芸能人に会った話

「芸能人に会ったことある?」と娘に聞かれて突然思い出しました。
「あるよ!お母さん、スーパーでオスマン・サンコンさんと出会って、わざわざ家までカメラ取りに帰ったんやから!」と答えると、娘は「誰よそれ」とまったく興味を示しませんでした。

あれは90年代終わりごろです。
当時夫の転勤で暮らしていた兵庫県の北部の、スキー客が車で通過するだけの小さな村に小さなスーパーがありました。
豆腐や練り物コーナー前の通路にサンコンさんが全身金色の民族衣装を身に着けて立っていました。
3つ100円の姫太郎うどんの営業をされていたのです。
新聞のチラシにもそのようなことはなにも書いていませんでした。
彼はただ、圧倒的な存在感でそこに立っていたのでした。
残念ながら過疎の村だったため、お客さんの大半はお年寄りで、目を合わせずに通り過ぎていました。

勇気を出して声をかけるとサンコンさんは気さくに笑顔で答えてくれて、色紙にサインを書いてくれました。
うどんをカゴに入れるとサインをしてもらえるシステムのようでした。

カメラを取りに帰って、一緒に写真をとってもらったのですが、撮影の掛け声はやっぱり
「いっこ、にこ、サンコン」でした。
それを聞けただけでよかったなあ。

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