞いて、桜の花が好きになった。
男の子らしい色、女の子らしい色、イメージはあるかもしれない。
でも似合う、似合わないでなく、好き、嫌いで決めないで、私らしい色だと言えるようになりたい。
だから私は今日もピンクを選ぶ。