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床から何処かへ


両眼の視界はボヤけていた
それだけで
着想の鬼になれると思ってしまった
目の前の丸はただの丸だった

冷気が緩んでいると
暖かいよ    と言って
アスファルトが濡れていると
夕立だね    と言う
世界が終わる時    
怖いね        としか言えないのだろう

平凡よ
揺蕩う並の波よ
わたしが何処にいるのか教えてくれないか

苛烈よ
畝る時化の波よ
わたしを連れ去ってくれないか

片眼の視界は距離が狂った
それだけで
着意の神になれると思ってしまった
右左のズレはただのズレだった

星が瞬くと
おやすみ    と言って
朝陽が道で煌めくと
おはよう    と言う
世界が始まりを告げる時
眠いね        としか言えないのだろう

非凡よ
放漫よ
まだ見ぬ岩場の波よ
わたしを異郷に昇華してくれないか

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