【物語】アマガエルさんと虎猫さん【900字程度】
石畳を雨がてらてらと濡らす。
道の両脇を紫陽花が鮮明に彩る。
灰色の空の下では唯一色彩灯るのは紫陽花だけだった。
いつもの石畳の道を占領して寝転がっている猫達の影もない。
そこへアマガエルが一匹、フキの葉を傘にペタペタと歩いていく。
フキの葉の端には逆さまのてるてる坊主がぶら下がっていた。
アマガエルはご機嫌なようすで、鼻歌を歌いながら散歩を楽しんでいるようだった。
黄色いジャケットのポケットからスマホを取り出すと、紫陽花の上をのんびり行く小さなカタツムリをスマホで写す。
満