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私を色んな場所に連れて行ってくれる「相棒」が愛おしすぎて堪らないんだ!!!!!
「お金が……お金がなぁぁぁぁぁぁい!!!!」
2021年春、大学生の私は金欠で喚いていた。いつ……どうして……どこでこんなにお金を使ったんだ。と時を戻してみるとあることが判明した。
2020年の夏まで、コロナ禍でろくに外出ができなかった。フラストレーションが溜まったまま、秋から大学も対面講義が再開されると堰を切ったかのごとく、服に化粧品に食事にお金を使うようになったのだ。とはいえアルバイトは通常通りに戻ることなく収入はぽつぽつと……。
しかしその中でも特にお金を使っている項目が「交通費」。
雨が降れば大学はバスで通うし、少し遠い場所になるとすぐにバスや電車を使う。大阪や神戸に行くとなれば往復1000円弱使うのも明らかである。
「この出費……どう抑えればいいのだ……?」
私は外出せず部屋に籠っていると、頭にきのこが生えてしまう残念な生き物だ。しかし外出することで必ず発生する「交通費」。一体どうカバーすればいいのだろうか……。
うーん、うーん。……あっ、自転車はどうだろう。
自転車を新調することに至ったのだ。元から自転車は持っていたが、タイヤが小さく坂なども登りにくい。「京都は平面やし、ゴツイの買わんくても大丈夫やろ。」とビジュアルの方を重視した自転車を買ってしまったのが運の尽き。
京都は、じっみ~な坂がずーーーーっと続く土地だったのだ。
川端通という主要な道路を、鴨川という大きな川の流れに逆らって自転車を走らせると、太ももに地味な疲労がだんだんと蓄積される。また大学がある東大路通は山沿いにあるため、アップダウンが激しい。自転車で走るよりも歩く方が早いのではないか? とすら思う。
このような経験があり、所謂「よう走る自転車」を買うことを決めた。
自転車の種類をネットで調べる。自転車といっても、種類は豊富にある。その中でも初心者でも走りやすい「クロスバイク」にすることに決めた。
「お金が無いと言っているのになぜこの人は自転車を買おうとしているのだ?」と思った方も少なくはないだろう。
私は自転車を買うことで「将来の投資」としていると思っている。これから更に遠くへ行くだろう。つまり交通費なんて馬鹿にならないだろう。しかし「エイッ!」と自転車を買うとこれからのあらゆる交通費がタダになるのだ。
とはいえ貧乏な私は、相も変わらず安くてよく走るクロスバイクを探すことに手を抜かなかった。歩いて自転車屋さんを回ったり、ネット通販で探し回ったり……。
そこで、あるアプリにたどり着いた。
「ジモティー」、ネットの掲示板アプリである。そこで凄く安いクロスバイクを売っている自転車屋さんを見つけた。
「クロスバイクが……1万5000円?!?!?!」
本当にこんなに安くていいのだろか? まさか偽物やジャンク品ではないだろうか。
「こんにちは。○○(自転車屋さん)のクロスバイクの購入を検討しています。」
「こんにちは! ありがとうございます。実物を見に、是非足をお運びください。」
このメッセージで翌日、友人を連れてお店へ向かった。
「こんにちは……」
おずおずと店を覗いてみると、ピカピカの自転車と笑顔が素敵な店主の方。
「あの、先日ジモティーでご連絡させていただきました、古鞘と申します。」
「あっ、こんにちはー! お待ちしておりました。是非色んな自転車に乗ってくださいね。」
真っ先に目についたのがクリーム色のクロスバイクだった。ロゴも無く、少し変わった自転車だったが、そのフォルムに惹かれてしまった。
「これって、おいくらですか?」
「1万8000円です。」
こんなかっこかわいいクロスバイクが2万弱……? とびっくりした。
「一回このクリーム色のクロスバイクに乗ってみても良いですか?」
「もちろん!」
まぁ、こんな安い値段だし、大した走りはしないだろう。とまたがる。初めてのクロスバイクで、乗り方も何もかもが新鮮だった。
「じゃあ漕いでみます」
ペダルに足をかけ、ぐっ、と足を回す。
世界が、急に加速したみたいに見えた。
今まで乗っていた自転車とは比べ物にならないくらいに、ひと漕ぎの進みが早い。
「風に、なったみたい……」
そうつぶやいた。自分でも驚くくらいポエミーな発言をしてしまい、顔を赤らめる。
「……これ、買います」
これが今の愛車との出会いだった。
それからというもの、愛車と共に様々な場所に出かけた。雨の日も文句も言わずに一緒に走ってくれた。もう私の相棒のような存在だ。
後日、「相棒」をイメチェンするべく、新たに色を付けた。私の好きな茶色をベースに、アンティークな印象にするために少しずつ色を変えながら、愛情を込めて色を塗った。
最後に仕上げとして、塗った上に“Kosaya”とロゴを描き、「世界にひとつだけの自転車」が誕生した。
「今日から君は『こさや号』だ」
と某ジブリ映画張りのセリフを言い、私の大好きな相棒は新しく生まれ変わった。
これからも、「相棒」が力尽きるまで一緒に走り続ける。暑い日も、寒い日も、楽しい日も、少し病んだ日も。
今日は相棒と一緒に、どこに行こう?
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