“Ich liebe dich”

『少しひねくれていて、プライドが高い。』
私は小学6年生の時に亡くなった祖母にそんなイメージを抱いていた。
私の母方の祖母は9人姉弟で、代々刑務所に勤めていた。
しかし、最後まで勤めたのは祖母だけだったらしい。(男の人のセクハラ等が原因)
また祖母はプライドが高く、周りから一目置かれる存在であったそうだ。

戦争当時、アメリカ軍を模した人形を使い、毎日6時間竹槍の訓練をしていたそうだ。
その訓練はドイツ軍が指導していたという。
祖母は少しだが、ドイツ語が話せたらしい。
(当時、祖母は16〜18歳。祖母はドイツ人のことを背が高くて、瞳が青くて、とってもかっこいいと感じていたらしい。)

そんな中出会ったある1人のドイツに、

“Ich liebe dich”

と言われたそうだ。この言葉がいつまでも忘れられないと祖母は言っていたらしい。
何を言われたんだろう。率直にそう感じた。

“Ich liebe dich”

日本語で 「愛してる」

衝撃が走った。あの祖母が「愛してる⁉︎」まさかの答えに目が泳いだ。

祖母は旦那さんと出会う前に、ドイツ人の彼に恋をしていたそうだ。好きな人から「愛してる」なんて本当に嬉しかっただろう。これを言われた祖母の顔が見て見たいと思った。しかし、まさか、ドイツ人に恋していたとは…

『少しひねくれていて、プライドが高い』
祖母へ抱いていた当初のイメージが薄らいでいった。「ドラマチックで少し羨ましい。」とさえ思ってしまった。

戦争が終わり、ドイツ軍は撤退。
彼とも離れ離れになってしまったらしい。
「一生忘れられない。」と祖母は言っていたらしい。(全然想像できないけど)

私達の縁は繋がりは離れ、切り、切られ…。
一瞬だけ繋がるときもあれば、一生繋がる縁もある。逆に一瞬、一生すれ違うことすらない縁もある。本当にいつ何が起きるか、誰と出会うか分からないんだなと感じた。(まさに中島みゆきの糸!)

祖母がずっと恋していたドイツ人さん。
一体どんな人だったんだろうか。
あの世で(まずは旦那さんと再開してね)もう一度会えているだろうか。

#エッセイ #祖母の過去 #恋




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