【一次創作】くじけないココロと共に【#ガーデン・ドール】
その日の前日。
明らかに、いつもの彼とはどこか違ったんだ。
なぜ、今きみがそこにいるんだ。
なぜ、今きみはそこで笑っているんだ。
なぜ、今きみは。
そこで、溶けているんだ。
「あ、れは……なんで。なんで■■がッ……なんで、それを彼が……ッ」
体を動かせない中、その一言だけが、絞り出すように喉からあふれた。
それ以降は、強く唇を噛み締めて、無意識のうちに強く拳を握る。
ボクは、あの反応を知っている。
遠くてちゃんとは見えなくても、アレが何であるかを知っている。
ククツミのコアを飲む前に、ボクが追い求めたもの。
ああなってしまう可能性を分かっていて、”かみさま”に願ったもの。
最近、それがどういったものであったかを、知ったもの。
動けるようになった瞬間、彼と仲が良かったドールが駆け寄っていく。
ククツミが倒れて、近くにいたレオがすぐに抱えて戻っていくのも見える。
興味をなくしてすぐに戻っていくドールも、こんな時になってやっと、久しぶりに顔を見たドールもいた。
“良い生涯だった”
彼には、未練はなかったのだろうか。
もしかしたら、ボクよりもガーデンに疑問を持っていたのかもしれないきみは。
それでいて、時折ガーデンのように非情なことを言っていたきみは。
ボクよりも、何かを知っていそうだったきみは。
溶けていく瞬間、本当に後悔はなかったのだろうか。
この世界を呪いは、しなかっただろうか。
シキくん。
ボクは、前に進むよ。
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