週報:帰省録、田舎のディアスポラ、読んでおけ漫画

先週にちょっと早めのお盆帰省をした。

関西から北海道の端っこまで、片道約8時間。電車、モノレール、飛行機、飛行機、そして自家用車。自分で運転しないから楽ではあるが、乗り物酔いとは付き合わないといけない。

当然ながら田舎は純度100%の車社会で、おじいさんもおばあさんも誰もかれも全員が車で移動する。どうあがいても車酔いしてしまう自分にとって、これほど移動だけで辛い社会もない。なんだよコンビニ行くのにちょっと車乗るって。徒歩で行かせてくれ。

まぁ、移動が辛いのは自分のせいなのでそれはもう諦めているんだけど、久しぶりに会う親戚らは元気そうで何よりであったし、会いたい人にも会えたし、何より食べるものはすべて最強に美味かったのでそれは良かった。

地元なので贔屓目に見ている感は否めないが、道東地方に海鮮で勝てる地域はまずない。乗り物酔いしなくて時間が有り余っている旅人のみなさん、いつかお立ち寄りください。



帰省の合間合間に『闇の精神史』を読み進めていた。帰省の合間に読むべき本なのかどうかっていう議論はあるけど、まぁなんとなく気分的にはそういう帰省だったのだ。

個人的にはアフロフューチャリズムやアフリカンディアスポラの話がとても興味深かった。

黒人は奴隷貿易時代の根深い影響のせいで、自分たちのルーツがあいまいになっている。故郷と呼べる場所、居場所や帰るべき場所が無く存在論的に不安定だ。その不安定さに抗うために新たなルーツを仮想するのだが、そこでは人類全体・宇宙を語るため最先端のSFと接点があり……

みたいな話なんですが、「帰省する」というのはまさに自分のルーツを確認する行為だ。そういう意味で、自分はルーツが明確である。

ただ一方で、サン・ラーが自分の出自を否定し続け別の出自を語り続けたというモチベーションは理解できる。もちろんサン・ラーほど苛烈なものではないしろ、「こんな地元じゃなかったらよかったのに」と思うことはあるからだ。

もちろん感謝もしている。だけどネガティブな感情があるのも確かで、今よりもっと鬱が酷かった時期は、ここが自分のルーツだなんてまったく認めたくなかった。出自を偽るまではしないまでも、「あんなとこ何もないし最悪だよ」みたいなことを言うことはあったと思う。

「こんなのが自分のルーツのはずじゃない」「ほかのルーツが良かった」みたいな感覚は、きっと田舎になじめなかった人には共通してあるのではにないかと思っていて、もちろんアフリカンディアスポラのような民族規模の問題と比べると各個人レベルの問題なのかもしれないけど、まぁそれはそれでディアスポラなのかもしれないなぁと思う。

そんなことを思いながら帰省を過ごしていました。やっぱり帰省中に読むべき本ではなかったかもしれない。



紙幅が余ったので読んでおいた方がいい漫画を紹介するコーナーをやります。


スペシャル


読んだ方がいいです。読んだ後にどうなるかの保証は一切できないので、無責任な勧め方になってしまうんですが、個人的には人類はもっと情緒がめちゃくちゃになって生きた方がいいと思ってるので、結果として読んだ方がいいです。

お話の凄さがどうしたって前面に紹介されがちですが、普通に絵が可愛くて好きだ。途中からそれどころではなくなるところも込みですが。


運命の巻戻士

お願いだから読んでくれ。最高にアツくてカッコいいから。

絵柄と説明の丁寧さがコロコロなだけで、中身はオール・ユー・ニード・イズ・キルとTENETで、無限に試行錯誤を繰り返すクロノがとにかくカッコいい。

少なくともマイ先生が出るまでまでは読んでください。あまりに存在がアイ・ジーニアスなので……!



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