見出し画像

「千本桜10周年祭」、大団円だったのよ

何から書き始めようか、整理がつかないうちに10月に入ってしまった。1年前にスタートした「千本桜10周年祭」。忘れないうちに書き留めておきたいことをつらつらと。

2021年9月、東京でのマルイのコラボカフェを皮切りに、岡山「千本桜の世界展ー夜ニ紛レー」。10月、秋葉原・和堂さんのでコラボカフェ、セブンイレブンの千本桜ネップリ。11月、舞浜アンフィシアター「千本桜fes」。年が明けて1月、京都・大原「千本桜の世界展 kyoto session」。2月、雪ミク@小樽でのプチ展示。3月から4月にかけて、ところざわサクラタウン「千本桜の世界展 ーBe Hereー」。8、9月、マジカルミライ大阪と東京への出店。Hotel zizi Kyoto Gionのコラボルーム。そしてファイナルセッション、京都・妙心寺壽聖院「千本桜の世界展 finale」。

いやー、よくやったなーw われながら。

エプソン販売ショウルームにて
エプソンさん、ありがとー!

千本桜10周年祭の話を初めて持ち出したのは、最初の企画書のタイムスタンプによれば2020年の1月。「素案」と記されたその企画書には、“全国39の神社、公共スペースを使ってのイベント実施”という、おそろしくふわふわしたことが冒頭にぶち上げられている。39という数字に既視感があるのだけど、何かのリベンジとして考えていたのかもしれない。

2012年の春、黒うさPと一斗まるさんに「千本桜は10年コンテンツになるし、オレがしてみせるよ」と大見得を切った。それで何をしたか。「千本桜」の世界を書籍に蒸着させ、物語を潜ませた。やったことと言えばただそれだけだ。が、そのことだけで、「千本桜」は歌い継がれるとともに、語り継がれ、描き継がれるものとなった。10年コンテンツへ。その約束の総仕上げとしての「千本桜10周年祭」だった。果たしてあのときの約束は果たせただろうか。

はじまりの地・岡山
旧閑谷学校「幻想万華鏡」
千本桜の世界展 ー夜ニ紛レー

10周年祭のスタート直前、不安しかなかった。楽曲「千本桜」は“国民歌”と言われるまでに有名だけど、「小説 千本桜」が出版されたのは9年も前のことだ。その世界観と物語を展示するという試みが、2021年に受け入れられるのか。この不安は残念ながら少し的中して、この年に実施したものの多くは集客にとても苦戦した。

唯一のライブイベントだった旧閑谷学校での「幻想万華鏡」は新型コロナの影響で無観客開催。秋葉原UDXで予定していた「千本桜の世界展」も同じ理由で延期、その後、中止となった。神奈川県の某美術館での展示会は、過去の集客状況を理由に、話そのものが流れた。名古屋地区での広範囲での展示コラボもボツに。千本桜fesでも集客は苦戦した。

心折れたよ。
約束は果たせないのかな。

そんなとき、京都からメールが届く。
「三千院と寂光院で展示会はできる?」と。
準備期間はわずか1ヵ月。できるとかできないとかじゃなくて、これ、やるしかないよね。

凄まじい年の瀬だった。宝井其角に「水の流れと人の身は」と上の句を振られたら、きっと「ほんまに来るんか その宝船」と返句したに違いない(歌舞伎「松浦の太鼓」参照)。そのくらいテンパっていた。クリスマスも大晦日も正月もなく、そのまま「千本桜の世界展 kyoto session」へとなだれ込んでいった。

この大原での展示会が大きな転機となった。イラストを展開することで物語を編集的に構成する、というスタンスから、場や空間との関係性を取り込みながら物語を潜ませる、という方針に切り替えた。

寂光院
三千院

三千院ではその1200年の歴史に寄り添い、悠久を感じさせる空間を意識した。寂光院は、建礼門院の墓前で物語(特に鏡音錬を中心に)を語るように構成した。ところざわサクラタウンは、つまり「小説 千本桜」の発行元KADOKAWAということもあり、小説が創られた当時を意識して、一斗まるさんのたくさんのラフスケッチによって物語が誕生する瞬間を順路の冒頭に配置した。そして物語のクライマックスから終盤にかけてを続くスペースで表現した。

ところざわサクラタウン
ところざわサクラタウン

ファイナルセッションとなった京都・妙心寺「千本桜の世界展 finale」では、最後にもう一度、小説のキャラクターたちに思いを馳せて欲しくて、あの構成と演出になった。かすかな灯りの中でゆったりと「回向」というのかな、そんな時間になればという思いだった。ただ、流歌が何者でどこから来たのか、小説で明かされなかった部分を補完しようという試みは、きっとまだ足りていない。

ということで、つらつらどうでもいいことを書いてきたけど、「千本桜10周年祭」、無事、完走です。今は、体と心をリセットして、また次のことを考えられるまでの充電期間にあてたいと思います。

マジカルミライ東京
千本桜の世界展 finale

いろいろな人に支えられた1年間でした。後押しをされながら、自信と勇気をもらいながら、だからこそ続けることができました。本当に、本当に、感謝です。ありがとうございました。

最後に、1年間お付き合いいただいた千本桜ファンの皆様へ、みんな、ありがとうね! みなさんの笑顔がなによりの心の糧でした。また、どこかで!

壽聖院でのプチ打ち上げ
彼岸ちゃん

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?