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黄昏時の三日月を見て
あなたは何て言ったっけ

わたしはたしか
そうだねって言わなかったっけ

月の微熱には気づけない
指先が覚えているのは
人だけが
愛する人だけが纏う日だまりの気だけ

糸が解れようとするこの時

優しい世界に浮遊するのは星
それは多分あなた
悲しい涙を記憶ごと乾かす陽
それは多分あなた

そしたら
わたしはなんだろう

星も陽も月も翳る常のような陰を
そっと覆う裂織でありたい

そうありたい

眠らない幸せが月の熱さえ下げた気がした



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