時に身体は脳を裏切る

こんなはずでは……
意気揚々と食べ放題あるいはホテルビュッフェで皿に盛り付けた夥しい好物を胃は受け付けないジレンマ。それに似た状況が非日常のこの未体験ゾーンに突如意表を突く。
脳が満足していた。
ささやかな猛々しい私は静かに収まりを見せてカタツムリの足跡を残したかかの如くであった。
一方で燃ゆる彼女の瞳は唇とコラボして私を次の波へと誘う。
しかし私の潮は満たされていた。
砂浜に取り残され干からびかけたそれは満潮の潮に乗り、漂いプカプカと浮いている。
海綿体はたわわに潮を満たして膨張こそすれどそこには攻撃の意向は示されない。
敗北だ。
私は白旗を上げた。
実際に手を上げ万歳の仕草。
申し訳ない。
己の不甲斐なさに落胆すると同時に不思議でならなかった。
彼女は悪くない。
なんらかの力が作用したのだ。
いや、しなかったのか。
不満そうな彼女を他所に自分勝手な私に睡魔が訪れる。
隣に胸がはだけた若い女性がいるそのベッド中央で背中合わせに寝る。
ドロにような眠りに誘なわれ、なすすべもなく
若い2人はベッドに横たわる。
朴の字のように。

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