外見にまつわるツイートしてたら思い出した事がある

数十年前のまだ長女が小学生に入る前の頃の出来事。

当時よくキャンプに出かけその出先での温泉に入るのが楽しみだった。シーズンオフの日帰り温泉は人もまばらで空いていた。というか誰もいなかった。でもそれは勘違い。大きな浴槽に1人先客がいた。彼はゆったりと湯に浸り寛いでいた。この地での温泉を存分に味わっていたのだと思う 

私たちが訪れるまでは

娘がなんの迷いもなく掛け湯をしてその湯船に入ろうとした際に一瞬の視線の交差があったんだと思う。ただそれだけ。娘は声を出すでもなくただ彼を見たそれだけのことなのに彼は申し訳無さそうに立ち上がり遅れて湯船に浸かろうとする私に黙礼をしてその場を去ろうとするのだ。それ事態は大した事ではない。もう十分に湯に浸かってのぼせる前に上がったのかとも思えた

でもそうじゃない

去り際に垣間見た彼の「人とは違う姿」を目の当たりにしてそう思った

彼は遠慮したのだ

無邪気な旅行者とその娘に己の姿を晒すまいとその場を辞したのだ。何も悪怯れる事などないのに。私は申し訳無くて仕方がなかった。彼の寛ぎのひとときを邪魔して奪ってしまった

何度彼は同じ目に遭ってきたのだろう

そう思うとやりきれなかった

私がこういう気持ちになってしまうのも私が彼を見せかけの優しさだけの対応しかできない薄っぺらな思いやりしか持ち合わせてない男だからだ。

私は彼に声をかけるべきだった

何でもいい

天気のことや温泉の温度でも何でも

そうしなければ居た堪れない状況下に晒され続けてきた彼はその場を逃げるようにさるしかなかったのだ。それ以上好奇の目で見られ傷付く前に。

今でも時折思い出す

彼にとって温泉はそう滅多に入れる機会は無かったはずだ

人の来ない時間と場所を選んでようやくたどり着いた安泰の湯

それを去らねばならなかった彼の事を思うと本当に申し訳ない

2人で肩を並べ素晴らしい風景を眺め傍にいる娘とも会話を交わす

そんな、できたらいいな光景を 思い浮かべてしまう

偽善者がここにいる


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