時にはお店が心の拠り所
ようやくお目当てのお店に来れた。
”TSUNDOKU BOOKS”✌︎
SMSを徘徊していたら偶然にもここが5月から開店するという情報を得た。
これも偶然というよりAI機能が導いたものかも知れないが。とりあえずドキドキ。楽しみ。
青森県内にはセンスの良い本屋が最近何軒かあるのを知っていた。
八戸ブックセンターは勿論、八戸のand booksさん。弘前のまわりみち文庫さん。そしてここ十和田市のTSUNDOKU BOOKSさんだ。
昨年のブックフェス2023で、秋田県や岩手県にも同じような小さな書店で頑張っている本屋の存在を知り、まだまだ本の存在は根強く価値があるのだと興奮したものだ。
何事もそうだが、イベントに行けば何かしらの知識が付くものだ。
類は友を呼ぶ、のような。
好きはものの上手あれ、のような。
【好き↔︎好き】の法則 好きは好きな物を引き寄せるようだ。
この時に僕は色んな書店の知識をもらった。
書店通しのつながりもそうだ。
ブックフェスでは各お店が持ってきた何冊かの個人的セレクションが面白かった。そのお店ひとつひとつの趣向が全く違っていて、人の性格の様に千差万別なのだ。
そして話は”TSUNDOKU BOOKS”
ワクワクしながら店内に入る。
本が少ない?かと思いきやそんな事はない。手の届かない上段や、しゃがみ込む下段の無駄なスペースには本は置かず、しっかりと手の届く範囲にのみ綺麗に本が並べてあり、その為視線も乱れず一冊一冊とちゃんと向き合えるようになっている。
まるで相手方と目を見て話ができる様に。
それにしてもセレクションが面白い。どれもそそる。
入り口右手からひと回りすると、料理本〜エッセイ〜センスの良い洋書〜自己啓発系〜子供向き。
子供向きの本コーナーにはちゃんと可愛い子供用のカウンターと椅子があり本と遊べる様にも工夫されている。
【料理本コーナー】
料理本はただの料理本ではない。ページを捲ると、涎が出てくる。「美味しそう。作りたい。こんな美味しそうな料理があるんだ。なんて綺麗な盛り付けなんだ。」などなど本のページを捲っているだけなのに、箸がとまらない。
・365日パスタの本
・手づくりの本
が気になった。手づくりの本、は昔よくおばあちゃんが作っていたような、味噌の作り方や梅干しの作り方、醤油の作り方といった料理のDIY本であった。コンビニ弁当が普及してしまった現代人は化学調味料を摂りすぎている。ほんとの理想の食事とはやはりDIYなのだが、そんなひと手間をかけるような暇(時間)はさすがに作れそうもないのかな。と想像を巡らせるが、もし自分がこんな風に自家製のオンパレードを打ち出したらそりゃ僕自身や家族にも平和な食事ライフが巡ってくるんだろうなと、笑顔あふれる食卓をこれまた涎を垂らしながら想像した。
365日パスタ、の本は事実365日全く違う種類のパスタを食べられるという本だ。
まさにパスタ好きには天国のようなレシピ本だ。
適当に365日分のレシピでうめたのではない。これは365日毎日が美味しいパスタで間違いない。のがすごいのだっ。
【エッセイ本コーナー】
まだ序盤だっ、と、購入意欲を抑えながらレジカウンター前のエッセイコーナーへ順路をかえる。
ムムッと唸る。
これまたセレクションが面白い。
誰誰という私がおすすめするエッセイ本です、と大抵の書店では、こう謳う。
しかし、ここでは某有名人のエッセイは少なく、ホームレスが綴り続けたリアルなエッセイ本や既に亡くなっている作家だが文章が匠だという事でセレクションされたお手本のようなエッセイ本があったりする。
男として興奮したのはガードレールだけに特出した写真集のような本。これは全国のガードレールを追った作者が色んなデザインをしたガードレールひとつひとつを解説する、まるで鉄道オタクのような、ガードレール版だ。
僕がこの本のセレクションに声をあげて感心していると、この店のオーナーが奥から「こんなものもあるのよ」と、色んな場所の陸橋下だけを撮り続けた写真集のような物、全国の市場だけを撮り続けてコメントしている物、と渋いオタクシリーズ本を次々見せてくれた。僕は興奮した。
そしておもちゃをねだる少年のようにどれも欲しい衝動に駆られお尻がむずむずした。(わかるかな、よく興奮するとなるやつ)
こんな本が自分の部屋の本棚にあると想像しただけで楽しい。
【輸入本コーナー】
なんだかノってきた。
コンサート会場で我を忘れて踊る時のような高揚感だ。次のコーナーへ夢中になって本をとってはページを捲り、お替わりを繰り返す。楽しい。
綺麗な写真と英字で書かれた大型本は抱いて歩いても、リビングにそっと置かれても何故かお洒落に似合う。ちょっと高いが、いつかは買うのに憧れる。
ここにある輸入本はオーナーが自ら買い付けてきた珍しいものばかりだ。
海外からの本の買い付けの制限は重さ、だそうだ。どんなに沢山買っても軽々しいふりをし、汗をかかない顔をしないと行けないそうだ。
よってここにある輸入本は正に身体を使ったオーナーの努力の賜物だ。
【自己啓発本コーナー】
自己啓発本はどれもそそるものばかりだ。
その中で
・山の上のパン屋に人が集まるわけ
は、さらりと中身をみて「あっ、コレ買う」と速攻で決めた本になった。
なぜ山の上でパン屋なのか?何故そこに人が集まるのか?えっ?年商3億?と、興味だらけの内容にやられてしまった。帯には「心を犠牲にしてまで、守るべき”普通”なんてない。」「都会でうまく生きれずに、長野の地へ」という書き出しにも購買意欲を掻き立てられてしまった。
その他にも、
・わたしをひらく仕事 という若いながらも本当に自分のやりたい事をやり通して仕事にしている人達を集めたインタビュー形式の本
・バイトやめる学校 という本当にやりたい仕事を見つけてバイトをやめるまでの過程を描いた様々な人をモデルにした、実際に存在する学校の日常の本
が気になって、しばらく欲しくてその場で財布の中身と相談した。この辺のセレクションは僕の年齢層には多く、現実に生活の為にやらされている仕事と、本当にやってみたい理想の仕事とのアンバランスな葛藤した心の物語が共感しそうでやられてしまった。
お店のオーナーに「ここにあるものは今買わないともう手に入らない可能性ありますか?」と聞くと、「そんな事はない。こちらで同じものを探して在庫があれば購入できます」
と言ってくれて安心した。
でも、一冊の本は出会いだ。
インターネットでは中身をサラサラとは読めないし、実際本を手に取り
ここでこうして出会えたから買える。読める。
そして読んだ後はそれが人生の道標となる可能性だってある。それが本の世界だ。
誰かがテレビで言ってた。
「動画は視界から入ってくる情報だけが強すぎて頭の中には意外と残らない。できる限りなら、本から活字から実際紙ページを捲り得た情報の方が頭に入りやすい。これは感覚を得て記憶する媒体だからなのです、脳は。」
専門家が言うなら実際そうなのだ。
やはり何かしらのアクションをもたらしてくれるものは過去もこれからも”本”なのだ。
【趣味のコーナー】
・狩猟家が作るレザークラフトの本
・今日も盆踊り
の本が気になった。
僕は段々おかしくなったのか、、
レザークラフトの本を読むと、動物を狩り、皮を剥ぎとり、それを元にクラフトを作る、コレを実際、山の中でやりたくなり、
盆踊りの本を読むと、これまた、盆踊りにハマった四六時中盆踊りをしている女の子みたいに盆踊りをやってみたくなった。やばい、このままいけばおっさんなのに身体が一つだけじゃ足りない。寿命をまっとうする暇さえなくなる。
店内をひと回りし終えて、、ミシュランの豪華なコース料理を平らげた余韻の様に満足して晴々した気持ちになった。楽しすぎる。
調子に乗ってお店のオーナーへ色々話しかけてしまった。はじめて都会にきたお調子者のよう。
「とてもセレクションが良くて楽しいです。マメに来ないと勿体無いですね。日々、本も売れては入荷して、ですから。」
と言うと、
「そうですね。ここにこうして、まだ並べてない箱がありますから。度々来られた方がもっと楽しくなると思います」と。
ムムッ。
と唸る。あぁ明日にはここにまた違う本が並ばれるとなると気になってしょうがない。
それにこのオーナーのセレクション、センスが半端ない。買い手(読み手)を飽きさせない。すぐには帰さない。気がつくと1時間はあっという間に経っていた。
GWにお金を使っていたので、今日は本を買うのを我慢、、と決めこんでいたのに、、2冊!も勢いで購入してしまった。
あまりオーナーとは話をしない方がいい。話をしてしまうと一冊の本に色んなうんちく話が加わり、料理のスパイスの様に購買意欲が倍増してしまい、予定よりも買ってしまうのだ。
またそのうんちくがここだけしか聞けない話なので面白っいたらありゃしない。
ホン(本)とに、、ここはヤバイ、、。
【そして購入した本】
今日はじめてここへ来て
はじめて買った本を紹介します。
・じゃむパンの日 愛染晶子
・山の上のパン屋に人が集まるわけ 平田はる香
愛染晶子さんは2017年に亡くなっている作家さんだが、今日はじめて知った。文体が匠らしい、勉強も兼ねて。
山の上のパン屋、、はせっかくだから、どこかの山の上でパン食べながら読みたくなるね。
、、あと3冊書いたかったぁ、、
でもねー大人だからねー、お小遣いってのは限度があるからー、ぁぁーでも欲しい、読みたいなー。
多分明日も、まだ来る。
ここの本屋の面白いところ毎月前半のみの営業だ。月はじめ〜中旬までの貴重な数少ない営業体制なのだ。
それだけ本への選定に時間を費やしている証拠である。
”TSUNDOKU BOOKS”それは、本屋の名前の通り、ここで本を買いすぎて枕元に次々と積んでおく本のように、読書意欲がもたらす滝の勢いのような購買意欲を掻き立てられた楽しい一店であった。
以上