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ピアノ調律師同士で考えたい

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同業者の方と一緒に考えたいことや、おすすめのグッズなどを紹介しています。
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#考えたこと

ピアノ調律師にとっての生産性とはなにか

先日フリーランスの調律師で集まってはじめての勉強会をおこないました。 同年代で同じフリーランスと言う立場の仲間の存在はものすごくありがたいです。 その中で「生産性をあげるには?」という議題がありました。工具やデバイスの最適化、事務処理や移動のムダを省いたり、より効率的な働きができるようにしたいというのは共通の悩みです。 この議題は突き詰めたら沼なので今回はさらっと話す程度におわりましたが、それもこれも、なにを「生産」とするのかが多岐に渡っているからなんだと思います。

働くということを考えたら最初に入った会社のことを思い出した話

ピアノ調律師という仕事が珍しいのもあってか、仕事先でお子さんの進路のことでご相談されることがちょくちょくあります。軽々しくアドバイスはできませんが、さすがに18年くらい社会人をやっているので、ひとつの例として少しは参考になるかな?と思うと同時に、改めて自分の仕事についても考える機会になります。 今回はそんな“働く”において大事に思っていることのひとつを書いてみたいと思います。 この仕事ではいろいろな訪問先があります 僕の場合は基本的に一般家庭のピアノの調律がメインで、8

ネジ1本を替えるか悩む

ピアノの修理につきものの、オリジナルの部品をどこまで残すか問題。 音や弾きごごちに関わるものはなるべく元々の部品を残したいところですが、壊れていたり新しくしたほうが劇的に良くなるのであればどんどん交換した方が良いと思っています。 逆に悩むのが、壊れてもいないけど新しいものにしたらほんのちょっとだけ良くなる部品です。 主にこう言った古いピアノのマイナスネジなどなんですが。 機能的にもここがマイナスネジである必要はなくて、ただその時代主流だったという理由だけなのでこの部分

「テセウスの船」的にピアノのことを考える

「テセウスの船」というパラドックスがあります。 ギリシア神話の英雄テセウスが乗っていた船。長年のあいだ木材の交換修理が繰り替えされ、多くの部品がオリジナルと置き換わったとき、今のテセウスの船と元々のテセウスの船は果たして同じ船と言えるのか?という問題。 言い換えるとモノのアイデンティティはどの部分に宿っているのか?ということでもあると思います。 ピアノはどうなんでしょう?切れた弦を張り替えたり、ちょっとした部品を交換しただけではもちろん元のピアノと変わらないと言えます。

「ピアノ調律の料金設定」について考えてみた

お客様から「調律料金安いですね!」と言われることが多いので、料金に対する考え方を少し。 調律料金のシステムは大きく分けて2パターン(1)前回の調律からの年数に関わらず一律料金 (2)基本料金+前回の調律からの年数によって追加料金(1年ごとに1,000〜2,000円程度) 当社では空き年数に関わらず一律料金なので、作業料金が安くなる理由はこの追加料金がかからないことが大きいです。(もちろん修理やタッチの調整などは状態とご希望に応じて別途かかります!) かと言って、別に安

「保育園のピアノ」について考えてみた

保育園のピアノをメンテナンスしていると、部屋によって極端に狂いや故障の多いピアノがあることに気づきます。 もちろん部屋によって日当たりや空気の流れが違うので狂い方に違いがあるのは当然ですし、たくさんの人がいたりいなかったりと差がある「施設」には環境変化はつきものです。 それにしても、というほど他の部屋との狂いの差を感じる部屋があります。 なぜなのか疑問だったのですが... 共通点は5歳児の部屋ということ置いてある湿度計の記録を見たり、先生にお話を伺うとどうやら保育園で