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「イス-ガ」戦闘休止7日間明けの悲惨

【詳細】“戦闘再開後 109人死亡” ガザ地区の保健当局

2023年12月1日 23時48分 NHK
イスラエル軍は1日、イスラム組織ハマスが実効支配するパレスチナのガザ地区への軍事作戦を再開し、各地に空爆を行うなどしていて、住民に犠牲者が出ています。先月24日からの戦闘の休止は7日間で終わり、ガザ地区の人道危機がさらに深まることが懸念されます。

イスラエルやパレスチナに関する日本時間12月1日の動きを随時更新でお伝えします。

ガザ地区保健当局「戦闘休止終了から3時間で32人が死亡」

イスラエル軍 ガザ地区全域を細分化した地図公開 避難促す

“イスラエル軍 戦闘再開後 109人死亡” ガザ地区の保健当局

イスラエル軍がガザ地区への軍事作戦を再開し、各地で空爆などを続ける中、ガザ地区の保健当局は日本時間の1日午後10時半ごろ、戦闘再開後の犠牲者数をSNSで更新し、これまでに109人が死亡したと発表しました。また、けが人は数百人にのぼっているとしています。


NHK

“戦闘再開で支援物資搬入できず”

エジプトのテレビ局は1日、ガザ地区との境界にあるラファ検問所の様子を中継で伝え、現地の記者によりますと戦闘が再開されてから支援物資の搬入のためガザ地区に入ったトラックは確認されていないということです。

その上で、検問所の付近には燃料や、野外病院の資機材を積んだトラック数十台が待機しているものの国連やイスラエル軍による調整が続いていて、ガザ地区へ入る許可がまだ下りていないと説明していました。

戦闘休止7日間後 「これは子どもたちに対する戦争」SNSで非難

ガザ地区を訪れているユニセフ=国連児童基金のエルダー報道官は、1日、SNSに動画を投稿し「すでに爆撃音が聞こえている。病院にいるがここから50メートルほどのところでも爆撃があった」と話しています。

そして「この病院では戦争で傷を負った子どもたちをこれ以上受け入れることはできない」と述べたうえで「影響力を持つ人たちの行動が、子どもたちの殺害を許している。これは子どもたちに対する戦争だ」と強いことばで非難しました。

国連事務総長「まだ戦闘を再び休止することが可能だと期待」

国連のグテーレス事務総長はSNSに「ガザ地区で再び軍事作戦が始まったことを深く遺憾に思う」と投稿し、強い懸念を示しました。

そのうえで「私はまだ戦闘を再び休止することが可能だと期待している」として仲介努力を続ける必要性を強調しました。

ガザ地区保健当局「戦闘休止終了から3時間で32人が死亡」

ガザ地区の保健当局は1日、イスラエル軍による攻撃再開後の犠牲者について「戦闘休止の終了から3時間で32人が死亡し、数十人がけがをした。そのほとんどが、子どもや女性だ」と発表しました。

ガザ地区内務当局 “ガザ地区で空爆が始まった”

ハマス系のメディアは現地時間の1日午前7時すぎ、日本時間の1日午後2時すぎ「イスラエルがガザ市の北部を標的に攻撃を行った」と伝えました。

また、ガザ地区の内務当局は、日本時間の1日午後2時すぎSNSでガザ地区でイスラエル軍による空爆が始まり

▽北部のガザ市のほか

▽南部のハンユニス周辺などさまざまな地域で行われているとしています。

アルジャジーラ “戦闘再開後は南部でも攻撃”

イスラエル軍はこれまでガザ地区の住民に対して南部に退避するよう求めてきましたが、戦闘の再開後は南部でも攻撃を行っているという情報が相次いでいます。

中東の衛星テレビ局アルジャジーラはガザ地区にいる特派員の話として、イスラエル軍がガザ地区南部のハンユニスにある拠点病院の近くでも攻撃を行っていると伝えています。

またこのほかに同じ南部のラファやガザ地区の中部でも攻撃が行われているほか、複数の死傷者が出ていると伝えています。

イスラエル軍 ガザ地区全域を細分化した地図公開 避難促す

イスラエル軍は30日夜、ガザ地区全域を1000以上の細かいエリアに分け、それぞれに番号を付けた地図をウェブサイトに公開しました。

地図の番号は攻撃の標的となる地区からの避難を促すためのものだとしたうえで、ガザ地区の住民に対し、アラビア語で「注意してこの地図を確認せよ。イスラエル軍の指示を確認し従わなければならない。それはあなたの安全や家族の命を守る方法だ」と呼びかけています。

また地図の公開についてイスラエル軍は1日英語でもSNSに投稿し「戦争の次の段階に備えたものだ。イスラエル軍は戦争が始まって以来ガザ地区での民間人の被害を避けるためにあらゆる方法をとっている」とアピールしています。

ガザ地区南部 ハンユニスでは人々が避難を始める

ロイター通信は、イスラエル軍が軍事作戦を再開したことを受け、ガザ地区南部のハンユニスで避難を始める人々の様子を伝えました。

映像には、大勢の人が徒歩でまちを離れる様子や、毛布やカバンなどの多くの荷物を車両に載せて移動する様子などが写っています。

ロイター通信は現地にいる記者の話として、戦闘休止の期限が過ぎたあと、ハンユニスの東側の地域が集中的に攻撃を受けていると伝えていて、住民はまちの西側へ避難しているとしています。

イスラエル軍が攻撃を再開したことについて女性の1人は「彼らは子どもたちを殺し、女性を殺し、私たちの水や電気を破壊した。私たちにはもう何も残っていない」と怒りをあらわにしていました。

ガザ地区南部 ラファ市内の難民キャンプは

NHKガザ事務所のサラーム・アブタホンカメラマンがイスラエル軍の戦闘再開発表後の現地時間1日午前7時半ごろにガザ地区南部ラファ市内の難民キャンプで撮影した映像では、イスラエル軍によるとみられる攻撃の様子が写っています。

映像では住宅が密集する難民キャンプの一角から煙があがり、多くの人が集まってがれきのなかに閉じ込められた住民を助け出そうとする様子が確認できます。

また、毛布に覆われた犠牲者を急いで運ぶ人たちの姿も見られます。

攻撃を受けた住宅にいて足をけがした男性は「家にいたところ突然2発のミサイルが直撃しました。私たちは民間人です。この場所は難民キャンプの中にあり、人口も密集しています。犠牲となったのは全員民間人です」と話していました。

戦闘休止は7日間で終了 ガザ地区の人道危機 さらなる深まり懸念

イスラエル軍は、合意に基づく戦闘休止の期限を過ぎた現地時間の1日午前7時すぎ、日本時間の1日午後2時すぎにSNSで「ハマスが合意を破り、さらにイスラエルに向かってロケット弾を発射した」などとしてハマスへの軍事作戦を再開したと発表しました。

イスラエルと、ガザ地区を実効支配するハマスは先月24日から戦闘を休止し、1日までに

▽ハマス側がガザ地区で拘束していたイスラエル人と外国籍の人質合わせて105人を解放した一方

▽イスラエルも刑務所に収容していたパレスチナ人240人を釈放しました。

イスラエル軍は、戦闘休止期間の期限が迫った日本時間の1日午後1時前、SNSに「ガザ地区近郊で防空サイレンが鳴ったあと、ロケット弾1発の発射が検知され、イスラエル軍が迎撃した」などと投稿していました。さらに、軍事作戦の再開を発表してからおよそ30分後に「現在、空軍の戦闘機がガザ地区にあるハマスの標的を攻撃している」と発表しました。

イスラエル首相府 “戦闘再開の責任はハマスにある”

イスラエル首相府は1日、軍事作戦の再開を発表したあと「テロ組織のハマスは一時戦闘休止の方針に違反し、きょう、女性の人質全員を解放するという義務を果たさず、イスラエル国民に向けてロケット弾を発射した」として、戦闘再開の責任はハマスにあると非難する声明をSNSに投稿しました。

その上で戦闘の再開にあたってイスラエル政府は

▽人質の解放

▽ハマスの壊滅

▽ガザ地区がイスラエルの住民に二度と脅威を与えないようにする、という3つの目標の達成に尽力すると強調しています。

ハマス「戦争再開と侵略の責任はイスラエル側にある」

ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスは「ガザ地区での戦争再開と侵略の責任はイスラエル側にある」として、イスラエルを非難しました。

ハマスは戦闘の一時停止期間の延長に向けた交渉は1日の朝まで行われたとして

▽高齢者と「捕虜」の交換や

▽イスラエル側の攻撃で亡くなった人の遺体を引き渡し、ともに人質となってきた肉親も埋葬に立ち会えるよう解放すること、さらに

▽イスラエル人2人の解放も提案したものの、イスラエル側はこれらを断ったとしています。

またハマスは、アメリカ政府がイスラエルの戦闘再開を許したとして、アメリカも非難しました。

ハマス 政治局員「民間人を標的にする敵に立ち向かう」

ハマスは、現地時間の午前9時前、日本時間の午後4時前、SNSを更新しました。ハマスの政治局員の談話として「民間人を標的にする敵に立ち向かう」などとして徹底抗戦の姿勢を示しています。

その上で「イスラエルが戦闘休止前の50日間達成できなかったことは、戦闘休止後の侵略でも達成できないだろう」として、イスラエルが目標とするハマスのせん滅はできないとする強気の姿勢を示しました。

カタール政府が声明「攻撃再開に深い遺憾の意」

イスラエルと、イスラム組織ハマスの仲介を担ってきたカタール政府は1日、声明を発表し「人道的な戦闘休止の終了後、延長の合意に達することなく、イスラエルによるガザ地区への攻撃が再開されたことに深い遺憾の意を表する」としています。

また「カタールは仲介を担う関係国とともに戦闘休止に向けた努力を継続し、平穏を取り戻すために必要なあらゆる措置をとっていく」としています。

そのうえで「ガザ地区に対して再開された空爆が仲介の取り組みを難しくするとともに、人道危機を悪化させている。国際社会に対し、暴力を止めるために迅速に行動することを求める」と強調しています。

エルサレムでは攻撃再開を支持する声

ガザ地区での戦闘休止が7日間で終わったことについて、エルサレムに住むイスラエル人の間からは軍が攻撃を再開したことを支持する声が多く聞かれました。

このうち生後8か月の、女の子の赤ちゃんを連れた26歳のイスラエル人の男性は「状況は複雑です。私たちは戦いたくありませんが、ハマスが私の赤ちゃんのような子どもを殺したりしているので、戦うしかありません。この戦闘は長く続くと思います。終わらせるにはハマスをつぶすしかありません」と話していました。

70代のイスラエル人の女性は「この戦闘は私たちではなく、ハマスが始めたものです。エルサレムでもきのう銃撃事件が起き、これもハマスがやったことで、私たちはおびえながら暮らしています。外国は戦闘を休止しろと言いますが、この国に暮らしていないから言えることです」と話していました。

中略

一方、家族を訪ねてエルサレムに滞在しているアメリカ人の女性は「いまも拘束されている人質のことを考えると胸が張り裂けそうです。これはパレスチナの人たちとユダヤの人たちとの戦争ではなく、グローバルな問題です。パレスチナの人たちは何の罪もありませんが、ハマスはテロリストで、テロは許されません。みな平和を求めていますが、平和を実現するための簡単な答えは残念ながらありません」と話していました。

専門家 “ガザ地区南部で大きな被害出るおそれ”

イスラエル・パレスチナ情勢に詳しい東京大学中東地域研究センターの鈴木啓之特任准教授は、軍事作戦の再開によってイスラエル軍は今後、住民の避難先としてきたガザ地区南部への攻撃を強め、大きな被害が出るおそれがあると指摘しました。

鈴木特任准教授は、戦闘の休止が延長に至らなかった理由について

▽イスラエル側が子どもや女性を優先的に解放するよう求めるなか

▽ハマス側としては行方不明の人やすでに死亡している人が少なからずいて、解放できる人質が少なくなっていたことが想定されると指摘しました。

さらにイスラエル国内の事情として、世論が人質の解放が進んだことを歓迎した一方、政権内にはハマスとの交渉に批判的な声もあったとしたうえで「今回の戦闘の再開はネタニヤフ首相が世論の突き上げと連立政権の不協和音の板挟みになった結果だ」と指摘しました。今後の軍事作戦の展開については「ハマスのせん滅という当初掲げた目標に向けて行動していくと考えられる。これから大きな被害を受けていくのは南部ということになるのではないかと考えられる。南部でまず狙いにするのは、ハマスに関連していると思われる施設ということになる」と述べました。具体的には、南部のハンユニスなど人口密集地にあるモスクや病院、学校などシェルターとして使われている施設に対しても攻撃が行われる可能性が十分に考えられると指摘しました。

さらに、再び戦闘が休止される可能性について鈴木特任准教授は「人質の人数が限られるため長期的な休戦は見込めない。一時的な休戦は今後もあり得るだろう」と分析しています。

一方、イスラエルは予備役を大量に招集して軍事作戦を展開してきたことから戦争の継続がイスラエル経済への大きな重しになっていて、軍事行動を今の規模で維持できるのは最長で3か月程度との見通しを示しました。

そのうえで「年明け前後に少なくとも作戦の展開が行われるだろう。それが新たな軍事作戦への切り替えになるのか、停戦になるのかが注目すべきところだ」と指摘しました。

イスラエル軍「ガザ地区拘束の人質 新たに8人解放」

イスラエル軍は30日夜、ガザ地区で拘束されている人質のうち、新たにイスラエル人8人が解放されたと発表しました。

またロイター通信によりますと、イスラエルの刑務所に収容されていたパレスチナ人30人も釈放されたということです。

今回の合意に基づいての戦闘休止は7日連続となっていますが、現地時間の1日朝、日本時間の1日午後2時までの見通しで、エジプト政府は30日「戦闘休止をさらに2日間延長すべく、エジプトとカタールによる接触が続いている」とする声明を発表し、仲介役の両国がイスラエルとハマスに働きかけていることを明らかにしました。

解放されたタイ人夫婦 50日近い人質生活で“自殺考える人も”

パレスチナのガザ地区でイスラム組織ハマスに拘束され、その後、解放されたタイ人の夫婦が故郷に戻り、家族と再会しました。50日近くに渡った人質生活について「自殺しようと考えた人もいてお互いなぐさめ合った」と精神的に追い詰められた厳しい状況だったと明かしました。タイ東北部出身の夫のブントム・パンコーンさんと妻のナタワリー・ムンカンさんは娘をタイに残して4年前からイスラエルの農園に出稼ぎして果物の収穫や箱詰めを行う作業員として働いていました。10月7日にハマスの人質となり、その後、別々の場所で拘束されていましたが、先月24日ほかのタイ人の人質らと一緒に解放され、イスラエルの病院で健康状態の確認を受けたあとタイに帰国しました。

先月30日、妻のナタワリーさんの故郷のタイ東北部コンケーンの空港に2人が到着すると、母親や娘が駆け寄り、泣きながら抱き合って再会を喜んでいました。

そして一夜明けた1日、自宅には親戚や地元の人たちが集まりパパイヤのサラダなどのタイ料理を準備し、昼食をともにしました。2人はNHKなどの取材に応じ、拘束されたときの状況や厳しい人質生活について語りました。

夫のブントムさんは「襲撃の際、大きな銃声が聞こえたが、誰も知らせてくれず、何が起こったのか分からなかった。住居は危ないと思い、作業所に避難した」と緊迫した状況について話しました。

一方、妻のナタワリーさんは「襲われたときは夫と一緒でしたが、拘束後は別々でした。昼も夜も目をつぶって心を落ち着かせていました。人質生活では祈ることだけが唯一の心のよりどころでした」と、当時の不安な気持ちを語りました。

人質生活についてブントムさんは「ハマスは私たちタイ人7人を部屋に入れてドアに鍵をかけ、部屋の前で監視したが、危害を加えることも、銃を向けることもなく、痛めつけられることもなかった。しかしみんなストレスを感じていて自殺しようと考えた人もいたので、お互いをなぐさめ合っていた」と精神的に追い詰められた厳しい状況だったことを明らかにしました。

解放されたときの状況についてブントムさんは「ハマスはアラビア語を話していたので、何を言っているのかわからなかった。解放の日には新しい服を着るよういわれ、数時間後に解放された」と話していました。

「人質の1人は仏国籍の女性」仏外務省

フランス外務省は、イスラエル軍が30日に発表した、解放されたイスラエル人の人質2人のうちの1人について、イスラム組織ハマスがことし10月16日に公開した映像に映っていた、フランス国籍を持つ女性のミア・シェムさんだと発表しました。

この中では「とても安どしている。ハマスによって公開されたビデオに映し出された彼女の無残な姿が象徴するように、54日間もの人質生活のあとに自由を取り戻すことができた」としています。

その上で「エジプトやカタールなどの仲介に感謝したい」として、残る4人のフランス人の人質の解放に全力を挙げると強調しています。

また、マクロン大統領も、旧ツイッターのXで「シェムさんは解放された。彼女の家族や、すべてのフランス国民とともに喜びを分かち合いたい」と表明しました。

フランスのAFP通信は、解放の知らせを受けて喜ぶ母親の姿を、家族が撮影したとする映像のほか、イスラエル国内の空軍基地でシェムさんが家族との再会を果たした際の映像を配信しています。

シェムさんをめぐっては、先月(11月)9日に母親と兄がパリでNHKなどの取材に応じ、早期の解放を訴えていました。

米 ブリンケン国務長官 “戦闘休止の期間延長へ 関係国と協力”

イスラエルを訪れているアメリカのブリンケン国務長官は記者会見を行い、戦闘休止は人質の解放やガザ地区への人道支援の拡大につながるとして、期間のさらなる延長に向け、関係国に働きかけを強めていく考えを強調しました。

アメリカのブリンケン国務長官は30日、イスラエルのネタニヤフ首相などと会談したほか、パレスチナのヨルダン川西岸を訪れ、アッバス議長と会談しました。

会談のあとの記者会見でブリンケン長官は、戦闘の休止は人質の解放やガザ地区への人道支援の拡大につながっているが、まだ十分ではないとして「われわれの当面の焦点は戦闘休止の期間を延長するためにパートナーと協力することだ」と述べ、関係国に働きかけを強めていく考えを強調しました。

ブリンケン長官は、ネタニヤフ首相はイスラム組織ハマスが人質の解放に応じなくなった場合、軍事作戦を再開する意向だとした上で「作戦再開の前に、罪のないパレスチナ人の犠牲を最小限に抑える計画を実施しなければならない」と述べ、ガザ地区南部などに安全地帯を設けることなどを求めたことを明らかにしました。

そして、ブリンケン長官は「ネタニヤフ首相と戦時内閣のメンバーらは、こうした取り組みの必要性について同意した」と述べました。

また、ヨルダン川西岸で住民とユダヤ人入植者らとの衝突が続いていることに深い懸念を示し、イスラエル政府に対応を求めたとしています。

ブリンケン長官はこのあと、UAE=アラブ首長国連邦に向かい、関係国と協議を続けることにしています。

イスラエル軍報道官「人質解放なければ軍事的な行動必要」

ガザ地区での戦闘の休止についてイスラエル軍の報道官は「外交的な手段で人質の解放ができなければ、軍事的な行動を通して人質の解放を目指す必要がある」と述べ、攻撃再開の準備は整っているとしたうえで、ハマスの壊滅に向けてはガザ地区南部への侵攻が必要だという考えを強調しました。

イスラエル軍のアリエ・シャリカル報道官は、先月30日、イスラエル南部ツェリムの軍の施設でNHKなど外国メディアの取材に応じました。

このなかでシャリカル報道官は「いまは停戦ではなく戦闘の休止であり、ガザ地区全体の3分の1にあたる北部の地域で兵士たちが防御態勢を維持している」と述べました。

そして戦闘休止の延長に向けた交渉が続いていることについて「われわれはどのような展開にも備えている。休止を続けるかどうかを決めるのはイスラエル政府だ。もし外交的な手段で人質の解放ができなければ、軍事的な行動を通して人質の解放を目指す必要がある」として、交渉が決裂した場合に備え、攻撃を再開する準備が整っていると主張しました。

そのうえで「ここ数日、人質の一部は南部ハンユニスから解放されていて、ハマスの戦闘員は北部だけでなく、ガザ地区の全域にいる。人質を解放し、ハマスを壊滅させるという目標を確実に達成するためにはハマスを徹底的に破壊しなければいけない」と述べて、作戦目標の遂行のためにはガザ地区南部への侵攻が必要だという考えを強調しました。

中国 パレスチナ寄りの立場で関与の姿勢アピール

中国外務省は、イスラエル・パレスチナ情勢をめぐって、中国の考え方を示す文書を公表し、パレスチナ寄りの立場で中東和平に積極的に関与していく姿勢をアピールしました。

30日公表された文書には、▽全面的な停戦、▽市民の保護、▽人道支援の確保、▽外交的仲介の強化、それに▽政治的解決の追求という5つの項目が示されています。

このうち「政治的解決の追求」については「2国家共存」による解決に向けて、国連の安全保障理事会が実効性のある国際会議をできるだけ早く開催し、具体的なロードマップなどを策定すべきだとしています。

その上で「ガザの将来に関するいかなる取り決めも、パレスチナの人々の意志と自主的な選択を尊重しなければならない」としていて、パレスチナ寄りの立場で中東和平に積極的に関与していく姿勢をアピールしました。

習近平国家主席も、国連の「パレスチナ人民連帯国際デー」にあわせて「パレスチナの人々が国家を持つ権利や生存権は早期に実現されるべきだ」とするメッセージを発表しています。

中国としては、パレスチナ寄りの立場を強調することで、イスラエルを擁護するアメリカに対抗する形で中東での影響力の拡大につなげるねらいがあるとみられます。



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