あいうえお作文「あざといじょせい」
あ
あの日、僕は去年大分でマッチングアプリを通じて知り合った女性と東京で再開することになった。しかも一緒にディズニーシーに行ったのだ。
ざ
ざっとそのきっかけを言うと、相手は大分の会社に勤務しているのだが、リモートワークが中心であり、コロナも落ち着いたということで東京に遊びに来ることになったのだ。そしてその人がディズニーシーに行きたいと言い、ディズニーに2人でいくことになったのだ。
と
とはいえ、2人でディズニーに行くと言うとこっちもかなり向こうのことを意識してしまうわけだ。それはもう自分に好意があると思ってしまうのも無理のない話だ。
わざわざ大分から来るのだから夜はなにか起きるに違いない。そんな胸の高鳴りを隠せずにいた。そしてディズニー当日。僕のポッケには3枚のゴムゴムの実が入っていた。
い
いざ集合。僕たちはディズニーに行った。コロナで人数制限になっていたため、アトラクションは待たずに色々乗れた。そして事件は起こった。忘れもしない。タワー・オブ・テラーに乗った時だった。
じ
じつは相手はタワー・オブ・テラーが初めてだったらしく、とても怖がっていた。そして一言
「ねえ、怖いから手繋いでいい?」と言われた。
手を繋ぎ、さらに彼女は自分の肩に体を寄せてきたのだ。僕はタワー・オブ・テラーどころではなかった。
僕のランドがタワー・オブ・テラーしそうだった。
よ
よく考えた。しかし答えは変わらなかった。向こうは僕に好意があると思っていいだろう。こんだけスキンシップされたんだから僕のこと好きだろう。そう感じずにいられなかった。さらにそのあと乗ったセンターオブジアースでも手を繋いだのだが、今度は
「こっちの方が落ち着く」
そう言ってなんと恋人繋ぎをしてきたのだ。
勝った。そう思った。おそらくいまこれを見てる男性諸君はそう思っただろう。ってか思って欲しい。お願い、
同情して。
せ
「せっかくだから最寄りの改札まで送ってくよ」
そう言って僕は彼女の泊まるホテルの最寄り駅まで送ることにした。そしてちょっと一緒に散歩したい。そう言って彼女の泊まるホテルまで一緒に歩いた。これはやれる、勝ったと思った。
い
一年ぶりに再開した女性と最終的にどうなったか。
結論を伝えよう。結局やらなった。向こうに拒まれたのだ。向こうは次の日予定が入っていなかった。のにやれなかった。じゃああの手を繋ぐやら体を寄せてくるやら恋人繋ぎは一体なんだったのだろうか。
不思議で仕方がない。向こうに悪気はなかったとはいえ、こっちにこれだけ期待させたのはかなりの罪だと感じた。そうだこれがあざといじょせいか。そう感じた。
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