愛館日記_22/1/3 AM2:39

酒を浴びた。
呑むというより、浴びた。
「まぁこんな日もあるよな」
と平凡な言い訳で俺は罪悪感をかき消し、いつものようにベランダで酔いを覚ます。

普段は夜行性なこの街も、猫の足音すら聞き取れるほど怖いくらい静かな夜。一台のバイクが眼下を通り過ぎ、ラブホの前で停止した。

「朝刊配達、もうこんな時間か」
俺がどれほど酒を浴びたのか、改めて実感し、萎える。

男がラブホに入ってそこまで時間は経っていないだろう。出てきた彼の手には、入るときには持っていなかった缶コーヒーがあった。

配達員と受付、互いの顔は見えない。
普段は挨拶なんて交わさなくても、
「またこの人か」と、なんとなくお互いが認知し、
「この人も頑張ってる」とどこか共通の“労い”が2人には通じていた。

些細なやさしさと、缶コーヒーの温かさに、自分の存在意義をリンクさせ今日も彼は朝刊を届ける。



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