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年度内に消化しなければならない予算 

 年度末である。

 年度末に限って(年度末だから)、急に堰を切ったように会議が入る。
 そして、(ありがたいことに)お役所関係の講演依頼や業務委託が増える。

 すべて年度末のせい(おかげ)である。


 お役所には、決められた予算はその年度に執行してしまわなければならないという掟がある。
 これを「会計年度独立の原則」という。

 歳出予算の経費のうち、その性質上又は予算成立後の事由に基づき、年度内にその支出を終わらない見込みのあるものについて、予算の定めるところにより翌年度に繰り越して使用する「繰越明許費」も認められてはいるものの、議決事項であり、単に予算を執行できなかったという理由で繰り越すことはできない。

 行政職員は、ある程度の見込みをもって予算を執行している(はずである)。
 年度末までに事業が終了できるか?
 不足する予算はないか?

 大まかな計画を立てながら、12月も過ぎてくると、予算の執行残がでてくる。
 この予算の執行残は、例えば一般入札もしくは指名競争入札による設計額と実施額(契約額)の差であったり、想定していた事業が何らかの事由により執行できなかったりした場合に、生まれてくる。
 また、事業計画はしているものの、他の事業状況を見ながら実施するかどうか決めるものもあって、それらが執行残となる。

 事業を実施する部署では、「翌年度の事業を前倒ししよう」とか「財政査定でカットされた備品を購入しよう」とか、この執行残を「うまく」使おうと考える。

 そうやってできるだけ執行残を生まないよう「消化」するのだ。

 実は、そうでもして予算を使ってしまわないと、財政担当課から「この事業は何年間も執行率が低いので、来年度から予算を3割カットします」などと言われかねない。

 事業を実施する部署では、年度末になるとそうやっていろいろとお金を使うことを考える。
 それが、年度末に「予算を使ってしまわなければならない」事業が増える理由である。

 実はこれ、市役所に勤務しているときはお役所だけのことと思っていた。

 しかし、そうではなかったのである。

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